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ファスティングダイエットの効果検証 その1

読者の皆様、いつもご覧頂き有難う御座います。

残暑の厳しい頃ですが如何お過ごしでしょうか?私は現在(この記事を書いているのは8月中旬から下旬にかけて)長野県の菅平高原に来ています。

ここは有名な避暑地として知られ、東京や名古屋からの交通の便も良い事から比較的気軽に行ける夏季合宿地として、様々な競技のアスリート達が夏は入れ代わり立ち代わり訪れる合宿の聖地と呼ばれています。

特にラグビー界では日本全国から多くの高校・大学チームが訪れ、主に走り込みや練習試合を繰り返し行う事で知られています。

「夏の菅平を乗り越えて…」っと地獄の合宿の代名詞として多くのラグビー関係者の思い出に残る場所です。

8月でも朝夕は長袖を着ないと肌寒いぐらいで、日中も日陰に入れば涼しく、ハードにトレーニングを行うには最適な環境です。

野菜や蕎麦が美味しくて、温泉もあり、湧水が冷たくて美味しいです。

当然冬はスキー場としても有名ですが、是非皆さんも一度夏の菅平高原に家族旅行がてらラグビー観戦に来られては如何でしょうか?

花園や大学選手権の前哨戦が至る所で繰り広げられています。

【ジャパンクラッシックマスターズパワーに向けてダイエット中】

さてそんな合宿中の空き時間に執筆させていただくのは、最近話題となっているダイエットのお話です。

なんでまたダイエットの話…っと思うかも知れませんが。

実は私、性懲りも無く現在ダイエット中でありまして、宿泊先の旅館の美味しい料理を前にして「お預け‼」(※自分でやってるのですが)を喰らっているところです。

選手達には食べろ食べろと言いながら自分は食べないという矛盾と、食べたい葛藤を部屋に持ち込み、寝る前にパソコンに向かい気持ちの整理をしておるところで御座います。

何の為のダイエットかと言いますと、9月17日に私の故郷である兵庫県にてジャパンクラッシックマスターズパワーリフティング選手権大会が開催されるので、それに向けたダイエットであります。

「えっ?なんで佐名木がマスターズに出るの?」っとお思いの方もいるかと思いますが、実は私こう見えて先月めでたく39歳になりまして、来年から遂にマスターズの年齢になります。

でもなんで今年のマスターズに出るの?って言うかそもそも出れるの?

そうなんです、正式には出られません。今回はオープン参加です。

何故オープンで参加するかというと、来年40歳になる年にマスターズⅠのカテゴリーで国際大会に出場する為には今年オープン参加でこの大会に出場し、良い記録を残す必要があるからです。

※JPAの国際大会派遣選手選考基準を御参照ください。

かなり回りくどい説明になりましたが、つまり来年カナダで行われる世界大会へマスターズⅠで出たいわけです。

2012年にアジアクラッシックで優勝した後、翌年にロシアで行われる世界大会への出場を模索していましたが仕事や家庭環境の変化で断念せざるを得ませんでした。

勿論今回も運良く出場権を得られたとしても、仕事の都合が付くかどうかはその時になってみなければ分かりません。

しかし日帰り出来る故郷兵庫での全国規模の大会です。

しかもちょうど今お世話になっている関西大学のアメフト部もラグビー部も公式戦の試合日程が奇跡的に重なっていない。

本当に奇跡のようにこの日だけがあいていたのです。

ここでチャレンジしなければ次はいつ出れるか分かりません。

思い立ったのが6月末でした。そして当時の体重が93kg… そう完全にスイッチを切って太り倒していたのです。

しかしこれをポジティブにとらえ「だったら今までやった事の無いダイエット方法で成功させて、ついでにコラムのネタにしたらええやん」という発想から、前々から気にはなっていたが実行に移せていなかった一日一食ダイエットでの減量に挑戦する事にしました。

つまりこの8月末掲載記事を書いている段階ではまだ成功するか失敗するかも分からない状態ですが、まずは一日一食ダイエットの概要と、様々な絶食方法について、そして8月26日までの途中経過を報告して翌月の結果報告に繋げたいと思います。

【絶食と健康】

ここ数年、健康志向の方を中心として「ファスティング」という単語を耳にするようになりました。

このファスティングとは「断食」「絶食」の意味でファスティングダイエットは「断食療法」「絶食療法」とも呼ばれています。

絶食・断食と聞くと非常に厳しい極端な方法だと思われるかも知れませんが、現在一般的に広まっているのは、断食道場などで知られる医師の石原結寛先生が推奨する方法で、人参林檎ジュースや生姜湯、具無しの味噌汁などを食事の代わりに1日4~5回に分けて飲むという内容で、年に数回、1日~1週間ほど続けるという比較的自由度のある方法が主流です。

またこのような数日間固形物を食べない所謂完全絶食は年に数回行うだけで、普段は一日一食や朝食を食べずにお昼も軽めで夜だけ食べる等といった半絶食を行うという健康法です。

