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World Classic Championships 2018 Calgary / Canada 参戦記 前編(調整編)

【はじめに】

読者の皆様こんにちは、いつもご覧頂き有難う御座います。

梅雨入りし徐々に蒸し暑くなり、季節の変わり目で体調を崩される方も多いかと思いますが、如何お過ごしでしょうか?

私も大会前の調整を行う中で、まず他人と戦う以前に自分自身の体調管理、つまり自分に勝つことが先決であると、この頃よく考えさせられます。

これは例え競技者でなくとも、日々を活動的に過ごし、仕事や私生活を充実させるための大前提だと思います。

体調管理の基本はまず自分を知る事です。

そしてトレーニングやコンディショニングを生活の中に取り入れるのは日々自分自身の変化を知る切っ掛けになります。

我々の愛するパワーリフティングやボディビルなどが皆様の健やかな生活のための一助となるよう今後も微力ながら精進してまいりたいと思います。

さてこの記事を書いているのは日本時間の6月6日(水)~カナダ・カルガリー時間の6月8日(金)にかけてです。

つまりカナダに向けて飛び立つ前の成田国際空港の待合スペース~エアカナダの機内~現地に到着して1日目(日本から見ると時差が-15時間なのでもう一回6日水曜日が来たところ)の夜~2日目(カルガリーの7日)の夜~3日目(自分が試合をする日でカルガリーの8日)の早朝までに書き綴ったものです。
(※実際には帰国後に多少加筆修正しています。)

タイトルでも書きましたように今月と来月は誠に恐縮ながら私の参戦記とさせていただきます。

今回挑戦した大会は「World Classic Championships 2018 Calgary / Canada」

というノーギアパワーリフティングの世界一を決める大会で、私が出場するのはマスターズⅠ(40歳以上の部)の83㎏級です。

ではまずこの大会に向けた私のここまでのトレーニングと、いつも問題となるダイエットについて振り返ります。

途中日記のような形で書き綴っており非常に文量が多く読み辛いかと思いますがご容赦ください。

【トレーニングは順調しかし…体重が…】

今大会に向けて本格的にトレーニングを再開したのは4月上旬でした。

この春はJPAの中でも色々と役員や担当者の交代などがあったようで申込書類等も来るのが遅かったため「本当に出場出来るのかな?」っと少し不安なまま3月頃は過ごしていたのですが、4月になってようやく書類が来て手続きを済ませ、ようやくスイッチが入ったという感じでした。

オフ期のトレーニングはというと年末に親知らずを抜いたり、胸郭出口症候群になってしまったり、インフルエンザにかかったりと色々踏んだり蹴ったりでしたが、2月~3月は比較的順調で、重量的にも過去最高に近い重量を持つなど自信をつけていきました。

ただし体重の方は仕事やプライベートの色々なお誘いや家族との旅行などで若干気持ちを緩め過ぎてしまい一時90kgを超えるような状態でしたので、トレーニングが好調なのも純粋に体重が増加していたためかも知れません。

そのため4月から急いでダイエットを行う事になります。

食事内容は以下のように徹底しました。

【朝食】
プロテイン40g・味噌汁1杯・サンマの塩焼きなどの蛋白源・納豆1パック

【昼食】

キャベツやブロッコリーなどの茹で野菜と鳥の胸肉1枚・納豆1パック・ゆで卵3~4個
サバやサンマの塩焼き・ワカメスープや味噌汁

【夕食】

プロテイン40g・野菜スープ1杯・魚肉ソーセージ1本・ノンアルビール1本
だいたいいつもこんな感じです。

狙いは5月中旬からの最終調整を試合と同じ体重で行う事でした。

その結果体重はみるみる落ちて狙い通り5月の中旬には83.5~84.5kg辺りで落ち着きます。

しかしこの急激な体重減の影響からか好調だったトレーニングに陰りがみられるようになります。

と言うよりも3月まで好調だったまま重量を上げて行き、まだ体重が87kgほどあった4月下旬に一度ピークを持って行ってしまいました。

何故こんな事をしたのかは自分でも良く分かりませんが、自分の中で勝手に「いいね~いいね~」と調子に乗ってしまいトレーニングの重量設定に丁寧さが無かったのだと思います。

その結果、案の定5月頭に完全にピークアウトしたかのようなスランプに陥ります。

ただここでもまだ自分は楽観視していて「ここからまた徐々に上げていけば良い」ぐらいに考えていたのですが、先に述べたような急激な体重減の影響もあり、なかなか落ちたピークが戻って来ず、やってもやっても疲労だけが残るような負の連鎖へと落ち込んでいきます。

