皆さんこんにちは!SBDコラムニストの鈴木佑輔です。
暖かくなってきたかと思いきや、翌日は急に寒くなったりと気温の変化が激しい日々が続きます。
神野選手のコラムにもありましたが、この時期の体調管理は本当に気を遣わなければなりませんね。
十分に気を付けて調整していきたいと思います。
さて、今回のコラムですが第16回ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会に向けての調整とその結果について書いていこうと思います。
皆さんも大会前には様々な調整方法を実践されているかと思いますが、ご参考になれば幸いです。
【目標設定】
自分の場合は、直近の大会の成績と感覚を参考に、第1試技・第2試技・第3試技の重量をあらかじめ設定しておきます。
出来ることであれば、前回の第3試技が第2試技に相当するように設定するように心がけています。
目標を設定すると同時に、現在のウィークポイントと克服する方法、トレーニングの頻度とそれを続けるために必要な事項、サプリメンテーション、その時期に陥っているであろう状況、疲労状況など、ある程度細かくシミュレーションをしておきます。
今回のジャパンクラシックベンチプレス選手権に向けては、アジア・オセアニアクラシックベンチプレスの反省点を踏まえ、次のように目標設定を定めました。
①目標
第1試技200kg 第2試技210kg 第3試技220kg+α
② ウィークポイント
肩甲骨周辺、手首の動きの悪さ、体幹の抜けコースマネジメント、コントロール
③ 克服方法
2月初旬までボディビル的分割トレーニング
・トレーニング内容
月曜日 ベンチプレス5×5ルーティンインクライン・デクラインベンチ
火曜日 脚・尻・体幹ストップスクワット、ヒップスラスト、コアトレーニング
水曜日 肩(レイズ系)サイドレイズ、フロントレイズ
木曜日 ベンチプレス5×5ルーティン、肩(プレス系)ミリタリープレス、ダンベルプレス
金曜日 脚・尻・肩ハイバースクワット、トレーニングバンドを使った股関節トレーニング、シュラッグ
土曜日 FUNDAYベンチプレス、クイックリフト、前腕トレーニングなど
日曜日 OFFなるべく家族と過ごす、公園などで走る、散歩をする
2月中旬~大会までエブリベンチを行う。
それに伴い、体各部の動きを確認・必要に応じたトレーニングをする
④ サプリメンテーション
規定量のサプリメントを必ず飲む・微量栄養素の充実・期間の前半はタンパク質メイン、後半は糖質+タンパク質
⑤ 各月における身体状況の目標
1月 回復期~各部筋肉疲労を溜める
2月 エブリベンチによる体幹・全身の疲労を溜める
3月 大会1週間前が疲労のピークとし、最後の5日間で疲労をしっかり抜く
【重量設定】
ここでは前述の分割トレーニングで行う補助種目の重量の設定を紹介します。
自分の基本的な考え方として、個々の筋力が強くなれば全体の底上げになるという考えがありますので、今回の大会において必要な種目の目標となる重量設定をしておきます。
インクラインベンチプレス ベンチプレスの70%以上(155㎏)
デクラインベンチプレス ベンチプレスの90%以上(200㎏)
ミリタリープレス ベンチプレスの50%以上(110㎏)
スクワット ベンチプレスの90%以上(200㎏)←ここは参考にならないかもしれません・・・
それぞれ、5×5ルーティンなどを取り入れて重量を追い求めていきます。
結果として
インクラインベンチプレス160㎏○
デクラインベンチプレス200㎏×3○
ミリタリープレス100㎏×
スクワット192.5㎏×
となりました。
未達成のものに関しては次回への持ち越しとなりそうです。。。
【ベンチプレスに関するポイント】
1月~2月初旬のボディビル的分割トレーニングの最中は5×5ルーティンをメインでやっておりましたので、185㎏×5(止め無し)までやっていきました。
途中までで終わってしまいますが、あまり極端なパワーフォームを組まず、筋出力を出すことを目的としています。
2月初旬~エブリベンチメインとなりましたが、ここでは細かい重量設定はせず、とにかく量をこなしました。
インターバルを比較的長く、重量はコントロール優先で出来るだけ重く、10~30セットほどを日によって変えながら行いました。
この時期に扱える重量を伸ばすことは追い求めず、コースマネジメント・コントロールに終始していましたが、たまに重量を持つとしても200㎏までにとどめています。
疲労がどんどん蓄積されていきますので、怪我をしないように細心の注意を払いつつ、怪我予防の意味を兼ねて軽い筋トレをします。
エブリベンチに限らず、反復動作では特定の方向のみの出力となりますので、ミリタリープレスやシュラッグ、時にはスクワットなどで、特定ポジションのみでの筋疲労を取り除くようにします。
動きの方向を変えることは反復トレーニングを継続するうえで欠かせないトレーニングと考えています。
