皆さんこんにちは!SBDコラムニストの鈴木佑輔です。
今年はかなり暖冬で、12月でもストーブなしでいける日が続いていますが、そろそろ本格的に冬の準備をしなくてはなりませんね。
12月13日~19日まで、アジア・オセアニアクラシックベンチプレス選手権ですので、着々と準備を進めている最中ですが、開催国であるウズベキスタンはこの時期かなり冷え込むようで、暖房なしでの練習もしております。
今回は自分に3段階の課題を与えて、きっちり1つずつクリア出来るように、試合内容まで考えながら進めています。
これがうまくはまれば練習中怪我をせずに出力をマックスに上げられるのではないかと、ワクワクしています。
もちろん、細かい部分の調整や整体なども欠かさずに、自分の身体の声を聴きながら無理せずに試合で良い結果を残せればと思います。
さて、前回予告した通り、今回は『ボードベンチプレス』について書かせていただこうと思います。
フロアプレスの発展バージョンだと思っていただくと良いかと思いますが、どちらも経験したことのない方は、出来ればフロアプレスから導入し、慣れてきたところでボードベンチプレスを入れてみてください。
準備
・ボードベンチプレスとは?
写真①
このように、胸とシャフトの間に板(ボード)をはさみ、可動域を制限して行うのがボードベンチプレスです。
専用のものが購入できるのか定かではないですが、ホームセンターに行けば1000円程度で作れる代物ですので、自作してしまいましょう!
写真②
・ボードの製作方法
用意していただくのが、長さ90cm(ホームセンターでは910mmが多い)、幅10cm、厚さ2cmほどの板を2枚です。
そのうち1枚は3等分に切断してもらいましょう。
ボードの厚さを増やしたければさらに追加で板を購入・切断してください。
この板に、両面テープ付きのマジックテープを貼り付けます。これにより、高さの調節がワンタッチで出来るようになり、非常に便利です。
写真③
自分の場合、両端に板を付けることで、レップごとに高さを変えるのを簡略化していますが、短い板で2種類作っておくのも良いかもしれません。
制作には30分もあれば完成するかと思いますので、ぜひ自作してみてください!
・ボードベンチプレスの注意事項
さて、制作したボードを使用してトレーニングに取り入れていくのですが、必ず補助者と、ボードの操作をする人がいる環境でトレーニングしてください。
出来ればサイド補助をしてくれる方が2人いると安全面でも非常に安心です。
特にボードの操作をする人はトレーニーの立場になって、集中力を乱さないようなボードの操作を行えるように話し合いながらお互いに練習し合うのが望ましいです。
写真④
トレーニング方法
ボードベンチプレスには、数パターンのトレーニング方法があります。どのパターンがはまるかは個々で変わるのですが、なるべくリスクの少ない方法から始めて頂くのが良いです。
これからご紹介する方法は、低リスク→高リスクの順番となりますので、順を追って導入して頂くと怪我をするリスクも少ないかと思います。
ここでは前回のフロアプレスコラムと同じく、下記の重量を1RMとして仮定します。
・ベンチプレス100kg 1RM
① 低重量・ハイレップ、ボード厚6~10cm
・設定重量、レップ数
パーセンテージ
50~70%1RM×15~20回×2セット。
重量
50~70kg×15~20回×2セットとなります。
・注意点
初回は本当に軽い重量で、ボードも高めに設定します。
レップの速度はやや速めで行いますが、トップは差し切るようにしてください。
肝心なことはトップでぶれないこと、軌道が通常のベンチプレスと同じコースをトレースすることです。
ボードを入れるとままあることですが、降ろすコースが首側に垂直落下しやすいので、必ず目線をバーに向け、姿勢を保つようにしてください。
② 中、高重量・ハイレップ、ボード厚6~10cm
・設定重量、レップ数
パーセンテージ
80~100%1RM×10~15回×2セット。
重量
80~100kg×10~15回×2セットとなります。
・注意点
①を経てボードの軌道に慣れて来たら、やや重量を増やします。回数に応じてボードの厚さを変化させると良いでしょう。
③ 高重量・ミディアムレップ、ボード厚6~10cm
・設定重量、レップ数
パーセンテージ
90~110%1RM×5~8回×3セット。
重量
90~110kg×5~8回×3セットとなります。
・注意点
いよいよボードベンチの醍醐味である、高重量の神経系トレーニングに入ります。
とはいえ、ミディアムレップですので、筋量も十分に増やすだけの刺激は入ります。
このセットから、セット毎にボードの厚みを増やしていくとセットクリアしやすいです。
・このパーセンテージでの応用
さらに、応用として自分が良く行うのが、90%1RM程度の重量で、5~8レップ行うのですが、ここで各レップ数によって変化をつけます。
1・2レップ目=通常のベンチプレス(3秒止める)
3・4レップ目=ボード4cm
5レップ目以降=ボード8cmで出来るだけ
というように、レップごとに可動域を変化させる方法です。
この際に、ボードの製作方法で紹介したように、板の両端で厚みを変えられるようになっていると非常に便利です。
④ 高重量・ローレップボード厚4cm~10cm
パーセンテージ
100~120%1RM×2回×3~5セット。
重量
100kg~120kg×2回×3~5セットとなります。
この設定は一番リスクが高いですが、神経系には非常に強い刺激が入り、高重量に対する耐性がついてきます。
これを出来るようになるころにはボードベンチプレスにはかなり慣れているかと思います。
・注意点
フロアプレスでも高重量を扱うことが出来ますが、最大の違いはベンチ台で行うという点です。
フロア(床)の基底支持面に比べると面積が小さい上に、高重量で行うことで肩もベンチ台の下まで下がりやすいです。
重量をコントロールすることが非常に難しくなりますので、十分に安全に注意して行うようにしてみてください。
・このパーセンテージでの応用
これも応用として
100%1RM×1回+ボード6cm×1回
など、通常のベンチプレスと混ぜていくことも効果的です。
・ルーティンの組み方
トレーニングルーティンとしてすべて取り入れる場合、上記4種類を週1~2回、1週目から4週目まで行うのを基本としてみてください。
1ルーティンが完了したら、1か月間は通常のベンチプレスのみとし、ボードベンチプレスを続けて行うのは出来るだけ避けるほうが無難です。
エブリベンチでルーティンを組んでいる場合も、ベンチプレスの重量を少し減らすくらいで強度の調整をし、特にベンチプレスではフォーム・軌道の確認などをメインにして練習するようにしましょう。
まとめ
今回はボードベンチプレスについて書かせていただきましたが、非常に有効な反面リスクも少なからずありますので、必ず導入部分を省かずに慣らし運転をしていくようにしてください。
先ほども述べましたが、ボードベンチプレスはフロアプレスとともに、高重量を扱える種目であり、なおかつベンチ台で行えるのでより実践的と言えます。
プラトー打破のひとつの手段としてぜひ取り入れてみてください。
次回は、アジア・オセアニアクラシックベンチプレス選手権大会参戦記を予定しております。
期待を裏切らない内容にするべく、粉骨砕身頑張りますので応援よろしくお願い致します!
ここまで読んで頂いて、ありがとうございました。
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■コラム執筆者
鈴木佑輔
長野県パワーリフティング協会副理事長
所属 B.A.D.
http://www.bodyartdesign.net/
ジャパンクラシックベンチプレス選手権5連覇
2010年~2015年
2014年アジア・オセアニア選手権MVP
66㎏級ベンチプレス ベスト記録 190.5㎏
日本記録・アジア記録保持
74㎏級ベンチプレス ベスト記録 212㎏
アジア記録保持