自分の中でも「ヤバいなヤバいな」と思いながらも今からトレーニング量を増やして2015年のジャパンクラッシック前のように体調を崩してしまっては元も子もないので、積極的な解決方法を見いだせずにいました。

【3回の出稽古での気付き】

そんな感じで解決法の見出せないまま時間だけが経ち、ついに調子が戻らぬまま試合の10日前を迎えてしまいます。

ここでスケジュール的にはキツかったのですが、兵庫県の西宮市まで車を飛ばし古巣のマッスルプロダクションに出稽古に行きました。

マッスルプロダクションを知らない人は少ないと思いますが、知らない人はホームページ、又はFacebookページで御確認下さい。

まずは一番調子が悪いスクワットから行いました。

内容は

225kg -〇

(当初予定していたスタート重量)

軽く感じた。

232.5kg -✖

(当初予定していた第二試技重量)

無理すれば立てそうだが怪我したくないので粘らず止めた。

この時点で動画による確認を行い、フォームを若干修正してその後何セットかトレーニングを行いました。

細かな修正点は色々ありますが、一番大きかったのは顎の向きでした、これはボディビル時代からの癖ですが私はスクワットの動作で常に上を向く癖があり、それで腹筋を上手く使えないというマイナス面がありました。

昔から気になってはいましたが、当時は筋量が多かったのでカバー出来てしまっていたのですが、今はそうもいかず、またパワーの試合を意識した練習も全く行っていなかったため、ずっと鏡を見ながら練習していたことで顎を上げるフォームが助長されてしまっていたように思います。

次にベンチプレス

これは普段普通のベンチ台でしか練習をしていないので実際に試合で使うエレイコで第三試技までやろうと思っていましたが、スクワットに時間を使い過ぎたので予定を変更して第一試技の確認だけ行いました。

140kg -〇 余裕。

こちらも肩や前腕部を痛めていたので、修正すべきフォームを教えて頂きましたが、今から全て変えてしまったら一旦は140kgすらあがらなくなってしまう可能性がありますので今回はブリッヂの組み方(ルーティン)だけ少し修正しました。

最後に5分しかなかったのでデッドリフトは200kgで10発だけやって急いで帰りました。

オーナーの藤田さんやスタッフの小原くんからも「今からフォームを変えるのはリスクが高いので今回の試合に向けては部分的に取り入れるべき」とのアドバイスも頂き、もっと色々試しながら意見をいただきたかったのですがスケジュールの都合で急いでジムを後にしました。

「これはもう一回来て本番で試すかどうかを考えるべきやな」と帰りの車のなかで考え、急遽3日後、つまり丁度試合の1週間前(5月31日)にもう一度マッスルプロに行く事にしました。

2回目の出稽古の内容は以下の通りです。

スクワット
225kg -〇

(全く問題無しスタート重量は不安なし)

230kg -△

(軽くあがったが若干浅いのでは?との事)

230kg -×

(しっかりしゃがんで立ち上がろうとしたが途中で止まってしまった。もがいて粘ればあがったと思うが怪我の危険を感じて途中で自ら潰れた)

少しフォームを修正してしゃがみが安定したが立ち上がる時に若干軌道がブレる。

結局旧式で行くべきか新しいフォームで行くべきか決められないまま終わる。

ベンチプレス

140kg -〇

(余裕。スタート重量に不安なし)

145kg -〇

(軽くあがった。第二試技も手堅く行ける感じ)

150kg -×

(普通に潰れた。第三試技は余程の事が無い限りチャレンジせずに147.5kgを確実に取りに行こうと決める)

ルーティンだけ変えるというベンチプレスのマイナーチェンジは概ね成功したと思われ、違和感なく試技を安定させると共に肩関節の怪我のリスクを減らす事が出来たように思う。

その後フォーム確認のために130kgでプレスコール有りを2reps2setsやってベンチは終わる。

デッドリフト

245kg -〇

(少し重く感じたが疲労もあるので仕方ないと割り切る。逆にこの条件で引けたんだから本番でもスタート重量で問題なしと判断した)

255kg -×

(エネルギー不足だと感じたのでここで練習を終了する)

