【はじめに】
読者の皆様、いつもご覧頂き有難う御座います。
このコラムが掲載されるのは12月30日ですので、皆様2018年を振り返られているところかと思います。
毎年日本漢字能力検定協会が発表する「今年の漢字」というものがありますが今年は「災」だそうです。
あまり良いイメージの字ではありませんが、豪雪・地震・猛暑・台風・豪雨などなど自然災害の多い年であったため致し方ないかなと思います。
私が今年1年を漢字一字で表すとすれば「動」だと思います。
恐らく2017年も一字にするなら「変」とか「新」若しくは「再」だったと思いますので、2017年に変えたものや新しく始めた事、再開したものを軌道に乗せて動かそうとした一年だったと思います。
またパワーリフティングで言うと6月に念願の世界大会に出場する事で自分の中で止まっていた時計が再び動き出したような一年でした。
一年後の2019年の年末はどのような字を選ぶ一年になるのでしょうか?
皆様にとって良き一年となるよう祈っております。
【ご報告】
それでは今月も本題に入る前に大変恐縮ながら御報告をさせていただきます。
11月23日(祝)~24日(土)に兵庫県明石市にて行われました、ジャパンクラッシックマスターズパワーリフティング選手権大会のマスターズⅠ-83㎏級に出場し優勝する事が出来ました。
皆様ご存知の通りこの大会は9月22日-23日に北海道の江別市で開催するはずだった大会ですが、震災の影響で急遽延期となり開催地を変更して凡そ2ヶ月後に開催されるはこびとなりました。
私は現在大阪府在住ですので、この開催地変更は移動の距離も短くなりコンディション作りの面では有利になるものではありましたが、一度決まっていたスケジュールを組みなおすにあたり家族や職場の方々にも色々と迷惑をかけてしまうため、一度は出場を諦めようかとも考えましたが、日程や開催地の変更、自然災害の影響、家庭環境や自身の健康状態の変化などで、どんなに出場したくても諦めざるを得なかった仲間がいる事を思うと近くなった自分が簡単に諦めるわけにもいかないと思い、何とか無理やり調整をし出場する事が出来ました。
体調も本調子でなく、肩や腰の怪我もあり十分な調整が出来たわけではありませんでしたが、自分が好きでやっているパワーリフティングの全国大会に出場出来る幸せと感謝の思いを胸に今出来る精いっぱいの記録を残してきました。
と言う訳で本来であれば今月のコラムはこの大会への参戦記にする予定だったのですが、振り返ってみると、あまりにも怪我ばかりで記事に出来るような練習内容でもなければ、試合内容も検量オーバー⇒再検量でギリギリパス⇒ぶっつけ本番スクワット⇒スクワット後に足の痙攣⇒肩が痛くてベンチ全然駄目⇒デッドも不発⇒項垂れて階段降りたらJADAの人が待ってた⇒1回目の尿の比重が薄くてアゲイン⇒2時間半オシッコ出なくてJADAの人と世間話してたら仲良くなる⇒やっと濃い尿が取れて解放⇒誰とも写真撮ってない(涙)
こんなところで、特に書けるようなものでもないので今回はスルーさせていただきます。
それでも優勝は優勝ですので、来年3月のアジアオセアニア大会、6月の世界大会、そして12月のアジア大会への切符を手にしたことになります。
3月のアジアオセアニアはオーストラリアのゴールドコーストです。私は長くラグビー関係の仕事をしておりますのでオセアニア地区には非常に親しみがあり興味のある大会でもあります。
ただ時期が時期なので(仕事が忙しい時期なのです)この大会に挑戦するか?それとも2月のジャパンクラシックに挑戦するか(茨城県つくば市)今はまだ考え中です(12月17日現在)。
因みに1月20-21日に地元大阪府堺市にて開催されるジャパンクラシックベンチプレス選手権大会にも参加を検討していましたが21日に仕事が入ってしまったため出場は取りやめ20日の審判希望だけWEBで出しました。
話を戻しますと、来年一番のメインはやはり6月の世界クラシックです、開催地はスウェーデン南部のヘルシンボリという街です。とにかくこの試合にベストの状態で出場する為に全ての準備を積み上げていこうと思います。
12月のアジア大会はオマーンの首都マスカットで開催されるとなっておりますが、開催地が変わるという情報もありまだ不透明なところです。
