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SBD JAPAN YouTubeチャンネル

イギリスの本家SBDでは以前より公式YouTubeチャンネルが開設されており、主にSBDエリートと呼ばれる所属選手達の試合やトレーニングの動画が毎月公開されています。
そして、この度新たに開設されたSBD JapanのYouTubeチャンネルでは、それらの動画に日本語字幕の付いたものの公開が始まりました。

SBD Japan公式YouTubeチャンネル

今回のコラムではこのSBDチャンネルで動画を公開している6人のSBDエリート達について解説させて頂こうと思います。

【SBDエリートとは】

SBDエリートとは、SBDのスポンサードを受けているパワーリフター達の事で、現在のメンバーは

レイ・ウィリアムズ選手
USARayWilliamsPose1
キンバリー・ウォルフォード選手
USAKimberlyWalfordPose3
ブレット・ギブス選手
NZBrettGibbsPose
モハメッド・ボアフィア選手
AlgeriaMohamedBouafiaPose1
インナ・フィリモノーヴァ選手
RussiaInnaFilimonovaPose1
ステファン・マニュエル選手
GBStephenManuelPose2

以上の6選手になります。

メンバーに共通するのは全員がノーギアパワーリフティングの強豪中の強豪であるという点で、今年6月に開催された2015年世界クラシックパワーリフティング選手権では、下記のようになんと6人中5人が一般クラスの世界チャンピオンとなりました。

(パワーリフティングは男女合計15階級なので、ノーギアパワーリフティング世界チャンピオンの1/3をSBDエリートが占めている事になります)

SBDエリート2015年世界クラシックパワーリフティング選手権大会結果

男子一般

83kg級 ブレット・ギブス選手 優勝
105kg級 ステファン・マニュエル選手 3位
120kg級 モハメッド・ボアフィア選手 優勝
120kg超級 レイ・ウィリアムズ選手 優勝

女子一般
57kg級 インナ・フィリモノーヴァ選手 優勝
72kg級 キンバリー・ウォルフォード選手 優勝

このように全員が正真正銘世界のトップ選手であり、そのトレーニング動画はパワーリフターは勿論、トレーニーであればきっと参考になるものだと思います。

全てのノーギアパワーリフターの頂点に立つSBDエリート達のトレーニング動画、皆さんも是非チェックしてみて下さい!

【SBDエリートの紹介】

ここではSBDエリート達の簡単なプロフィールをご紹介させていただきます。
(年齢は全て2015年時点のカレンダーイヤーとなっています)
※掲載されている記録は全て2015年9月初旬時点のものになります。

※選手別の詳細プロフィールは判明次第、随時追記いたします。
※ボアフィア選手プロフィール追記、一部表記編集。 2015.09.12

<レイ・ウィリアムズ選手>

USARayWilliamsSquat9

出身:アメリカ
生年:1986年9月16日(28歳)
身長:182cm
体重:175.5kg
職業:イタワンバ・コミュニティーカレッジ フットボールコーチ
パワーリフティング歴:2012年10月8日に公式戦に初出場
スポーツ歴:アメリカンフットボール(テネシー大学 マーティン校)

ベスト記録 (男子ノーギア120kg超級)

スクワット 425.5kg(世界記録)

ベンチプレス 242.5kg

デッドリフト 342.5kg

トータル 1000.5kg(世界記録)

主なタイトル
2014年、2015年 世界クラシックパワーリフティング選手権 男子一般120kg超級優勝
2015年 優勝 男子一般120kg超級 男子一般2ndベストリフター

スーパーヘビー級の世界チャンピオンであり2015年9月現在IPFで唯一ノーギアトータル1000kgオーバーの記録を持っている選手。

見ての通りの巨軀の持ち主で、身長約182cm体重約175kgというスーパーヘビー級パワーリフターの中でも一際目立つ堂々たる体格をしています。

ウィリアムズ選手はジュニアからのパワーリフターでは無く、元々は大学アメリカンフットボールの選手で、現在もアメフトのコーチを生業としているそうです。

そんなウィリアムズ選手がIPFルールのノーギアパワーリフティング大会にデビューしたのは、2013年2月とつい一昨年の話、彼はなんとその試合でいきなり当時の世界記録を上回るスクワット410kgに挑戦するという衝撃的なデビューを飾りました。