ここで健康に関心のある人ならば拒絶反応を示すかも知れません。

「朝食を食べないなんて身体に悪いに決まってる」「一日三食食べないと身体を壊すに決まってる」

そう、普通の健康に関する栄養学の知識がある人であればあるほど通常の常識にとらわれて聞く耳を持たないかも知れません。

食事を抜くという事は悪い事だという常識が頭にあるからです。

しかし、実際には食べる量を減らす事で健康になった事例は数多くあるようです。

ドイツでは「ファスティングで治らない病気は何をしても治らない」という格言まであるそうです。

ここでは一旦今までの常識は忘れてピュアな気持ちで「食べない健康法」について考えてみましょう。

一般的に知られている効果には以下のようなものが挙げられます。

  • 断食を行う事で内臓が休まり、機能が改善される
  • 体内の余分な老廃物が排泄される
  • 免疫機能が改善される
  • 身体の自然治癒力が高まる
  • 血圧が下がる
  • 精神が安定する
  • 脳の機能が回復する

などなど

実際にアレルギー性疾患や高血圧、動脈硬化、脳卒中、癌、心疾患、糖尿病、肝機能障害、慢性腎炎、胃腸炎、うつ病などの精神疾患、など様々な所謂現代病の治療目的に断食療法は実践されています。

よくよく考えてみると一日三回も食べる動物は人間くらいかも知れません(詳しく調べてませんが)。一日30品目の食物を摂ろうとしているのも人間だけでしょう。

アメリカでの研究では「断食をすると抗癌作用がある」と発表もされています。

上記にあげたような病気の多くが、戦後日本人が豊かになってから増えた病である事から考えると、肥満も含めて、三食栄養のあるものを必ず食べる事が長い目で見れば必ずしも健康に繋がる訳では無いのかも知れません。
(勿論戦前は今より医学が発達していないから見逃されてカウントされていない病気も沢山あるんだろうけど)

私は元来何事も固定観念を捨てて取り入れて見たくなる性分です。

また職業柄何でも自分で試してみないと人に自信をもって伝えられませんので、今回は身をもって体験してみる事にしました。

ただし、私は自他共に認める食いしん坊ですので踏み出すにはかなりの勇気がいりましたが…。

【部分絶食のダイエット効果】

今回この「食べないダイエット」を実践するにあたり色々と文献を探していると、絶食・断食と言っても色々なやり方があるという事が分かりました。

海外ではフィットネス志向の方、年間通じて体重コントロールが必要な階級制のアスリート、或いはヨガの実践者などの間でファスティングの方法がいくつか確立されています。

まずは隔日断食という方法で、これは自由に食べて良い日と一日に必要な摂取カロリーの25%をお昼にだけ食べるという方法です。

多くの研究では被検者グループの体重が3~8%減少し体脂肪量も4~15%減少したとされています。

断食の導入としては易しい方法でこれから始めても良かったのですがカロリー計算がめんどくさいのと今回も試合までの日程が切羽詰まっているのでこれでは緩すぎる気がしたのでパスしました。

次に終日断食という方法で、週に1~2日、完全に断食する或いは先に記した石原結寛氏が推奨するような方法で必要最低限の栄養を摂るという方法です。

これも多くの研究で体重が3~9%減少し体脂肪量も減少する事が明らかになっています。

また除脂肪体重が減少しないという報告もされている事から、我々アスリートが最も恐れる「筋肉が減っちゃうんじゃないの?」という危険性もそこまでは高くないのではないかと考えられます。

断食による蛋白質の異化作用についての研究結果は短時間のものから60時間以上のものまで様々あるようですが、断食に関する初期の研究では蛋白質の異化作用が増大するのは3日目以降であるという報告もあり、我々アスリートが減量中に時計を気にしながらプロテインブレイクに走る行為も、もしかしたら考えすぎなのかも知れません。

この方法を実行しても良かったのですが、試しに1日やってみたら、ちょっとエネルギー的に私のような肉体労働を伴う仕事をするには厳しいように感じました、つまり仕事のある日に完全絶食を実行する事はリスクが高いのではないかと…。

さらに現在私の仕事は、完全に休みという日がなかなか無くて、もしも休みの日があっても家族サービスを行う中で私だけ何も食べないというのは現実的ではありません。

仕事と家庭に迷惑をかける減量は続きませんので残念ながらパスしました。

そして最後にたどり着いたのが時間制限食、イスラム教のラマダンのようなやり方です。

これに関してはあまり研究がされていないのですがNSCAジャーナルの記事には一日のうち20時間は断食して4時間だけ食べるという方法で実施した研究が載っていました。

しかし被検者の28.6%が途中でこの食事パターンを継続出来なくなって脱落するなどあまりポジティブな結論には達していませんでした。

また一日一食で三食食べる場合と同じカロリーを摂らせようとした研究でもあったのでそこにも無理があったようです。

しかし、この方法ならば私の生活スタイルでも実行可能でした。仕事の日でも休みの日でも一日一回ぐらいは人と食事が出来て(ランチミーティングや夕食のお誘い等も恐くない)社交性も家族サービスの機会も保てます。