今年のアジア大会も最初はフィリピンのマニラで開催とされていたので出場するつもりでしたが、いつの間にやら開催地がモンゴルのウランバートルに変更されており、予算やクラッシックマスターズとの日程の近さ、寒さで体重調整が難しい事等を考慮し出場を見送りました。
来年も出来る限り多くの大会に出場していこうと思いますので引き続き応援宜しくお願いいたします。
【2級審判への道】
それでは今月は今年8月末のコラムで書きました
審判から見える世界の続編です。
今年7月の近畿ベンチプレス選手権で初めて審判員を経験させていただいたわけですが、その中で私が判定する事が許されない試技が幾つかありました。
それが日本記録への挑戦試技です。
(現在のルールでは近畿大会や関東大会などのブロック大会と全国大会で日本記録は認定される)
私は現在3級審判の資格を有しており、全国大会以外では主審・副審、全国大会では副審のみを行う事が出来ます。
しかし日本記録に挑戦する試技では主審・副審3人ともが2級以上の審判でなければならないという規定があるため
【JPAホームページより日本記録等認定等に関する規定】
http://www.jpa-powerlifting.or.jp/2015/wp-content/uploads/2015/09/japan-record-regulations.pdf
日本記録への挑戦試技がある度に私と2級以上をお持ちの先生とが入れ替わる必要がありました。(私以外の2人の審判は2級以上であったため)
このような経験から「どうせなら俺も2級を取ろう」と思うようになりました。
3級審判員から2級審判員への昇級審査を受けるためには以下のような条件をクリアしなければなりません。
①2年以上の審判実務経験を有し
②8回以上の公式競技会において審判を行い優秀と認められる
③審判実務経験のうち少なくとも3回はパワーリフティング3種目の競技会であり
④2回以上の主審を経験していること
【JPAホームページより公認審判員規定】
http://www.jpa-powerlifting.or.jp/2015/wp-content/uploads/2018/11/sinpankitei.pdf
つまり最短でも2020年の7月まで8試合の審判実務経験を積み(あと7試合)、パワーリフティング3種目の試合で3回審判を行い(あと3試合)、そのうち2試合で主審をすればよい訳です(あと2試合)。
なかなか長い道のりですが、職業柄長期的な計画を立てて実行していくのは嫌いではありません。
何とか最短で2級の取得を目指していく過程でパワーリフティングへの理解を深めながら競技者とは少し違った審判から見えるパワーリフティングの世界観を皆様にお届けできればと思います。
【長野県秋季パワーリフティング・ベンチプレス選手権大会】
それでは私の審判経験2回目となりました、12月2日(日)に長野県松本市にて開催された、長野県秋季パワーリフティング・ベンチプレス選手権大会での審判経験についてレポートしたいと思います。
なぜわざわざ長野なのか?とお思いになるかも知れませんが、切っ掛けは10月の上旬に兵庫県のマッスルプロダクションジムにSBDアスリートとして活躍する鈴木佑輔選手(長野県パワーリフティング協会の副理事も務める)が来られていてお会いした時に私が審判の経験を積みたいと相談をした事からでした。
また長野県は我々ラグビー関係の仕事をする人間にとっては毎年合宿で訪れる馴染みの深い場所でもありますので通常の距離感で言えば「大阪から長野?…遠っ!」と思うかも知れませんが、不思議と私の中では「あっ!松本ね!だいぶ手前やん!」という感じでした。
(ラグビー合宿のメッカ長野県上田市の菅平高原は松本市から更に1時間山を登ったところにあります)
この大会は松本市内のアイシティ21というショッピングモールの1階中央部にありますイベント広場で開催されました。
通常の体育館を借り切って行われる大会と違い、買い物に来られている一般の方々も足を止めて観戦されるためパワーリフティングを多くの方々に知ってもらうためには非常に良いアイデアだと思いました。
その反面、四方八方から多くの観客に見られながらの試合でしたので始めて試合に出場されるような方にとっては少し緊張する環境であったかも知れません。
パワーリフティングはまだまだマイナー競技ではありますが、若者からお年寄りまで様々なカテゴリーに分けて競技が行われており、シングルベンチなど参加しやすい大会も多くあります。