そのまま2013年の全米ノーギアパワーリフティング選手権で当時ノーギア世界記録保持者だった同じくアメフト出身の巨漢パワーリフター ブレイン・サムナー選手に勝利しアメリカ代表に選出。

翌2014年6月の世界クラシックパワーリフティング選手権(南アフリカ)ではスクワット412.5kgトータル972.5kgの世界記録を樹立し優勝、デビューから僅か1年半程で世界の頂点に立つという快挙を成し遂げました。

更に1年後2015年6月の世界クラシックパワーリフティング選手権(フィンランド)では、遂にノーギアトータル1000kg超え(SQ425.5kg BP235kg DL340kg Total1000.5kg)を達成、まだ20代でパワーリフティング競技歴も短い事から今後どこまで記録を伸ばすのかが注目されます。

SBDチャンネルで公開されている最新のトレーニング動画では、全米ノーギアパワーリフティング選手権に向けた練習風景を見る事ができます、トレーニングサイクル初期で重量をセーブしていると言いつつ、387kgのスクワットを軽々と2レップ行う姿はまさに怪物です。

<キンバリー・ウォルフォード選手>

USAKimberlyWalfordDeadlift4

出身:アメリカ
生年:1978年9月9日(36歳)
身長:170cm
体重:68.9kg
職業:公務員
パワーリフティング歴:14年
スポーツ歴:トラック競技、クロス・カントリー

ベスト記録(女子ノーギア72kg級)

スクワット 186kg(世界記録)

ベンチプレス 112.5kg

デッドリフト 240.5kg(世界記録)

トータル 536kg(世界記録)

主なタイトル
世界クラシックパワーリフティング選手権
2012年 優勝 女子一般63kg級
2013年 優勝 女子一般63kg級 女子一般ベストリフター
2014年 優勝 女子一般72kg級 女子一般ベストリフター
2015年 優勝 女子一般72kg級 女子一般2ndベストリフター

ウォルフォード選手は2012年の世界クラシックパワー開始以来現在まで同大会4連覇中、そのうち2回はベストリフターを獲得しているノーギア女子を代表するパワーリフターです。

ウォルフォード選手もウィリアムズ選手と同様、最初からパワーリフターだったわけではなく、大学時代は陸上競技の選手だったそうです。

初めて全米規模のパワーリフティング大会にその名前が現れるのは23歳の時、その当時からデッドリフトに飛び抜けた数字を残していましたが、世界大会がフルギアのみの時代は同階級に世界チャンピオン プリシラ・リビック選手がいた事もあってか、全米タイトルや国際大会には縁のない選手でした。

そんな彼女に転機が訪れたのは2012年、この年ノーギアパワーリフティングの世界大会が始まるとノーギア部門に転向し一気にブレイク、それ以来2015年8月現在まで出場した全ての大会で優勝しており、2014年世界クラシックパワーリフティング選手権では前年のワールドゲームズチャンピオン アナ・カステラン選手(ブラジル)を破るなど、ノーギアパワーリフティング無敵の女王として君臨しています。

ウォルフォード選手の最大の武器は何と言っても、その長い手足を生かしたナローデッドリフトで、サブトータルでリードを許す事があってもデッドリフトでかぶせていき、最後は逆転勝利するという必勝パターンを持っています。

また、毎年アメリカで開催されているアーノルドスポーツフェスティバル デッドリフトコンテストでも彼女は現在四連覇中であり、2015年の同大会では体重69kgで72kg級フルギア世界記録を7.5kg上回る255kgのフルギアデッドリフトを成功させ、最強デッドリフターとしての実力を見せつけました。

トレーニング動画でも見所はやはりデッドリフトトレーニング、200kgオーバーを軽々と挙上する姿は圧巻です。

<ブレット・ギブス選手>

NZBrettGibbsBench7

出身:ニュージーランド
生年:1991年1月20日(24歳)
身長:165cm
体重:85kg
職業:ストレングスコーチ、フルタイムパーソナルバンカー
パワーリフティング歴:2008年に大会初出場、競技歴7~8年
スポーツ歴:ラグビー、サッカー、ゴルフ、サーフィン、スケートボード