2月中旬~下旬以降は、エブリベンチによる影響でコースマネジメントはとても良くなりましたが、蓄積し続けた疲労は無視できず、特に神経系統が疲れますので、どうしても動作がスローになります。
弱い関節、筋肉などが強張り、ブレーキが体中についているようなイメージです。
そのため、積極的にクリーンなどのクイックリフトを事前に行い、出力のスピードを落とさないようにしていきました。
さらに日常生活に支障をきたすほどの痛みが身体のあちこちに出てきて、精神的にも疲労してきてしまいますので、この頃から集中的に整体などに通うようにします。
ただし、このような状況下でも一定以上の重量を挙げるべきときに挙げられるように気持ちをうまくコントロールします。
例えば、自分の場合3月2日(水)には180㎏を挙げるのに本当に苦労しましたが、それで気持ちが萎えるようなことはなく、翌日3月3日(木)は試合形式で200㎏を挙げています。
そのときの集中力や心拍数などの状況をある程度自分でコントロールすることが出来るようになることで、試合での成功試技につながると思います。
3月6日以降の最終週は本当に最終調整となります。
今回は7日(月)に試合形式200㎏を軽く挙げることが出来、その確認が済んだら回復期間突入です。
各部のブレーキを取り去る作業になりますが、これも整体やストレッチング、軽い筋トレなどで動かしていきます。
ただし、ブレーキをすべて取り去ってしまうとコントロールが難しくなるので、敢えてハリを取り戻すことなどもしています。
具体的には、特に背筋側になるのですがハイプル・シュラッグ・ベントオーバーロウ・リアレイズ・ヒップスラストなどです。
背筋側が緩みすぎると、体前面が過剰にストレッチされすぎてしまいますので、注意していきたいところです。
【本番を終えて】
さて、現在は高知県より松本に戻ってまいりまして体を休めているところです。
結果から言うと、
男子オープン74㎏級第二位 記録200kg
検量71.7kg
以下は今回の目標設定の結論と反省です。
① 第一試技200kg○ 第二試技207.5kg× 第三試技207.5kg×
予定より申請を下げたのですが、少しのコントロールミスが致命傷になりました。
第一試技に関しては、若干の固さがあるもののほぼ現在の理想通りの動きで、よいリズムを作れたと思います。
ただ、やはり長距離運転の疲労がありましたので第二試技は2.5kg下げての申請でした。
いま思えば205kgでも良かったと思います。
この第二試技に関しては、完全に気合の空回りで以前のフォームに戻ってしまったことが失敗の原因です。
第三試技ではそこを修正出来たのですが、第二試技で粘りすぎて力尽きました。
明確な失敗試技だったので、まずはしっかりとそこを修正して次回につなげていきたいと思います。
② ウィークポイント
上記に挙げたような体各部の操作方法に関しては、練習段階でかなり修正出来ています。
ただし、本番で緊張感がある中、高重量に挑戦するときに体幹部の動きが固くなるので、より柔らかく練習していくことを次回の課題にしていきます。
コースマネジメントやコントロールに関しても無意識で操作できるように反復練習を欠かさないようにします。
③ 克服方法
いま現在全ての課題をまずは明確にし、細かい部分の調整をしていきますが、5月の世界クラシックベンチプレス選手権まで日数に余裕があまりないので、取捨選択していかなければなりません。
優先順位をどこにするか、目下悩み中です。
④ サプリメンテーション
これに関しては、摂り方、タイミング、量などを微調整していきますが、大まかには今回の「期間前半はタンパク質メイン、後半は糖質+タンパク質」で自分の身体には合っているようです。
特に試合が近づいてきている時には糖質を比較的多めに摂ることが体調管理につながりました。
次回も研究していきます。
⑤ 状況
次回の世界クラシックに向けての予定を書いていこうと思います。
・3月 身体各部の確認・強化
・4月 中旬までエブリベンチにより、全身の疲労を溜めこむ
1週間オフ
5月10日までピーキング
今回はピーキングなしだったので、次回はピーキングを入れていきます。
ここも試行錯誤ですが、より高い位置を目指してまだまだ頑張りますので、皆さん応援宜しくお願い致します!
ここまで読んで頂いて、ありがとうございました。
土佐と言えばカツオとウツボ!
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■コラム執筆者
鈴木佑輔
長野県パワーリフティング協会副理事長
所属 B.A.D.
http://www.bodyartdesign.net/
ジャパンクラシックベンチプレス選手権5連覇
2010年~2015年
2014年アジア・オセアニア選手権MVP
66㎏級ベンチプレス ベスト記録 190.5㎏
日本記録・アジア記録保持
74㎏級ベンチプレス ベスト記録 212㎏
アジア記録保持