中2日で試合形式の練習を3種目行うという強行スケジュールでしたが、スクワット以外は試したい事を試し、試合に向けて考えを纏める事が出来た。

しかし一番不安なスクワットに迷いがある状態だったので、試合までにもう一度どこかで第一試技までをテストしよう思い、ちょうど3日後(試合の5日前)に東京への出張があり夕方から3時間程は時間がとれると判断し、一般の部で同じ世界クラッシックにエントリーしている武田さんに連絡をとり、武田さんがコーチをしている東京都練馬区にあるハードコアなジム TXP にお邪魔する事にした。

TXPを知らない人はいないと思いますが、もし知らないようでしたらホームページFacebookページをご覧ください。

今回は直前の仕事のスケジュールもかなりきつく世界大会に行く為に内容的にも詰め込んできていたので、正直疲労がたまって江古田に向かう道中もフラフラだったが、折角念願の世界大会に出場するのにやり残した事は無いようにしたいのでカフェインぶち込んで気合を入れた。

TXPは東京で一番のパワーリフティングジム。

でもジムはキリスト教の教会と同じ建物の中にあり神聖な雰囲気を醸し出す。

ジムに着くと既に一般の部やジュニアで同じ世界クラッシックへ出場する選手や(※世界クラッシックは日程がマスターズ⇒サブジュニア・ジュニア⇒一般の順番で行われるためちょうどこのころジュニアの選手が最終調整をしていた)フルギアの全日本パワーの調整で来ている選手が沢山いて活気のある状態で自分も本番さながらの調整を行う事が出来た。

スクワットのウォームアップを行っている段階で武田コーチよりボトムでの左股関節の硬さ(正確には詰り感)を指摘された。

実は左膝は数年前に仕事中に痛めてしまい外側の半月板が痛んでいる状態で、今年も4月の下旬頃に仕事中に後十字靭帯を痛めてしまい、その影響で歩き方や走り方がおかしくなってしまい、その代償として左の股関節周辺が硬くなってしまっていた。

それをアップの段階で簡単に見破られた。
さすが武田コーチ(笑)

股関節の硬さ(この時は詰り感、入りにくさという表現)もあって左の爪先が若干開いていないという指摘があったのでここを意識してみることにした。

これも後十字靭帯を痛めた時から爪先を開いて膝を伸ばしてロックするのが痛いのでロックしないようにしていた事が原因だと思われる。

しかしここを意識しないと膝が伸びていないと判断されスタートがかからない可能性もあるので今回気付けて本当に良かった。

エレイコのラックを使って

スクワット

220kg -×

(少しフォームを修正したので控えめの220kgから入った。あがりは軽かったが深さが足りないとの事。これも世界大会や全日本に出場する選手を沢山見ているこのジムの方々からの指摘なのでここで見てもらっていて本当に良かった)

225kg -×

(スタートで膝の伸びを気にして膝をロックさせたら両脹脛が攣ってしまった…これ以上は疲労が残ると判断しスクワットは中止する。実は左膝が不安なのでニースリーブを普段よりキツいサイズのものに変えていた。武田コーチとも話をしたが本番じゃなくて良かったと考える事にした。ニースリーブはいつも通りのサイズのもので本番もいくことを決めた)

ベンチプレス

140kg -〇

(余裕)

145kg -×

(押しきれずに潰れてしまったがネガティブになるほどの内容ではなかったのでここで止めた。元々第一試技だけ試すつもりで来たのについついやり過ぎそうになる。ベンチはマッスルプロでの感触が良かったので本番では上手くやれそうな手応えがあった。)

デッドリフト

240kg -〇

(超軽い)

もの凄く軽かった。

TXPはプラットフォームもバーベルも数が多いので周りを気にせずじっくりエレイコのバーを使ってウォームアップする事が出来た。

アップの段階で何故かベルトが緩い時の方が軽くあがるような気がしたので試しに240kgを引いてみたらメチャクチャ軽かった。

「もしかしてベルトがきつすぎて力が入らないとかってありますかね?」っと武田コーチに相談しながらここまでの不調の原因について仮説を立ててみました。

急激な体重減によりウエストが細くなりベルトの穴が急に2~3つ変わっていたので「緩くなった」と思い込んで「もっときつく締めなきゃ」と思いきつくきつくしていたが、そのせいで逆に腹圧がかけ辛くなっているのではないか?