何なら朝とお昼を食べなければ仕事する時間が二時間近く増えて効率的です。夜を食べなければ帰宅するとシャワーを浴びたらすぐに眠れるので睡眠時間が30分増えます。

また前記した石原結寛氏もこの一日一食による部分断食を推奨されていて、多くの芸能人やタレントも実践しています。

「ふむ俺の生活スタイルは芸能人と似ているのか?」

こうやってポジティブに考えてこの方法をスタートさせました。

【中間報告と途中の修正点】

私は7月1日よりこの部分断食ダイエットをスタートさせました。

8月26日現在までの約二か月間の体重変動はグラフの通りです。

【折線グラフ】

体重は毎日起床時にトイレに行った後に全裸で測定しています。

最初の方の体重の記録が無い日は出張先で体重計が無かった日ですが、後半は合宿や遠征にも自分の体重計を持ち込み毎朝同じ条件で測定しています。

グラフを見て分かる通り最初は勢い良く体重が減り始めましたが、7月の下旬頃に停滞期を迎えます。

初期の方法は週に一度のランチを食べながらのミーティングがある日を除いて、夕食だけを食べるという方法で行っていました。

しかし帰宅するのが毎日23時頃で、それから夕食を食べるのであまり健康的だとは思えませんでした。

満腹なので寝入りは良いのですが、朝起きたら顔がパンパンで…

そこで8月からは出来る限り昼食を食べて帰宅後は何も食べずに寝るようにしました。

すると体重も身体の見た目も徐々に変化し始めました。

断食を18時間~24時間行うと交感神経系の活動が亢進し、成長ホルモンの濃度が上昇し、インスリンの濃度が減少します。

それによりグルコースの酸化が約50%低下し、脂肪の酸化が最大で50%上昇するそうです。

残念ながらダイエット開始時の不細工な身体の写真を撮っていなかったのですが、体脂肪率は簡易なものですが記録しているので来月号に纏めて報告いたします。

因みにトレーニングは、多少の誤差はありますが、スクワットとデッドリフトを週に1回、ベンチを週に2回。各ウォームアップを除くと本気セットは1セットのみ。

これだけでいきました。年齢的に回復力に衰えが来ているのと仕事で時間がなかなか取れない事。

なにより絶対に怪我をしたくないというのがこの方法をとった理由です。

詳しいトレーニング方法は、大会後に纏めてご報告いたしますが体重は減ってきているのにスクワットの記録はどんどん向上し、4年前の全盛期に近い状態まで戻って来ている手応えがあります。

水分摂取は毎朝クレアチンなどのサプリと一緒に1.5ℓ、日中は必ず2ℓのペットボトルを空にするようにして、トレーニングする日はトレーニング中にも2ℓ飲みます。

あとは寝る前にノンアルビールを1缶飲む。

仕事中はコーヒーも3杯位飲んでるので水分量はかなり多い方かも知れません。

前記した石原結寛氏の著書などでは身体を冷やす可能性や漢方からくる「水毒」という考え方から多量の水分摂取は良くないとされていますが、恐らく私のような灼熱化のグラウンドやジムに立ち続ける職業やチャンピオンクラスのウエイトトレーニングを行う事は想定されていない考えだと思われますので、今回は逆にアレンジしました。

異論はあるかも知れませんが、今回の場合は健康が目的ではありませんので、ご容赦ください。

お昼の食事はバイキングに誘われる事もありますし、パスタ屋さんやカレー屋さんに行く事もあり本当に自由です。

必ず野菜から食べるようにしている事と可能ならばライスは玄米や五穀米に変えてもらう事、あとは蛋白質を追加で頼むようにしています。

最初の2週間ぐらいは日中食べたい衝動に駆られる事もありましたが、今は逆に食べるのを忘れるぐらいです。

何より胃が小さくなってすぐに満腹になってしまいます。

目標の83kgまであと3kgほどですがラスト1kgは前日にサウナでも行けば問題無いので実質はあと2kgです。

来月号で良いご報告が出来るように頑張ります。

コラムニストやコラム内容についてのメッセージは下記のアドレスまでお送りください。

コラム用メールアドレス: column@sbdapparel.jp

※どのコラム宛かを明記してください。
※お送りいただいたメールの内容は、コラムで取り上げられる事があります。

■コラム執筆者

佐名木宗貴
ベスト記録(ノーギア)
スクワット 241kg
ベンチプレス 160kg
デッドリフト 260kg

戦跡
パワーリフティング
・全日本教職員パワーリフティング選手権 90kg級 優勝
・2009~2012年 近畿パワーリフティング選手権 4連覇 75・82.5・83・90kg級4階級制覇
・ジャパンクラッシックパワーリフティング選手権大会 83kg級 準優勝
・アジアクラッシックパワーリフティング選手権大会 83kg級 優勝
・東海パワーリフティング選手権大会 93kg級 優勝

ボディビルディング
2000~2001年  関東学生ボディビル選手権 2連覇
2000年     全日本学生ボディビル選手権 3位
2011年     日本体重別ボディビル選手権70kg級 3位
2011年     関西体重別ボディビル選手権70kg級 優勝

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