今月もご覧頂きましてありがとうございます。
SBDコラムニストの栗原弘教です。
今回は、ベンチプレスにおけるブリッジを高める為に効果的なコンディショニング&エクサササイズの方法などをご紹介していこうと思います。
<目次>
・ベンチプレスにおけるブリッジの役割
・コンディショニング
− ラットストレッチ
− ウイングストレッチ①
− ウイングストレッチ②
− スクワットT-Spine Mobility
・エクササイズ
− スキャプラ・ディプレッション
− ポールベンチ①
− ポールベンチ②
・まとめ
ベンチプレスにおけるブリッジの役割
ベンチプレスにおけるブリッジの役割ですが、ブリッジが高く組めればその分バーの可動距離が短くなるので、好記録に繋がり易いです。加えて、胸や腕などの主動筋以外の背中や脚などといった部位のテンションも上手く活用出来る形になる事も役割の一つにあげられるかと思います。
競技ベンチプレスのブリッジは年々その高さを増し、近年では「0(ゼロ)ベンチ」と言われる程にバーと胸との距離がなくなるブリッジを組む選手も現れています。
冒頭の表現とやや矛盾するかもしれませんが、実は一概にブリッジが高くなれば記録が必ず出るかと言うとそうではありません。ベンチプレスはブリッジの高さを競う競技ではなく、挙上重量を競う競技です。
したがって、いくらブリッジが高いからといって、バーにしっかりと力が伝えられない事には結果が出ません。高いブリッジであり、その利点を生かし力を余すことなくバーに伝えられる選手が好記録を出していけます。
この事から、ブリッジを高くする事と自身の力をしっかりとバーに伝える事といった2つの要素を頭に入れて練習していく事で結果に繋がってくるはずです。
その中でブリッジを高くする為に重要となる部位のコンディショニング方法をご紹介していきたいと思います。
コンディショニング
− ラットストレッチ
写真の様に台に肘を着き、腕がV字型になる様に棒を持ちます。(*棒がなければタオルなど)
肘は90度程度にキープし、V字型も崩れない様に注意しましょう。
この姿勢を取ることで大円筋や広背筋のストレッチがしやすくなります。
その状態から、胸を床に押し込む様にしながらややお尻を引いて広背筋や大円筋のストレッチ感を実感してください。
加えて、肩甲骨の間あたりの胸椎にもしなりが感じられる様でしたらとても良い傾向です。
ゆっくりと息を吐きながら無理のない範囲で行ってください。
− ウイングストレッチ①
写真の様にベンチプレス台やフラットベンチで手のひらを天井に向けた状態で、シートを裏側から支え、ロックします。
この時、肘は軽く曲がる程度が理想です。
肩甲骨周辺や大胸筋、小胸筋、胸椎、広背筋、大円筋、前鋸筋などが固まっている人はとても窮屈になり、時には強めの痛みも出るので、出来る範囲で肘を曲げて行ってみてください。
肩甲骨の真ん中やや下側(胸椎T6〜9あたり)が台の端にかかる所が背中の位置になります。
スタートの姿勢からゆっくりと息を吐きながらお尻を床の方へ落としていきます。
正しくできていれば胸椎(T6〜9あたり)、脇(広背筋、大円筋など)周辺に強いストレッチ感を得る事ができます。
背中の支点がずれていたり、腰を無理に反ってしまっていたりすると上手くできませんので、注意して行いましょう。
数回繰り返し行うと胸椎伸展の動作=ブリッジが組みやすくなっているのが感じられると思います。
肩甲骨周辺も柔軟性が向上するので、スクワットの担ぎで肩肘などが痛い方、背中が丸まってしまう方などもぜひ取り入れて欲しいストレッチになります。
− ウイングストレッチ②
次に、①の状態から両膝を左右に倒します。
捻りが加わる事で、より片側の肩甲骨周辺の筋群のストレッチが強く行えます。
人によってはかなり強烈になるので、必ず①がある程度気持ちよく出来る様になってから行う様にしてください。
− スクワットT-Spine Mobility
胸椎伸展+回旋可動域の改善に有効です。
まず、フルスクワットの状態でつま先か足の甲に手を置きます。
次に対側の足の甲に手を置きます。
その状態から、上の写真では左腕を天井の方へ挙げながら身体を左回旋させていきます。
目線も常に手の指先を追う様にすると頚椎まで回旋がスムーズに行える様になります。