ベスト記録(男子ノーギア83kg級)

スクワット 280.5kg(世界記録)

ベンチプレス 202.5kg

デッドリフト 305.5kg

トータル 783.5kg(世界記録)

主なタイトル
世界クラシックパワーリフティング選手権
2014年 優勝 男子ジュニア83kg 男子ジュニアベストリフター
2015年 優勝 男子一般83kg級

SBDエリート最年少、中量級の若き世界チャンピオン。
特徴的なヒゲと試技を成功させた時に発する高笑いが印象的な選手です。
ギブス選手は元々2013年のフルギア世界ジュニア選手権で準優勝するなど、ジュニア部門での有力選手の一人でしたが、やはりフルギア時代はそこまで突出した選手ではありませんでした。

その名前が突如世界に知れ渡ったのは2014年の世界クラシックパワーリフティング選手権、この大会にジュニア部門で出場したギブス選手は、なんとスクワットとトータルで一般部門の世界記録を更新し圧倒的な強さで優勝、ノーギア83kg級の超新星として一気に名を上げSBDエリートの最年少メンバーとなりました。

2015年は24歳となり世界クラシックパワーリフティング選手権一般部門に初出場、前年度覇者ホセ・カスティーリョ選手(エクアドル)と熱戦の末に敗れ2位になったかと思われましたが、その後ホセ選手がドーピング検査陽性により失格、繰り上げで世界チャンピオンとなりました。

特徴としては三種全てが強いバランスの良い選手で、年齢的にもまだまだ伸びていくと思われる事から今後83kg級チャンピオンとして長期政権を築いていきそうな予感がします。

パワーリフティング黎明期に82.5kg級で無敵を誇ったマイク・ブリッジス選手の再来のような選手になっていくのではないでしょうか。

<モハメッド・ボアフィア選手>

AlgeriaMohamedBouafiaSquat2

出身:アルジェリア
生年:1976年(39歳)
身長:177cm
体重:125kg
職業:ジムオーナー
パワーリフティング歴:15年
スポーツ歴:水泳、サッカー(アルジェリア ナショナルチーム)

ベスト記録(男子ノーギア120kg級)

スクワット 375kg(世界記録)

ベンチプレス 212.5kg

デッドリフト 365kg

トータル 945kg(世界記録)

世界クラシックパワーリフティング選手権
2012年 優勝 男子一般120kg級 男子一般2ndベストリフター
2014年 優勝 男子一般120kg級 男子一般2ndベストリフター
2015年 優勝 男子一般120kg級

主なタイトル

2012年、2014年、2015年 世界クラシックパワーリフティング選手権 男子一般120kg級優勝

アフリカ出身でムスリムというパワーリフターには少し珍しい出自の選手。
120kg級で圧倒的な強さを誇る最強のスクワッターで、SBDチャンネルでも300kgでのハイレップ練習や、アフリカ選手権での390kg成功試技といったもの凄いスクワット動画を見る事ができます。

今年6月の世界クラシックパワーリフティング選手権では現役フルギア世界チャンピオンのフリストフ選手(ブルガリア)と接戦を展開、判定が厳しくスクワットを1本しか取れない苦しい展開でしたが、最後に見事逆転デッドリフトを成功させ連覇を決めました。

スクワットが強すぎてあまり目立ちませんが、実はデッドリフトでも2015年世界クラシックパワーリフティング選手権出場全選手中で最高重量を挙上しており、世界最強クラスのデッドリフターでもあります。

余談になりますが、ボアフィア選手が写真で着用しているアラビア語入りSBDシングレットは彼専用の特別なウェアで、筆者の周りでもかっこいいと評判でした、SBDエリートは専用のウェアを着用していたり、SBDの新商品をいち早く使用していたりするので、是非その辺りにも注目してみて下さい。

