皆さん、はじめまして。ベンチプレッサーの鈴木佑輔です。今回ご縁がありましてこちらの SBD コラムの執筆を担当させていただく運びとなりました。このコラムでは、自分の体験や経験、考えを語らせていただこうと思います。
自己紹介
初回ということで簡単な自己紹介を。
自分の運動経験は、3歳よりはじめた中国拳法から始まりました。一応黒帯まで取りまして、幼少時代から どちらかというと肉体派(?)キャラで通っていました。
高校進学を境に格闘技からは遠ざかってしまったのですが、進学先が茨城県の常総学院高校でして、諸先輩の方々からの勧誘で全国でも有数の強豪パワーリフティング部の門を叩いたわけです。
前述の通り、ある程度自分の体力には自信がありましたが、スクワット・デッドリフトではなく、ベンチプレスでいきなり心を折られたのです。。。自分よりも細くて非力そうな先輩に全然敵わない!!
いまから考えれば当然のことなのですが、これにより自分の負けず嫌いに火がつきました。
朝、学校についたら部室でベンチ(早ベン)、放課後の部活動でスクワット、デッドリフトの日でも終わった後ベンチ、ベンチプレスの日も終わった後ベンチ(二度ベン)。
いま思い返せばほぼこの頃から現在のスタイルであるエブリベンチが体系づけられていたのかなと思います。そんな高校3年間のおかげで、世界サブジュニアパワーリフティング選手権に出場することも出来ましたし、当時のトータル、ベンチプレスの日本記録も取りました。
大学進学のため、現在地の長野県松本市に引っ越しまして、その夏からフィットネスクラブでアルバイトを始めました。ただ、その頃は競技から遠ざかっていて、一般トレーニーと同じようなトレーニングは続けていましたが、ものすごくベンチプレスに力を注いでいたわけではありませんでした。
転機となったのは、長野県パワーリフテ ィング協会が設立されて、もう一度始めよう!ただやるからには日本1位を目指そう!という気持ちとなったことです。それ以降、どっぷりベンチプレスに再度はまっている生活を送っています。
回復について
さて、皆さんが知りたいことはなんでしょうか?
トレーニングプログラム?エブリベンチ?サプリメンテーション?ボディメイキング?
研究熱心な方であれば、すべてを知りたいと思うはずです。
自分もそう思って今も自分自身を実験台にトライ&エラーを繰り返しています。
そんな自分がまず根源的に大事なことを今回はお伝えしようと思います。
リカバリーです。回復です。
一言でいっても、様々なアプローチがあるかと思いますが、自分の方法を書いてみましょう。
まず、リカバリーはダメージからの回復ですよね?
ダメージは、大きく分けて慢性疲労と傷害になると思います。
一つ目は慢性疲労ですが、多くの勤勉なトレーニー、リフター、プレッサーの方は日々努力を重ねていますので、どうしても疲労が蓄積されてしまいます。
その原因は、ほぼ毎回、同じトレーニング、反復動作を繰り返すからです。スクワットであればモーターユニットの要である臀部・腰部、ベンチプレスであれば肩甲骨周辺のインナーマッスルなどですね。それらのある特定の部位に毎回同程度の刺激が入ることによって、疲労が蓄積されてきます。
当然、より洗練された動きを求めているため、反復動作というのは非常に重要なのですが、それが仇となるケースが非常に多いのです。疲労が蓄積されれば筋肉が委縮します。委縮すれば出力は低下してきます。それを解消するためには、敢えて違うフォームを取ってみることです。
普段、足幅がナローであればワイドスタンスに変える、手幅が普段ワイドグリップであればナローに変えるというような、ちょっとした変化で良いです。しかも、セットの最後だけでも良いです。違う方向からの筋肉の動きを取り入れることにより、筋繊維の収縮、伸展が促進されます。
より意識的に筋肉の動きを変えていくのであれば、スピードの変化もつけてみましょう。ごく軽い重量でハイレップ、20~30回程度を、出来る限り速く、そして遅く、1セットの中で変化をつけてみてください。自分の筋肉がどのように動くかを把握しながらや っていくと、反復動作による蓄積疲労を防ぐことが出来ます。
そして、さらに時間がある方はポジティブ動作のみのトレーニングも1種類入れると良いと思います。スクワットメインの日は最後にジャンプスクワット、ベンチプレスであればジャンピングプッシュアップなどです。血流がとても良くなるのでリカバリーに有効です。
二つ目に傷害ですが、例えば肩を痛めていたり膝を痛めていたり、多くの方が心当たりがあると思います。書いている自分も肩や首を痛めることがたまにあるのですが、最近はやっとそれらの回復に有効な手段を見つけ始めています。
個々の症状により違いはもちろんありますので、参考程度に留めたいと思いますが、ここでは肩・腰・膝の痛みに有効な筋膜リリースについてご紹介したいと思います。
ケース① ベンチ肩・肩鎖関節周辺の痛み
考えられる主な原因:大円筋、僧帽筋中部or上腕二頭筋短頭、小胸筋
これはベンチプレッサーに限らず、トレーニー全体が経験のある症状ですね。
写真を参考にストレッチポールや指などでほぐしてみてください。
大円筋、僧帽筋中部
大円筋、僧帽筋中部をストレッチポールでほぐします。
上腕二頭筋短頭、小胸筋
上腕二頭筋短頭、小胸筋をストレッチポールでほぐします。
ケース② 腰部・しゃがみがキツイ、立ち上がりがキツイ
考えられる主な原因:中殿筋or大腰筋
股関節が固く、体前屈が苦手な方に多いようです。
ハムストリングスのストレッチを心がけつつ、しっかりと股関節の屈曲・伸展をマスターすることが大事です。 写真を参考に、テニスボールやソフトボールでほぐしましょう
中殿筋
中殿筋をボールでほぐします。
大腰筋
大腰筋にボールを当ててほぐします。
ケース③ 膝・深く曲げると痛む、階段の上り下りが痛い
考えられる主な原因:大腿直筋・坐骨結節
大腿部の過度な緊張により、筋膜が引っ張られると膝蓋骨周辺が痛みます。股関節・膝関節・足首のトリプルエクステンションをきっちり行えば防げるのですが、急激な動作により単関節運動になると起こりやすいようです。 写真を参考に、大腿前面をほぐしてください。
大腿直筋をストレッチポールでほぐします。
以上、初回ということで一番重要視している回復について綴ってみましたが、何よりも怪我をしないことが一番強くなるための近道です。そのためには上記のような方法も有効ですが、今一度しっかりと栄養を摂取できているか、睡眠はたっぷりとれているかを見直してみてはいかがでしょうか?
皆さんのご参考になれば幸いです。
■コラム執筆者
鈴木佑輔
長野県パワーリフティング協会副理事長
所属 B.A.D.
http://www.bodyartdesign.net/
ジャパンクラシックベンチプレス選手権5連覇
2010年~2015年
2014年アジア・オセアニア選手権MVP
66㎏級ベンチプレス ベスト記録 190.5㎏
日本記録・アジア記録保持
74㎏級ベンチプレス ベスト記録 192.5㎏
アジア記録保持