SBDのニースリーブについて、私は以前にも所属するクラブのHPでレビューを書いていますが(以前のレビューへリンク) 、その後数ヶ月間使用してみて更に詳しい特徴や使用する事による重量の変化についても詳細にわかってきましたので、この度新たにレビューを書こうと思います。
SBDニースリーブはIPF(国際パワーリフティング連盟)公認ニースリーブとなっており国内国際問わず全ての大会で使用可能です、先日の2015年世界クラシックパワーリフティング選手権でもおそらく8割〜9割くらいの選手が使用している印象で、圧倒的な着用率でした。
私が現在使用しているニースリーブはMサイズのもので、2014年12月、アジアオセアニアクラシックに参加した同じジムの方に現地代理店のブースで買ってきて頂いたものです。
使用期間は約7ヶ月間、私は週に3〜4回スクワット練習を実施しており、基本的にアップからメインセットまでは必ずニースリーブを着用しているので、回数としては既に100回以上は使用している計算になります。
2015年3月のジャパンクラシックパワーと2015年5月の国体東海予選でもこのMサイズのニースリーブを使用しました。(尚、Mサイズ購入以前は個人輸入したLサイズのものを3ヶ月程使用していましたので、SBDニースリーブ自体の使用歴は10ヶ月くらいになります。)
サイズに関しては更に小さいSサイズも着用可能なのですが、私は普段の練習から日常的にニースリーブを使う為、タイト過ぎるものよりも装着が楽な少し余裕のあるサイズが良いと考え、片側20秒程で簡単に装着できるMサイズを使用しています。
(サイズ選びに関しては前回のレビューも参考にしてみて下さい)
【9ヶ月間の使用で感じたSBDニースリーブの特徴】
・耐久性の高さと反発力の強さの両立
まず、SBDニースリーブの最大の特徴はここにあると思います。
これまでのニースリーブは耐久性と反発力が反比例する傾向にあり、強い反発のあるものは生地が硬く、その上サイズの小さいものを強引に穿く必要があったので、下手をすると数回の使用で破損したり試合毎の使い捨てのような買い方が必要になっていました。
その点SBDニースリーブは、29.5cmという規程いっぱいの長さと、適度に強い弾力のある生地によって強力な安定感と反発を生み出しているイメージで、それ程無理無く装着できるサイズで十分な効果が得られます。
(と言ってもパワーリフティング用であればある程度はタイトなサイズを選択する必要があります。)
こちらは実際に週3〜4回ペースで7ヶ月間使用したニースリーブの写真になります。
前
上から
横
後ろ
見ての通り生地のヘタリや破れ、縫い目のほつれ等の劣化は見られず新品の頃と変わらない感覚で使用できています。
・装着感の良さと汗で滑りにくい表面加工
もう一つの大きな特徴がその装着感と表面加工です。
私はスクワットの練習をする時、アップ開始からメインセットまでニースリーブを付けたままにしていますが、SBDは生地が硬すぎず全長も長い為、反発の強いニースリーブにありがちな圧迫感や不快感が少なく、使い心地が非常に快適です。
また、これまでのニースリーブには汗をかくと内側が滑り、反発力と使用感が悪くなるものがありましたが、SBDは生地に表面加工が施してあり内側で汗をかいても滑りにくく、試合中や練習の時も頻繁にずり下げて内側の汗を拭いたりする必要はなさそうです。
【使用重量の変化】
恐らくパワーリフティング選手の皆さんが一番気になる点はここだと思います。
これを検証するのに私はメインセットのあとに毎回行っていたノーベルトスクワットでニースリーブ有りと無しをそれぞれ一定期間やってどのくらいの重量が変わるか試してみました。
結果は
・ニースリーブ無し185kg8回(今年一月)
・ニースリーブ有り195kg8回(今年四月)
上記がそれぞれのベストでした、重量の差は+10kgでしたが前者の動画の時より後者の動画の時の方が体重が増えており、多少自力伸びている事を勘案すると+7.5kg程度の使用重量の変化があったかなと感じます。
これに関してはニースリーブのサイズ、選手の階級やフォーム、ニースリーブを使い慣れているか等の条件によって大きく変わってくると考えられますので、あくまでも参考までに見て下さい。
今回はMサイズでのテストでしたが、私が穿ける最小のサイズであり着用に数分を要するSサイズではもう少し反発が強くなると感じます。
【SBDニースリーブを使いこなすコツ】
・膝が中心に来るように装着する
装着する位置がふくらはぎ側に下がっていると効果が落ちます、しっかり引き上げて膝が中心にくる位置に装着してみて下さい。
(極端にキツいサイズを穿いていると上まで引き上げるのが難しくなります)
・サイズ選び
以前のレビューでも書いたように、サイズ選びはある程度チャート表通り選ぶ必要があり、例えば重量級の男子選手がXSのような極端に小さいサイズを装着するのはほぼ不可能と思われます、その点は他メーカーと変わってきますのでご注意下さい。
それさえ知っておけばサイズ設定が細かい分丁度よいサイズも選びやすくなっています。
・肌が乾いている時に装着する
肌が汗で湿ると摩擦が増して装着し辛くなりますので、ウォーミングアップ開始前の肌が乾いている時に装着しておくのがオススメです。
・普段の練習である程度慣れておく
ニースリーブを使うとボトムで反発がある為フォームや切り返しの感覚が多少変わってきます、試合の時にのみ装着するよりもある程度普段の練習から使用しておいた方が効果を引き出しやすいでしょう。
【最後に】
パワーリフティングのスクワットはフルまでしっかりしゃがむ事が原則ですが、フルスクワットはどうしてもボトムで膝だったり股関節だったりにある程度の負担がかかります。
(私の場合フォーム的に股関節の負担が大きいです。)
ここでニースリーブを上手く利用すればボトムでの関節の負荷を減らすことができるため、怪我を未然に防ぐ事が可能で、特にスクワットを高頻度で行う場合は有効だと感じました。
SBDニースリーブは反発力だけでなく装着感や耐久性、それに着脱のしやすさにも優れており、パワーリフターだけでなく一般のトレーニーや他のスポーツの選手でも安心して使えるものだと感じました。
パワーリフティングの試合用や練習用としては勿論、高品質で長く使えるニースリーブを探している全ての方々にオススメします。
■コラム執筆者
神野亮司
愛知県 MBC POWER所属 ( http://mbcpower.web.fc2.com/ )
ベスト記録(ノーギア)
93kg級
スクワット237.5kg
ベンチプレス160kg
デッドリフト262.5kg
トータル660kg
83kg級
スクワット212.5kg
ベンチプレス157.5kg
デッドリフト255kg
トータル612.5kg
実績
ジャパンクラシックパワー(旧ジャパンオープンパワー)出場9回、最高2位
2012年アジアクラシックパワー男子一般83kg級2位
2014年世界クラシックパワー男子一般83kg級11位