そこでベルトの穴を緩くして第二試技予定の250kgを引いてみる事にしました。

250kg -○

(余裕)

空気のように軽くあがりました。

今までの苦しみは一体何だったんだ…と思うぐらい簡単な事でデッドのスランプは脱しました。

もしかしたらスクワットも同じなのでは?っと思いこの後160~190kg程度で納得がいくまでスクワットをしてTXPでの最終調整を終えました。

本当に強行スケジュールでしたが、世界大会前に出来る準備は全てしたと思える収穫の多い出稽古でした。

国際大会での経験豊富な武田コーチと直接コミュニケーションをとる事が出来たのも良い経験となりました。

また同じマスターズⅠの120kg超級に出場する塩谷さん

とこの日お会いする事が出来て(※マスターズチームはこの翌日の6月4日からカルガリーに移動するが私だけ仕事の都合で2日遅れて合流する)事前に情報交換を行う事が出来た。

塩谷さんは超デカい体に似合わない超癒し系。

カルガリーについてからの不安が少し減りました。

今回のように調整に失敗して試合前に色々思い悩でしまう場合は、基本的には私は「練習で出来ない事は試合では出来ない」「準備していない事は試合では出来ない」というシンプルな原則に立ち返り、今までの苦労を無駄にするような冒険はしないように心がけます。
今回の出稽古で得たヒントや気付きの中には今回の試合で実行可能なものもあれば、今回試すにはリスクが高いけれども、1年ぐらいかけて取り組んでみたいなというものも多くありました。

私はトレーニング指導者ではありますが、普段あまりパワーリフターと一緒にトレーニングする事は無く、自分が出ない試合は全く観に行く事もなく、パワーリフティングとの繋がりは唯一このSBDコラムぐらいなのですが、本当はもっともっとパワーリフティングに触れる機会を増やさなければならないのだとこの時点で既に痛感しました。

トレーニングの上級者とパワーリフティングの上級者はイコールではありません。

勿論ボディビルでもウエイトリフティングでも同じでしょう。

そんな当たり前の事を試合直前に感じると共に、もう一度自分の中にパワー熱が沸き起こってきた事が一番の収穫でした。

またここでの経験が本番でどの様に活かされたかは来月のコラムをご覧ください。

【いざカルガリーへ】

この三度の出稽古を含めた最終調整をやり切れたのは勿論家族や職場の仲間の理解があったからこそですが、怪我をせずに乗り切る事が出来たのは治療とセルフケアの御蔭だったと思います。

今回も日々の身体のメンテナンスを梅ちゃんこと「うめもと鍼灸整骨院」の梅本尚志先生にお願いしました。

梅ちゃんについては2018年1月30日のコラムをご覧ください。

また自分自身で行った【自分で出来る簡単ケア】についても2018年5月30日のコラムをご覧ください。

さてTXPへの出稽古の翌日も東京で仕事があったので大阪に戻ったのは6月4日の夜遅くでした。計算するとカルガリーへ出発する42時間前でした。
5日は終日仕事だったので仕事後に10分だけ職場でベンチプレスを行いました。

これは本当にルーティンの確認だけ…のつもりでしたが結局スタート重量の140kgを1発だけあげました。

まぁ精神安定剤のようなものです。

帰りに夜遅くまでやっている薬局へ行き湿布薬と経口補水液を買い込みました。

翌日は朝から関空までの移動がバスで1時間。

成田への移動が飛行機で1時間。

カルガリーへのフライトは9時間半、移動中に飛行機の中で攣ってしまったりしないように考えました。

いよいよ6日。5時に起きた時点で体重は83.5kg。我ながら計算通り!

大阪の天気は雨で蒸し暑い。しかし先にカルガリー入りしている塩谷さんからの情報で現地は、夜は肌寒いとの事だったので少し厚めの上着を着て出発。

最寄り駅まで移動して、高速バスで関西国際空港へ。
チェックインまでの時間で手持ちの日本円をカナダドルに換金します。バスの中に池田泉州銀行の外貨両替割引券があったので利用しましたが、どの程度お得だったかは分かりません。

因みにカナダドルは1ドル85円程度だったと思います。

成田までの移動は安いバニラエアーというLCCを利用しました。

1時間だけなのでなんてことなかったですが、パワーリフティングの試合に行くには荷物が多いのでLCCの場合は追加料金がかかります、今回も事前にネットで追加料金を払っていましたが、それでも2kgぐらいオーバーしていたので、急遽手荷物の中に入れていた飛行機の中で飲もうと思っていた水分を2リットルその場で飲んでキャリーケースの中のものをリュックに入れなおすという事がありました。

皆さんもLCCを利用する際は重量を事前に正確に測るようにして下さいね。

成田に着いてからはエアカナダの搭乗時間まで4時間程あったので、海外用のWifiを借りに行ったり、パソコンの使える場所で仕事をしたり、このコラムを書いたりしながら出発を待ちます。


