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コンタクト系球技に必要な頚部トレーニング

読者の皆様こんにちは。

日本各地で桜も開花し、春の日差しが心地良くなってきました。

学校ではもうすぐ新学期となり、運動部でも新入部員を迎え、活気付く頃だと思います。

どの年代でもそうですが、新入部員には、まずは競技のルールやチーム内での決まりごと等を教えるところから入って、基礎スキルを教えたり、競技に必要な基礎体力を養成するようなトレーニングを課しながら、徐々に上級生と一緒に練習が出来るように慣らしていくと思います。

しかし、上級生の部員数が少ないチームにその競技の経験者が入部してきた場合は、これらの段階をスっ飛ばして、いきなり上級生と同じ練習に参加させたり。

或いは春からの新人戦にいきなり出場させたりする事もあるのではないでしょうか?

勿論そういう事をしても大丈夫な競技も沢山ありますが、ラグビーやアメリカンフットボール等のコンタクト系球技、或いは格闘技でこれをやってしまうと、取り返しのつかないような大怪我をさせてしまう可能性があります。

特にラグビーやアメリカンフットボールは日本の中では決してメジャースポーツとは言い難い競技人口であるにも拘らず、他のスポーツに比べて試合をする為に必要なプレーヤー数が多いので、有望な新人は即戦力として期待をかける場合が多いのが現状です。

その為、高校の試合で中学生のような身体のまま県大会上位レベルに出場しているケースも多々見受けられますし。

高校生のような体格で大学の春のオープン戦にAチームで出場している選手も良く見受けられます。

これらが決して悪いというわけではありませんが、いくら彼らが競技パフォーマンスに優れているとしても、身体的強度は新たなカテゴリーにまだまだ適応出来ていないという事を十分認識して、監督者はしっかり注意して観察しなければなりません。

そしてその有望な選手を潰してしまわないように、身体作りのためのトレーニングをしっかり行わせなければなりません。

中学-高校-大学-社会人

とカテゴリーが上がっていくにつれて決定的に違うのが、やはりコンタクト強度だと思います。

その為、当然身体全体をマッスルアップさせていかなくてはなりませんが、とりわけ重要なのが頚部のトレーニングだと思います。

言うまでも無く、頚部のトレーニングを行う事で、脳へのダメージや頚椎損傷などのリスクを軽減する事が出来るからです。

しかしながら、この重要な部位のトレーニングが疎かになってしまっている指導現場が実は少なくないと私は感じています。

勿論、トレーナーやストレングスコーチの居ない規模の小さなチームの場合もそうですが、逆に全国大会に出場していたり、名門と呼ばれるチーム。

ウエイトトレーニングやコンディショニングには力を入れているチームにおいても、この重要部位のトレーニングが、ぽっかりと抜け落ちてしまっている。

又は春先しか行われていない等という現状を見聞きする事があります。

しかしチームのメニューに無いからと言って、そのままやらずにいるのは非常に危険です。

今回は簡単な器具や自体重で出来る頚部のトレーニング例をいくつかあげようと思います。

【ネック・エクステンション】

LEVEL1:  4ミニッツ ネック・エクステンション

負荷なしで4分間、仰向け・うつ伏せで首を浮かせたまま前後・左右・捻りと首をゆっくりと一動作につき8秒かけて動かし続ける。

徐々にきつくなってくると速く動かしたくなりますが、必ずゆっくりとした動作で続ける事。

頭の位置が下がらないように常にニュートラルポジションをキープする事。

4分×2セット

※最初は2分~3分から始めて徐々に4分まで伸ばす。口の中で舌で上顎を押すようにして行う。

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LEVEL2:プレートを使った4ウエイネック

5~10kgのプレートを使い前後・左右 4方向にゆっくりと首を動かす。

10回×3セットずつ

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LEVEL3:徒手抵抗での4ウエイネック

パートナーに徒手で負荷をかけてもらい前後・左右 4方向にゆっくり首を動かす

10回×3セットずつ

※必ずウォーミングアップでパートナーと可動域や負荷の強さについて認識を合わせてから行う。

コントロールされたスピードでお互いが呼吸を合わせ、絶対にふざけたり、遊びで行ってはならない。

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【ネック・スタビリティ】

LEVEL1:フロアブリッヂ

最初はバックブリッヂとフロントブリッヂ。

慣れてきたら3点倒立を加える。

30秒~60秒キープ×3セットずつ

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フロントブリッヂ・バックブリッヂは慣れてきたら手を離し、前後左右に動かす。