<インナ・フィリモノーヴァ選手>

RussiaInnaFilimonovaCelebration2

出身:ロシア
生年:1976年(39歳)

ベスト記録(女子ノーギア57kg級)

スクワット 172.5kg(世界記録)

ベンチプレス 90.5kg

デッドリフト 190kg(世界記録)

トータル 447.5kg(世界記録)

主なタイトル

世界クラシックパワーリフティング選手権
2013年 2位 女子一般63kg級 女子一般2ndベストリフター
2014年 優勝 女子一般57kg級
2015年 優勝 女子一般57kg級

フルギア世界パワーリフティング選手権
2002年 優勝 女子一般56kg級
2003年 優勝 女子一般56kg級
2007年 優勝 女子一般56kg級
2009年 優勝 女子一般56kg級
2014年 優勝 女子一般57kg級

SBDエリートで唯一のフルギアでも世界を制している選手です、ジュニア時代から世界のトップで活躍するSBDエリートの中でも一番のベテラン選手、そして子供を持つ母親でもあります。

他のSBDエリートのビデオはハードコアなトレーニング風景が多いですが、フィリモノーヴァ選手のビデオは、彼女自身の柔らかい雰囲気や小さなお子さんが出演したりしている事もあって少し和やかな感じになっています。

フィリモノーヴァ選手は三種のフォームがとても美しく、特に体格の近い女子選手の場合は彼女のトレーニングビデオが最も参考になる部分が多いのではないでしょうか。

<ステファン・マニュエル選手>

GBStephenManuelSquat2

出身:イギリス
生年:1988年 (27歳)
身長:165cm
体重:106kg
職業:パーソナルトレーナー、オンラインストレングスコーチ
パワーリフティング歴:9年
スポーツ歴:ラグビー、アメリカンフットボール

ベスト記録(男子ノーギア105kg級)

スクワット 300kg

ベンチプレス 200kg

デッドリフト 325kg

トータル 807.5kg

主なタイトル

世界クラシックパワーリフティング選手権
2013年 2位 男子一般93kg級
2014年 3位 男子一般93kg級
2015年 3位 男子一般105kg級

“スクリーマー”(Screamer)のニックネームで呼ばれるSBDの地元イギリスを代表する若手選手、世界クラシックパワーリフティング選手権で三年連続表彰台を獲得しており、今年の同大会では日本重量級のエース武田選手とも上位争いを繰り広げました。

SBDエリートでは唯一世界チャンピオンになってない選手ですが、毎年順調に記録を伸ばしており今後105kg級で優勝争いに加わってくると予想されます。

トレーニング動画を見るとボックスジャンプ、ダッシュ系種目、ジャンプスクワット、クイックリフトのような日本人選手はあまりやらない瞬発系の補助種目を沢山行っているのが興味深いです。

以上、SBDエリート6人のプロフィールを簡単に解説させて頂きました。

圧倒的な強さを誇るSBDエリート達ですが、元々フルギアの世界チャンピオンだったのはフィリモノーヴァ選手のみで、後は世界クラシックパワーリフティング選手権開始後に名を上げた選手達です、そういう意味でも最近急速に発展しているクラシック(ノーギア)部門を象徴するパワーリフター達と言えると思います。

ノーギア部門は日本国内でも年々レベルが上がっており特に若い世代からハイレベルな選手が次々と現れています、いずれその中から世界のトップで活躍しSBDエリートに加わる選手も出てくるかもしれませんね、パワーリフティングファンとしていつか日本人SBDエリートが登場する事に期待したいです。

■コラム執筆者
神野亮司
愛知県 MBC POWER所属 ( http://mbcpower.web.fc2.com/ )
ベスト記録(ノーギア)
93kg級
スクワット237.5kg
ベンチプレス160kg
デッドリフト262.5kg
トータル660kg

83kg級
スクワット212.5kg
ベンチプレス157.5kg
デッドリフト255kg
トータル612.5kg

実績
ジャパンクラシックパワー(旧ジャパンオープンパワー)出場9回、最高2位
2012年アジアクラシックパワー男子一般83kg級2位
2014年世界クラシックパワー男子一般83kg級11位

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