そして16:15発のエアカナダAC10便でカルガリーへ向けて飛び立ちました。

座席はなんと幸運にも非常扉の横で脚が伸ばせる広さ‼
隣席のカナダ人(京都と奈良に観光に来ていたらしい)とも仲良くなり事前にカルガリーの情報を仕入れた。

時差が-15時間もあるので、現地に着いたらもう一度6月6日(水)を昼からやり直すようなものなので時差ボケ対策に機内ではあまり寝ないようにして、現地に着いて夜になるまで我慢してから一気に爆睡して一晩で体内時計を合わしてやろうという考えでした。

そんなわけで機内では映画を3本観て
リラックス。
体重は少しオーバーしていましたが機内食は気にせず2回とも全部食べました。

【カルガリー空港】

9時間40分のフライトを経てカルガリー空港に着きました。

空港で荷物を待っている時に警察犬を連れた空港の警察官に色々質問されて、パワーリフティングの国際大会に出場するために来たと言ったら「日本の食べ物を持ち込んでないだろうな?」と繰り返し聞かれたのでNOと答えてワンちゃんが遠くに行ったすきに荷物を回収してサッと入国した。

悪いモノは持ち込んでいないが、色々突っ込まれたら細かい事を説明するほどの英語力が無いので少し冷や冷やした。

事前の説明では、空港に着いたらホテルへの送迎バスが待っているとの事だったので暫く入国ゲート付近でそれらしき案内人を探したが見当たらないので案内所の人に聞いたら知らないとの事…

バス停の近くにいたバス案内の人に聞いても「IPF?ワールドカップ?知らないよ」と誰も知らない。

途方に暮れてタクシーを拾おうとしていたら日系人っぽい女性が話しかけて来てくれた。

事情を説明すると「あなたと同じバスを探している人が向こうにいたわよ」と仲間がいる事を教えてくれた。

広いバス停の反対側にガタイの良い男が2人。

近寄って話しかけてみるが全然言葉が通じない…

でも「IPF」「パワーリフティング」という単語には反応する。

ん?っと思ってたら2人が会話しだしたのでこの2人がフランス人若しくはフランス語圏の人だとわかった。

2人のうち1人は少しだけ英語が話せるようだったので少しずつ会話してみると、この2人も来ると聞いていたバスが全然来ないので困っているらしかった。

「まぁ海外あるあるやな…」ぐらいの感じで、結局何分待ったか分からないが、ようやくそれらしいバスが来て運転手に話しかけたら名簿を持っていて私の名前とホテル名が書かれていたのでようやく安心した。

ホテルに着くとまだ日本選手団は6日(初日)の試合から帰ってきていなかったので勝手にチェックインを済ませて部屋で横になっていた。

部屋は1人で泊まるには広すぎるツインの部屋で

ホテルの中には体重計の置いてある部屋があったので

体重を計ったら83.75kgだったので機内食全部食べた割には良い感じだと思った。

そうこうしているうちに日本選手団が試合から帰って来た。

連絡を取り合っていた塩谷さんと再会し、M1-105㎏級に出場する竹澤さん、M2-59kg級の椎木さんらと一緒に買い出しに行く事になった。

銀行に寄ってから近所のスーパーマーケットへ行き
とりあえず必要な水分や蛋白質を仕入れてきた。


1時間ぐらいスーパーで買い物をして帰って来ただけなのにホテルに戻ると体重が700gも減っていた。「何だこりゃ?この体重計大丈夫なのか?」っと不安になったが他の日本人選手に聞いたら試合会場の体重計よりも300gほど軽く出るとの事だったので、という事は700g減ったのは間違いないだろうと思った。

後々分かった事だが、カルガリーは標高1300mの高地だった。
つまり我々からすると歩くだけでもかなりのカロリーを消費する場所なのだ。

私は寝不足だから疲れているんだろうと思っていたが実はそれ以上に体に負担をかけている状態だったのだ。

そんな事とは知らずに「まぁ食って大丈夫って事だろう」とスーパーで買ってきたチキンを1匹食べた。

【6月7日:試合会場の下見とセコンド】

身体は疲れているのに全然眠れなかった。

というよりは1時間寝ては起き、1時間寝ては起きって感じですぐに目が覚めてしまう。

何か身体がおかしいな??
と思いながらも朝の体重測定へ


おい!減り過ぎやろ!なんでやねん!
少し不安になる。

朝食会場に行くと重量級2人がジャンキーなものを食べていた。
えっ?これが朝食??
野菜が全く無い。

戸惑いながらも最低限蛋白質は摂れそうなものを食べた。

コーヒーだけ異常に美味かった。
我々の泊まっていたホテルグレンモアインの外観はこんな感じ


かっこいいハーレーが似合う田舎町です。


海外の試合あるあるなのだが…前日の試合でも色々と急なスケジュール変更等があってバタバタしたようで
日本チームは早めにロビーに集合し朝一番のシャトルバスで会場へ移動。