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 LEVEL2:バランスボールブリッヂ

不安定な状況下でのブリッヂ。慣れるまではパートナーに抑えてもらう等しながら徐々に慣らしていく。

最初はキープのみ。

慣れてきたら自分でコントロール出来る範囲で揺らす。

30秒~60秒キープ×3セットずつ

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LEVEL3: バランスボールブリッヂダンベルプレス

LEVEL2にダンベルベンチプレスを加えて更に不安定な状況下で首を固定しながら上半身の運動を伴わせる。

30~60秒で10回のプレス×3セット

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 LEVEL4:フロアブリッヂオンザパートナー

LEVEL1のバックブリッヂに人を乗せて強度を増す。

※絶対に遊びで行ってはならない。

※最初は人ではなくプレートなどで慣らす。10~30秒×3セット

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【その他】

LEVEL1:シュラグ&ファーマーズウォーク

ダンベルシュラグで僧帽筋に負荷をかけた状態で頚部を安定させながら歩く。

歩く事で揺れるダンベルをコントロールしながら僧帽筋と頚部の緊張を解かないように安定させる。

10~15m×3セット

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 LEVEL2:ヘッドハーネス&ベントロー

頭部に重りをぶら下げて負荷をかけながら頚部から脊柱にかけてを真っ直ぐ保ちダンベルローイングを行う。

揺れるプレートに耐えながら姿勢を保持する。

ローイング動作は必ずコントロールされたスピードで行う。

30~60秒で10回のローイング×3セット

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LEVEL3:バンドランジ

エクササイズバンドを使い体幹から首までを固定したまま前後・左右にランジを行う。

必ずランジ動作はコントロールされたスピードで行い、バンドの硬さや伸ばす距離で負荷をコントロールする。

前後左右10回ずつ×3セット

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【まとめ】

今回は最小限の道具やスペースで個人でも出来る種目を紹介しました。

繰り返しになりますが、コンタクト系球技を行ううえで、頚部のトレーニングは必須です。

地味で楽しくないかも知れませんが、必ず行わなければなりません。

ルール上、競技力向上の為に身体を鍛えるのは、相手の身体にダメージを与える事にも繋がります。

その反面、危険な競技である事を認識させ、自分の身を守るという発想でトレーニングを行う事は、選手に恐怖感を持たせ、マイナスであるかのような印象を持たれてしまう場合もあります。

また、ラグビーやアメリカンフットボールを行っている人や、その家族にとっては練習や試合で腕や足の骨が折れたり靭帯が切れてしまう事は、そう珍しい事でもなく、怪我に対する感度が鈍ってしまっているという場合もあるかも知れません。

しかし、スポーツは所詮スポーツです。

「命を懸けて戦う」という場合もありますが、本当に命を失ってしまったり、大事故を起こしてしまっては、周囲に大きな悲しみを与えてしまい、結果的にあなたの愛するスポーツの価値を下げてしまう事にも繋がります。

命を失ってしまったり、生涯にわたって後遺症が残るような怪我を負う可能性は0.1%でも減らしたい。それが普通の考えだと私は思います。

自分の身体は自分で守るしかありません。

コンタクト系球技において、自分の身体を守るという事は鍛えるという事です。

他の人がやってないから。チームのメニューに無いから。時間が無くて出来なかった。

怪我をしてからベッドの上で、こんな言い訳を後悔する事にならないように、今から鍛え始めましょう。

 

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■コラム執筆者

佐名木宗貴
ベスト記録(ノーギア)
スクワット 241kg
ベンチプレス 160kg
デッドリフト 260kg

戦跡
パワーリフティング
・全日本教職員パワーリフティング選手権 90kg級 優勝
・2009~2012年 近畿パワーリフティング選手権 4連覇 75・82.5・83・90kg級4階級制覇
・ジャパンクラッシックパワーリフティング選手権大会 83kg級 準優勝
・アジアクラッシックパワーリフティング選手権大会 83kg級 優勝
・東海パワーリフティング選手権大会 93kg級 優勝

ボディビルディング
2000~2001年  関東学生ボディビル選手権 2連覇
2000年     全日本学生ボディビル選手権 3位
2011年     日本体重別ボディビル選手権70kg級 3位
2011年     関西体重別ボディビル選手権70kg級 優勝

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