今後競技者を増やしレベルを高めていくためには、実際に試合を見ていただき広く一般の方々にこの競技を知ってもらう事が重要です。
このような大会が他の地域でも沢山行われるようになれば良いと感じました。
【チャレンジの部】
それでは審判の話にうつります。
この大会は午前中にシングルベンチプレスを2グループ、午後からパワーリフティングを2グループに分けて行いました。
私は全てのセッションに審判として参加させていただきましたので非常に長丁場でしたが沢山の試技を判定する事が出来て経験値を一気に高める事が出来ました。
午前のシングルベンチプレスは副審のみで左右両側から前回の近畿ベンチ同様に判定を行いましたが、この大会はJPA登録選手で競われる部門と選手登録未登録ではありながら今後競技者としてチャレンジしていくためのチャレンジの部というものが設けられていました。
このチャレンジの部の選手が試技を行う場合は判定を甘くしてくださいと事前に申し合わせがありましたので多少お尻が浮いていたり踵が動いたりしても上がっていれば白を上げようと思っていましたが、試合が進むにあたりどの選手が登録選手でどの選手がチャレンジの選手だったか覚えきれなくなってきて、一応アナウンスで「チャレンジの部です」と言っては貰えるのですが、ハッキリ聞き取れなかった時もあり
(ショッピングモールなので当然雑音もあり尚且つ2階には映画館もあるのでマイクの音量をそこまで大きくは出来ないようでした)
「この選手どっちやったかな?」
と思いながら一貫性の無い判定をしてしまった場面もありました。
勿論チャレンジの部を設けるのは競技人口の拡大のためには非常に良い試みだと思いますので、登録選手とセッションを分けて行うようにすれば尚良いと思いました。
【スクワットの副審位置から見える世界】
午後のパワーリフティングも最初のスクワットでは2セッションとも副審でしたのでスクワットの副審を経験した感想と新しい発見を述べたいと思います。
まずスクワットのルールですが一番重要な事はやっぱり深さです。
ルールブックでは「ヒップジョイント部の大腿部上面が膝の上面よりも低くなるまでしゃがむ」とあります。
なかなか難しい表現ですし太腿の太さによって見え方も違うので難しい所ですが、大腿部が床に対して平行よりも深く見えればOK、平行は失敗!というように見ておけば大丈夫だと思います。
詳しくはJPAのホームページでルールブックをご確認ください。
【JPAホームページよりルールブック】
http://www.jpa-powerlifting.or.jp/2015/wp-content/uploads/2018/06/d57e8bf2f2a7eeaa646a93cb8627f24a.pdf
潰れる以外の理由で審判が赤判定を上げる時はナンバーカードを使ってその理由を明確にしなければなりません。
スクワットで使用されるナンバーカードは以下の通りです。
1番(赤):しゃがみが浅い
2番(青):膝が伸びてない
3番(黄):それ以外(例:足が動いた・合図無視・ダブルモーション・自分でラックに戻さなかった)
です。
1番のしゃがみの浅さは後で書きますが、2番はスタートの時点で膝が伸び切っていないと思えば手を下ろしませんので自分が手をまだ上げているのに主審の判断でスタートがかかった場合はこの2番で赤を上げます。フィニッシュでも膝が伸び切っていないのに主審がラックをコールした場合は赤を上げなければならないのですが、正直言ってどちらもとり辛い反則だと思いました。ニースリーブを履いているためニースリーブのシワなどで少し曲がっているように見える場合もありますし、副審も真横から見ている訳ではありませんし補助者も横に立っているので完全に真っ直ぐかどうかを確かめるにはかなり身体を乗り出さないと見えないからです。
(この試合会場では副審は斜め前の位置から動く事が難しいセッティングでした)
また、スタート時点で伸びていないように見えても立ち上がって静止した時に同じ角度に見えれば「この人の真っ直ぐはあのぐらいなんだ」と判断して白を上げてしまいます。
特に高齢の選手だと完全な真っ直ぐには出来ない状態である場合もあるので、完璧に真っ直ぐを求める事は出来ないと思いました。
ただ国際大会などでは厳格にとられる事もありますので、ニースリーブを履く時に膝の裏にシワが出ないように履くとか、膝を最大限伸ばして合図を待つ事が出来るように練習の時から意識するなど準備は必要だと思います。