会場はラリーポイントという体育館で名前の通り通常はバレーボールに使っているようだ。

試合会場はこんな感じで

眠いのでコーラがぶ飲み

アップ会場

ステージ

SBDのブース

ステージは照明が落ちるとこんな感じです。いい雰囲気ですよね!テンション上がります‼‼

会場の裏にはジムもあってトレーニングをしている選手もいました。
街に出るとUFCジムという総合格闘技のクラスがメインのジムもあって最高の広さと雰囲気でした。

さてこの日の午前中はセコンドに入りました。
同じ大阪から来られていたM3-74kg級の安倉さんです。
前に一度マッスルプロでお会いしたことがあり本当に久しぶりの再会でした。

今大会はスクワットが異常に厳しくとられる大会で特にワイドスタンスの選手には辛く、安倉さんもワイドなので心配でしたが(俺もだけど)キッチリとしゃがんで文句なしの3本取りで好発進。
ベンチは第一と第二を確実に取って、この時点で2位争いが出来そうな予感。

しかし海外勢はデッドが強いので、まずは練習してきた事をしっかり出そうとデッドも安全なところから引いて第二試技までは危なげなく成功。

ベンチがメチャ弱だったカナダの2人が予想通りデッドはメチャ強で最後まで何キロ引いて来るのか見当もつかない。

しかし2人のうち1人が第二試技を落としたので第三も落とす可能性はあった。
スウェーデンの選手は第一と第二を落としてるのでチャレンジしてこないと思い、ここで実質3位以上が確定。

あとは安倉さん本人がどうするかだが、練習で1度あがった190kgに挑戦する事にした。
あがれば2位確定。落としても競っているカナダの選手が第三も落とせば2位だった。

結果残念ながら190kgは失敗。そしてカナダの選手は第二試技で落とした220kgを引いて成功。
敵ながらアッパレ‼ 安倉さんは銅メダルとなった。

普段は1人で試合に出るのであまりセコンドについてもらう事も無く、当然つく事も無いので経験の浅い自分でどれほど役に立てたかは分からないが、本当に良い勝負を見せてもらった。

試合は午前の部と午後の部に階級で分かれていて、午後も日本人が沢山出場するのだが、申し訳ないが翌日の試合に備えて一足先にホテルに戻って休ませてもらう事にした。

ホテルに戻ると体重は83.75㎏

セコンド中にコーラ2ℓとBCAAやクレアチンの入った水を2ℓ飲んだ割には軽い。
「このまま寝て起きれば82㎏台で朝食が食えるぐらいだな」と思い、前日と同じく買ってきたチキンを食べて横になった。

カルガリーの夜は明るい。
冗談抜きで夜の10時ぐらいまで明るい。
窓の外は9時過ぎでこんな感じだ

やっぱりこの日も眠れなかった。なんか身体がおかしい。
でももうやるしかない。1時間おきに目が覚めてトイレに行ってを繰り返すうちに
またすぐ明るくなった。
もう朝なんだか何なんだか良く分からない。

今月はここまでです。

続き【試合編】は来月に‼

 

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■コラム執筆者

佐名木宗貴
ベスト記録(ノーギア)
スクワット 241kg
ベンチプレス 160kg
デッドリフト 260kg

戦跡
パワーリフティング
・全日本教職員パワーリフティング選手権 90kg級 優勝
・2009~2012年 近畿パワーリフティング選手権 4連覇 75・82.5・83・90kg級4階級制覇
・ジャパンクラッシックパワーリフティング選手権大会 83kg級 準優勝
・アジアクラッシックパワーリフティング選手権大会 83kg級 優勝
・東海パワーリフティング選手権大会 93kg級 優勝

ボディビルディング
2000~2001年  関東学生ボディビル選手権 2連覇
2000年     全日本学生ボディビル選手権 3位
2011年     日本体重別ボディビル選手権70kg級 3位
2011年     関西体重別ボディビル選手権70kg級 優勝

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