出来る限り腕ー肩のラインが床と直角、になる様に繰り返し行っていきます。
回旋時に上体が横にスライドしない様に注意する事も大切になります。
(*上の写真ではやや右方向へ上体がスライドしています。)
直線方向だけでなく、回旋方向の制限がかかっている方はとても多く、その制限が結果として伸展制限をかける事に繋がる事もありますので、ぜひチェックしてみてください。
エクササイズ
− スキャプラ・ディプレッション
ラットプルダウンのマシンを使用した肩甲骨下制のトレーニングです。
通常のアタッチメントを使用し、ニュートラルの状態から肩甲骨のみ動かしていきます。
上の写真の様に腕などは力を抜き使わず、肩甲骨のみ矢印の方向へV字型をイメージして動かしていきます。
肩甲骨下制の動きが出来ると協調して胸椎伸展の動きも出てきますので、とてもオススメのエクササイズになります。
動きはとても小さいので、決して沢山引くことを考えず、しっかりと肩甲骨の動きを意識して行いましょう。使用する筋肉は僧帽筋下部繊維になります。
回数は15〜20回程度を収縮感が感じられるまで数セット繰り返す様にして頂くと良いです。
− ポールベンチ①
こちらは写真の通り、ハーフポールを使用したトレーニングになります。
胸椎などが硬い方は必ず先にご紹介したストレッチなどをしっかり一通り行った後に取り組んでください。
ブリッジのトップに当たる鳩尾の後ろ側(肩甲骨下あたり)にポールを入れ、その状態でベンチプレスを行います。
重量はバーベルだけでも十分なので、無理に重くする必要はありません。
この時、肩は必ずベンチ台につける様にしてください。お尻は浮いていても構いません。
肩を台につける → ポールに肩甲骨下側が着く → 可能な限りお尻を台に近づける
といった順番でブリッジを作ります。
特に、柔軟性だけでなくポールとの接地点を軸にしてお尻を台につける様にすることで、胸がしっかりと高い状態でお尻を落としていく感覚=胸椎伸展の感覚、が養われていきます。
多くの場合、お尻をつけにいった時や重りを受ける時にブリッジが潰れているので、しっかりと背中の力で高さをキープしておく事が大切です。
− ポールベンチ②
こちらはハーフポールではなく通常サイズのストレッチポールで行います。
ハーフポールベンチに慣れた方、肩とお尻が問題なく台に着く様になった方向けです。
ハーフポールに比べてかなり高さが出ますので、取り入れる際は柔軟運動をしっかり行った後に実施してください。
方法はハープポールと同様になります。
振動ローラなどがあれば、軽く振動させながら行うのも個人的には効果を実感しやすいです。
特殊な方法ですが、通常のケアとしての使用だけでなく、ブリッジ練習として取り組んで頂ければと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか?
私自身もご紹介したストレッチや練習で低かったブリッジが少しづつですが高くなってきています。ブリッジが全てではありませんが、上手く身体を使える様になる事、柔軟性が向上し身体のバランスや感覚が変化すると言う点においてもとても有益になると考えています。
今回の記事が、少しでもお役に立ていれば幸いです。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。
次回もよろしくお願い致します。
文:栗原 弘教
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ベスト記録(ノーギア)
105kg級
スクワット 280kg
ベンチプレス 170kg
デッドリフト 260kg
トータル 710kg
シングルベンチプレス 170kg
戦績
ジャパンクラシックパワーリフティング大会 出場5回 最高5位
2017 東京都秋季パワーリフティング選手権大会 93kg級 3位
2018 東京都秋季パワーリフティング選手権大会 105kg級 優勝
*スクワット265kg、トータル685kgの東京都記録樹立
2019 ジャパンクラシックパワーリフティング大会 105kg級 5位
2019 東京都春季パワーリフティング選手権大会 105kg級 3位
2019 いきいき茨城ゆめ国体 パワーリフティング 105kg級 4位