3番は恐らく合図無視以外では使っていないと思いますので省略します。
それでは1番の深さについてですが、まず副審の位置からどのように見えているかと言うと丁度このような感じです。
これは大会や会場の広さによって違いますが、多くの試合では副審の席は選手の斜め前にあります。
(国際大会でもだいたい斜め前です)
副審は自分が見やすい位置に椅子をずらす事もありますがステージの幅やプレートが置いてある関係で大きく位置は変えられない場合が多いです。
試合の時は勿論3人の補助者が付きます。重量が重かったりフルギアだったりするとサイ
ドに2人ずつ補助者が付いたりするので実はこの位置にいる副審からは手前側の膝とヒップジョイントを正確に見るのは困難なのです。
そのため副審が斜め前にいる場合、最もクリアに見る事が出来るヒップジョイントと膝は座っているのと反対側の関節ということになります。
この位置から深さを判定しようとすると、まずヒップジョイントが落ちている事を確認するには以下の三点を見る事になります。
①膝頭と大腿部前面との位置関係と角度
②股関節屈曲により生じる大腿部上部前面と下腹部の接地面
③股の下から見える臀部の位置
これらを判断材料に判定を下します。
よく試合会場でステージの横から見ているセコンドの人が判定に対して意見を言う場面がありますが、真横から見ているのと斜め前から見ているのではかなり見え方が異なります。
あくまで審判の位置からどう見えているかが判定に関わりますので練習をビデオで撮る場合は正面と副審の位置から撮って映像で検証するのも一つの方法でしょう。
ビデオが一台しかない場合は副審の位置を優先すべきかも知れませんね。
主審の旗は1本ですが、副審の旗は2本ですから。
あくまで私の見た感覚ではボトムで大きく上体が前傾するようなフォームは深さが判定し辛く見方によっては浅く見えるように感じました。
立ち上がる過程で多少前傾がきつくなるのはもう既にボトムを過ぎているので問題ありませんが、ボトムに下ろすまでは身体を出来るだけ立てていた方がヒップジョイントは見やすいです。
またナロウスタンスでも膝が大きく前に出るようなフォームではボトムで股関節がおりているかが判定し辛く浅く見えると感じました。
これは実際に下りているかどうかの話ではなく、審判の気持ちとして「見辛い」=「どっちか分からん」ですので下りているのに赤を付けられる可能性もあるという事を覚えておいてください。特に国際大会ではワイドスタンスで前傾のきついスクワットに異常に辛い審判もいますので注意が必要です。
この大会ではやはり初出場やチャレンジの部の選手に合図無視が多く、3番を使う事が多かったです。
また一人だけフルギアの選手がいたのですが、私はフルギアのスクワットを普段見る事が無いので一瞬「浅いかな?」と思ったものの「でもフルギアってこんなもんなのかな?」と迷って白を上げたら他の審判は赤だったので「やっぱりそうか」と自分の経験不足と優柔不断さを露呈した判定でした。
またチャレンジの部があるという事もあり「場の空気・雰囲気」的にシビアな大会と言うよりは「成功させてあげたい!」というムードが強く感じられる大会でしたのでスクワットの判定で流されないように一貫性を持つよう心がけるのはかなり勇気がいったので、これも良い経験となりました。
次にベンチプレスですが、こちらも2セッション共に副審でした。
今回は2級審査員への昇給テストを受験される方が3名いらっしゃいましたので主審はその方々が優先的にされていましたので「今回は主審は無いかな」と思ったのですが、デッドリフトの前半グループで主審を経験させていただく事が出来ました。
【デッドリフトの主審】
スクワットでは「スクワット」「ラック」の2つのコール、ベンチプレスでは「スタート」「プレス」「ラック」の3つのコールを主審が発するのに対してデッドリフトでは「ダウン」のコールだけです。
そのため主審の仕事としては最も楽なように思われるかも知れませんが、実はそうではありません。
まず試技の判定とかそういう問題以前に、デッドリフトとはパワーリフティングの最終種目です。
勝敗や記録をかけた競技のクライマックスですので、まずはそれに見合った雰囲気作りが必要だと思います。
「よぉ~し!これをあげたら新記録だ!」「これをあげたら逆転勝ちだ!」そんな場面で審判がやる気のないコールをしていたら選手も気持ちが下がってしまいますし会場も盛り上がりません。
