今月もご覧頂きましてありがとうございます。
SBDコラムニストの栗原弘教です。
今回は、パワーリフティングの公式試合デビューを控える方や目指している方が知っておくと役に立つ4つの事をご紹介して行こうと思います。
<目次>
・①個人と団体の違い
・②デビュー戦でのテーマ
・③重量選択の基準
・④検証と目標設定
・まとめ
これから公式戦デビューを控えている方は、大会当日の流れやどの様に試合を進めていくかなど、分からない事や不安な事が多くあると思います。
ですが、現在のトップ選手やベテラン選手も皆様々なデビュー戦を経験して現在に至っています。デビュー戦は誰しも通る道なので、出来るだけ不安なく楽しく試合を終えられれば良いなと個人的に思っています。
そこで、近年の競技人口の増加もあり、デビュー戦前に少しでも知っておくと役に立つであろう事を4つご紹介して行こうと思います。
①個人と団体の違い
まず、公式大会に参加するにはJPA(日本パワーリフティング協会)へ選手登録を行わなければいけません。(*年度更新制)
この時、個人選手登録と団体選手登録という2つのカテゴリーを選ぶ事が可能です。
個人選手登録は、その名の通り自分個人で登録を行い、試合の手続きや進行なども基本的には一人で全ての事柄を行う選手を指します。登録費用は2019年度現在では年間1万円です。
あまり周りに縛られずに自分のペースで試合を行ったり、練習をしたりしたい方は個人登録選手が向いているかと思います。
一方、団体選手登録は3人以上の個人が集まってJPAへ所属団体登録の申請を行い、受理されれば登録が可能となります。所属団体登録費用は年間1万円(*団体自体の登録費用)、団体選手登録は年間5千円の費用が掛かります。(*団体の所属選手になる場合。基本的にはこちらの費用です。)
団体選手登録をする場合は、パワーリフティングジム等が主になるかとは思います。
大会時は、多くの場合で所属ジムのトレーナーや所属選手同士でウォーミングアップを行ったり、セコンドについたりとそれぞれが相互に助け合いながら試合を進めて行きます。
(*個人登録選手であっても周りの選手がサポートしてくれる場合も多いです。)
大会時も仲間が一緒である事や、所属先のトレーナーなどが分からない事などを教えてくれたり手助けしてくれるので安心して試技に臨みやすい環境である事が多いです。
この様に、個人選手登録か団体選手登録かなどでも大会への参加の仕方は中身が変わって来ます。どちらがより良いという事は全くありませんが、自分の性格や競技とどの様に接して行きたいのかによって決定していければ良いのではないかと思います。
②デビュー戦でのテーマ(=目標)
公式大会に出場する場合、何かしら自分の中でテーマを持つ事をして頂くと良いと思います。
理由は、普段の練習と公式大会では状況が大きく異なり、厳格なルールの中での結果が出る為です。
厳しいルールの中で「今の自分は〇〇といった結果を出したい!」など自分なりのテーマや目標を設定し、それのクリアの為に試技に臨むと一層楽しめると思います。
例としては、
・デッドリフト100kgを挙げる
・9試技成功
・ベンチプレス100kg
・スクワット自己ベスト
・トータル自己ベスト更新
・合図無視をしない
・とにかく楽しむ
・ジャパンクラシックパワーの標準記録を突破する
などです。
実は、この例は全て先日行われた埼玉県パワーリフティング選手権大会に出場したMaster Mindの所属選手(デビュー戦)がそれぞれに掲げたテーマです。
このテーマを元に試技重量を決定したり、更にはトレーニング計画、ピーキング、減量などを大会前から行っています。
ベストを目指し全力の試技をした佐々木選手
危なげなくJCP標準記録突破をした堀口選手
③重量選択の基準
テーマが上記の様に決まると、多くの場合重量選択で迷います。
デビュー戦でよくあるのはこの重量選択のミスです。
パワーリフティングの場合は、それぞれの種目で第1試技、第2試技、第3試技と合計9試技行います。
デッドリフトの第3試技以外での重量変更は認められていませんし、一度失敗した重量よりも下げて申請する事はできません。
故に、第1試技を高く見積もって申請するとハイリスクであり、最悪失格(3試技連続失敗)となり記録なしとなってしまいます。
特に第1種目のスクワットの第1試技は全種目のスタートなので、失敗するととてもメンタルに響き、有力選手であってもその後立て直せないで大きく記録を落とすケースが多々あります。
したがって、重量選択の目安として全種目の第1試技は練習で2〜3回は確実に、どんな状態でも挙げる事ができる重量を選択する事をおすすめします。
私の場合やMaster Mindの選手へは、第1試技は最終のウォーミングアップという気持ちで行うという様に伝えています。
第2試技は、1回は間違いなく挙がる重量とします。
大会を重ねた場合は、平均で必ず取れる重量をここに持ってくるのをおすすめします。
第3試技は、その日の調子や自分で決めたテーマを元にして重量を決定します。
私個人としてもそうですし、Master Mindの所属選手へもアドバイスをしている事は、「第3試技は挙がっても挙がらなくても後悔をしない選択をするべき」という事です。
順位争いが掛かっている場合は自分の力量も考えながらの選択を迫られますが、練習で挙がった事がない重量を大会で挙げられる事も多くあるので、その辺りも頭の片隅に入れながらギリギリの重量選択を行うのも楽しさ、醍醐味の一つだと思います。
公式大会でベスト記録を更新した時の嬉しさは大変大きな物なので、ぜひ読者の皆さんも体感して頂きたいと思っています。
スクワットベスト更新をした菊池選手
初めて触った100kgを成功させた富久選手
④検証と目標設定
大会後は、可能な限り早く自分の試技や大会前の調整、当日の過ごし方などを検証し、次の大会や目標の設定を行う事をおすすめします。
結果が良かれ悪かれ、必ず原因がありその結果があります。
出た結果をしっかりと受け止め、原因を考え、仮説を立ててまた新たな目標やテーマを作り、その為に必要な事を日々のトレーニング計画に落とし込んでいくという作業が強くなる為、怪我をしないで長くパワーリフティングを楽しむ為には必要であり、同時にとても楽しい作業になると思います。
計画したり取り組んだ成果が大会でどの様に発揮できたのかを、毎回的確に評価改善を行えると一歩ずつ着実に記録を伸ばしていけるはずです。
無事にデビュー戦を終えた選手の皆さん
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、あくまでも私の経験や所属選手の例とはなりますが、デビュー時に知っておくと役に立つ事についてご説明をさせて頂きました。
今回の記事が、少しでもお役に立ていれば幸いです。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。
次回もよろしくお願い致します。
栗原 弘教
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東京都 Training-studio“Master Mind”所属(https://mastermind85.com)
ベスト記録(ノーギア)
105kg級
スクワット 280kg
ベンチプレス 170kg
デッドリフト 260kg
トータル 710kg
シングルベンチプレス 170kg
93kg級
スクワット 240kg
ベンチプレス 150kg
デッドリフト 250kg
トータル 635kg
戦績
ジャパンクラシックパワーリフティング大会 出場5回 最高5位
2017 東京都秋季パワーリフティング選手権大会 93kg級 3位
2018 東京都秋季パワーリフティング選手権大会 105kg級 優勝
*スクワット265kg、トータル685kgの東京都記録樹立
2019 ジャパンクラシックパワーリフティング大会 105kg級 5位
2019 東京都春季パワーリフティング選手権大会 105kg級 3位
2019 いきいき茨城ゆめ国体 パワーリフティング 105kg級 4位