そんなわけで、まず私が心掛けたのは「バーイズローデッド」のコールをハッキリ大きな声でコールする事でした。
「準備が整ったぞ!さぁ出てこい!あげてみろ!」そんな選手の背中を押すようなコールを心がけました。
また「ダウン」から「判定」そして次の「バーイズローデッド」までをテンポ良くコールする事で試合全体のテンポを良くして、舞台裏で待つ選手に「よっしゃ行くぞ‼」と力を与えるような試合進行を作ろうと心がけました。
そのために重要なのは補助員とのコミュニケーションです。重量変更、ブラシ、合図これをミス無くテンポ良く繰り返す事が重要です。
判定で使用されるナンバーカードは以下の通りです。
1番(赤):フィニッシュで膝が伸びていない又は肩が返っていない
2番(青):途中でバーが下がった又は膝や大腿部でバーを支えた
3番(黄):その他。合図無視・足が動いた・下ろす時にコントロールしなかった。など
私が主審をして一番気になったのは肩が返っているかどうかです。つまり肩が返っていると判断すればダウンをコールしますし、返っていなければコールせず手を上げたままです。
私も選手ですので勿論、自分があがったと思っていたら「早くダウンって言え!」と思います。しかし審判側から言えば明確に肩が返っている、若しくは返った事をアピールしてくれた方がダウンはかけやすいです。あげている途中なのかあがり切っているのか微妙なコンマ何秒かでグリップが切れて落としてしまうケースもあるので。自分の中であがっているのならば審判の顔を見て(睨む必要はないけど)「どやっ!」とアピールしてくれればタイミング良くダウンのコールが出来ます。そのうえで勿論審判も「いやっそれはまだやろ!」「膝が伸びてへんがな!」と判断しダウンをかけない事もありますが少なくとも「ん?それ返ってんの?」と迷うコンマ何秒を「あっ返ってんのね!」と縮める事は出来ます。
膝の伸びは正面からは分かりにくいですが2番の大腿部でバーを支えた、に見えるようなあげ方になると膝も曲がっている場合が多いです。
これもスクワット同様にニースリーブを着用している人は膝の後ろ側にシワがあると曲がっているように見えてしまうので奇麗に履くようにした方が良いと感じました。
主審が白で副審が赤2本のケースはだいたいが膝の伸びか肩の返りです。
3番はこの大会ではあげられなかったのと合図無視だけでしたが、ダウンのコールの後に手を放して落下しているように見える選手もいました。
勿論ルール上はダウンの後、力を抜いておろすのは問題無いのですが最後までしっかり握っていたか分からないような下ろし方はあまり好感が持てませんでした。
またこれはルールには関係ないのですが、選手の中には試合のたびにプラットフォームについて「揺れる」「柔らか過ぎる」「凹んでいる」と色々言う人がいます。
そんな意見を耳にするたびに思うのが「だったらもっと丁寧にバーベルを下ろせよ」です。
パワーリフティングを愛する人ならばバーベルやプレート、そしてプラットフォームなどの道具をもっと大切に扱うべきでしょう。
勿論3回試技がありますので少しでも力をセーブしておきたい気持ちは痛いほど分かります。しかしプラットフォームもステージも皆が苦労して組み立てて、皆で使うものです。道具が無ければ試合なんて出来ないのです。
私が尊敬するパワーリフターで練習中に強化デッドを行う為に20㎏プレートを踏んで足場を高くする際に、ジムの中にいる(普通の公共施設で知らない人ばっかり)全ての人に
「今から私は神聖なプレートを足で踏みます。これはデッドリフトを強くするためのトレーニング方法です。皆さんの大切な道具を足で踏んでしまう事になります。大変申し訳御座いませんがお許しください」と断ってからトレーニングをする人がいます。
勿論関係ない人からすると「はぁ?」というリアクションをする人もいましたが、大変立派な心掛けであると共に自分が行っている競技に対して敬愛の念を持つ人の行動だと思いました。
皆さんも道具は大切に扱いましょう。
【長野県協会】
当たり前ですが長野県は広いです。松本市はちょうど県の中央部に位置しますが前日から泊りで来られていた選手や役員もいたようです。
また役員の多くは現役選手ですので、ご自身も試合があるのに会場設営から片付けまで全てを行い2役も3役もこなしていました。
副理事長の両角さんは朝早くから会場の準備にあたられ、技術委員長として審判団を纏め、開会式でスピーチをした後、スーツからシングレットに着替えてウォームアップして午後の最初のグループに出場していました。
またSBDアスリートでもある鈴木佑輔選手も副理事長としての職務を行いながらも午前中は自信が会長を務めるBADの会員さんのサポートやセコンドを行い、午後の後半グループには選手として出場していました。
【長野県協会HP】
「この少人数でよくまわせているな」と感心する一方で「組織がコンパクトな分団結力は強いのかな」とも思える程、皆テキパキと仕事をこなし無駄の無い運営をされていたと思います。
協会としての歴史はまだ浅いようですが、広くパワーリフティングを世に広めようと沢山の試合を行い、全国大会も開催されています。(2012年のジャパンクラッシック@白馬には私も出場しました)
今後は国際大会の誘致も目指すとの事ですので、日本のパワーリフティング界を支える大きな力となりますよう長野県協会の発展を祈念いたします。
【今後に向けて】
前回の近畿ベンチで審判を経験した動機はあくまで競技者としての見識を広げるためのものでしたが、今回からは2級審判への昇級を目指した取り組みとなっています。
またこの競技に対して選手以外の形でも関わり貢献していきたいと思っております。
実はこの大会の翌週、12月9日(土)に兵庫県赤穂市のパワーハウス赤穂にて行われました赤穂忠臣蔵パワーリフティング&ベンチプレス選手権大会にも審判として参加させていただきこちらではパワーリフティング三種目の審判をさせて頂き、ベンチプレスでは主審を務めさせていただきました。
赤穂忠臣蔵大会についてはまた来月のコラムで書きたいと思います。
これで3つの大会で審判を行い、そのうち2試合がパワー三種目の大会で主審を務めましたので、先に記した規定の通り行けば私が2級審判員への昇級試験を受けるためには、あと1年半の審判実務経験と少なくともあと5試合の審判経験のなかで少なくとも1試合は三種パワーリフティングの試合で審判をすれば条件を満たすことになります。
(勿論優秀と認められなければなりませんが)
私は三種パワーリフティングのノーギアを専門とする選手ですので、フルギアの試合に対する知識も経験も不足しています。
残りの実務経験のうち何回かはフルギアの大会を入れなければならないと考えています。
本当は家から近い大阪や京都の大会で規定回数を全てクリア出来れば一番良いのですが、仕事の都合上なかなか日程が合わないので来年も日本全国どこの大会に出没するか分かりません。
もし見かけたら気軽にお声がけいただきコラムについての御感想も頂ければ幸いです。
それでは皆様、本年も1年間お付き合いいただき誠に有難う御座いました。
来年も宜しくお願いいたします。
良いお年を!
コラムニストやコラム内容についてのメッセージは下記のアドレスまでお送りください。
コラム用メールアドレス: column@sbdapparel.jp
※どのコラム宛かを明記してください。
※お送りいただいたメールの内容は、コラムで取り上げられる事があります。
■コラム執筆者
佐名木宗貴
ベスト記録(ノーギア)
スクワット 241kg
ベンチプレス 160kg
デッドリフト 260kg
戦跡
パワーリフティング
・全日本教職員パワーリフティング選手権 90kg級 優勝
・2009~2012年 近畿パワーリフティング選手権 4連覇 75・82.5・83・90kg級4階級制覇
・一般男子83㎏級スクワット日本記録樹立
・ジャパンクラッシックパワーリフティング選手権大会 83kg級 準優勝
・アジアクラッシックパワーリフティング選手権大会 83kg級 優勝
・東海パワーリフティング選手権大会 93kg級 優勝
・2018年世界クラッシックパワーリフティング選手権大会 マスターズⅠ83㎏級 5位
・2018年香港国際クラッシックインヴィテーショナル大会 マスターズⅠ83㎏級 優勝
・マスターズⅠ83㎏級スクワットアジア記録樹立
・2018年ジャパンマスターズクラッシック M1 83㎏級 優勝
ボディビルディング
2000~2001年 関東学生ボディビル選手権 2連覇
2000年 全日本学生ボディビル選手権 3位
2011年 日本体重別ボディビル選手権70kg級 3位
2011年 関西体重別ボディビル選手権70kg級 優勝