皆様こんにちはSBDコラムニストの佐名木宗貴です。
今月もご覧頂き有難う御座います。
9月に入ってから一雨毎に涼しくなり、ようやくクーラー無しでも眠れる夜が戻り、トレーニングの調子もあがってきた頃かと思います。
私の指導する体育会の各クラブもようやく試合が出来るようになってきて、ここまで我慢し続けてきた2020年ではありますが、なんとか4回生に最後の舞台を用意する事が出来そうです。
恐らくこの先何年も「コロナ世代」と呼ばれるであろう彼ら彼女らに出来る限り良いパフォーマンスで最後の試合をしてもらえるよう最後まで気を抜かず頑張ります。
自粛中に何かプラスになる事を
さて今回は今年の4月上旬から8月上旬にかけて私が試みたダイエットの失敗談を恥ずかしながら公開する回としたいと思います。
もちろん最初は「〇〇kgのダイエットに成功!」と報告するつもりで始めたのですが残念ながら思うようにいかず頓挫してしまいました。
このままお蔵入りさせようかとも思いましたが、失敗談も皆様のお役に立つかも知れませんので、「しくじり先生」のつもりで今回は書いていこうと思います。
そもそもダイエットをしようと思い立った切っ掛けは、コロナウイルスの第一波が加速の一途をたどる4月上旬の頃でした。
出場を予定していた国際大会が2つとも延期(後に中止)となり、オリンピックも延期、コロナウイルスは世界中に広がり「もう今年はスポーツなんて到底出来ないだろう」と考え、さすがにモチベーションの低下が著しい状況でした。
そんな中でも「何か一つでも来年以降の試合に繋がる事を続けたい」
「自粛中でも継続できる試みは?」と考えた結果、ダイエットをして少し身体を絞ろう…
いやっ、あわよくば83kg級に戻そうと考えダイエットを開始しました。
実験!置き換えダイエット。炭水化物源をオートミールに変えるだけで本当に痩せるのか?
ではどんな方法でダイエットを行うのか?
もちろん普通にやれば良いのですがそれでは面白くありません。今まで自分がやった事のない方法で、しかも誰でも出来る簡単な方法を一定期間実施してその結果を検証しようと考えました。
そこで思いついたのが炭水化物源を米からオートミールに置き換えるだけのダイエットでした。
オートミールは元々日本ではあまりメジャーな食品では無かったと思いますが、昨今のフィットネスブームでダイエット食として紹介されるとボディメイク系の競技者から一般トレーニーまで幅広く食べられるようになり、YouTubeなどでも美味しく食べる方法がたくさん紹介されています。
私もここ数年色んな選手や一般のトレーニーから「オートミールって良いんですか?」と質問を受けるようになりました。
オートミールは簡単に言うとオーツ麦を押しつぶして乾燥させ食べやすくした物で食物繊維を多く含む低GIで栄養価も高いためダイエットに適した食品であると考えられ、昔からボディビルダーなどストイックな身体作りをする人にとっては人気がある食べ物です。
私自身は大学の頃に月刊ボディビルやアイアンマン、マッスル&フィットネス等の雑誌でアメリカのトップボディビルダー達がオートミールを食べている事を知り、真似してみたもののあまりにも不味くて続かなかったという苦い思い出があります。
しかし先に述べたように今はYouTubeなどで多くの食べ方が紹介され私が失敗した頃には無かったアイデアを沢山学ぶ事が出来ます。
「もう一度オートミールにチャレンジしてみよう」
「オートミールが本当にダイエットに有効なのか検証してみよう」
そう考えやってみる事にしました。
置き換えダイエット実施方法
今回の置き換えダイエットを行う前にまずはそれまでの自分自身の食事内容を簡単にまとめました。
【それまでの食事例】
朝食:コーヒー2杯(約500ml)・プロテイン60g(約700ml)・みそ汁1杯(約200ml)
昼食:妻が作る弁当(例:玄米0.66合分・ゆで卵2個・鶏むね肉150g・サラダ・その他前夜の残りもの等おかず1~2品)
夜食:絹ごし豆腐1丁・秋刀魚1匹・魚肉ソーセージ1本
水分:日中に2ℓ+トレーニングする日はサプリメントで1ℓ
トレーニングする日はこれにBCAA5g、プレワークアウト10g、クレアチン5gが足されます。
※玄米0.66合と言うのは1回で2合炊いた玄米を3日分に分けてタッパーなどで保存し食べているという意味です。
この食事内容の玄米をオートミールに変えただけです。
玄米0.66合のカロリーを約350kcalとしてオートミールに置き換えると、約92g程度で同じカロリーを摂れる事になるので、お昼の玄米をやめて92gのオートミールを食べる事としました。
ただしお昼に職場で92gもオートミールを摂ろうとすると量が多過ぎるので途中から朝食に30グラム程度、お昼に60g程度と2回に分けて摂るようにしました。
この生活を120日、約4ヶ月間行ってみた結果を自分なりに検証してみようと思います。
ダイエット開始日である4月7日の体重は93.35kgでした。3月末と4月初めに送別会と歓迎会が続いた事でかなりパンパンでした。
最初の2週間ほどはあまり体重の変化は無かったのですが3週間目に少しずつ減りはじめ91kgを切る日がちらほら出始めました。
ゴールデンウィークに瞬間的に飛び上がる日があるものの5月上旬は91kg前後で安定していて5月中旬にまたスッと1kgほど落ちました。
これはボディビル時代のダイエットでも初期によく見られた現象でずっと一定のペースで右肩下がりに体重が減っていくというよりは停滞と急降下を何度か繰り返して体重が落ちていく傾向があります。
その経験から体重の落ちが無く停滞している時でも「停滞しているという事はしばらく我慢していれば急に落ちる日が来る」と捉えて停滞をポジティブに楽しむようにしています。
オートミールの食べ方については最初の頃はレパートリーも少なく専ら以下のような食べ方をしていました。
中盤40日の体重変動
5月中旬から久々に80kg台に戻った事で「この調子やったらホンマに83kg級までいけるんちゃうん?」と期待に胸を膨らませながら更にオートミールを美味しく食べる研究を進めていきました。
5月下旬から6月上旬にかけては安定して89kg台が出るようになり、6月6日にはついに88.45kgまで落ちました。
しかしこの日を境に88kg台に戻る事は無く逆に少しずつ体重が増えて89kg後半から90kg前半を行ったり来たりするようになりました。
少し後半体重が安定しなくなっているのは食べ方を研究し過ぎたあまり、カロリーが高くなってしまった日が何日かあったためだと思います。
この時期に発見した最もおいしい食べ方は
①豪華卵かけごはん風
レンジでふやかした熱々のオートミールに卵を1個落とし鮭フレーク・塩昆布・えごま海苔・ネギをのせ麺つゆをかけてかき混ぜて食べます。
これが自分の中では鉄板メニューとして固定化され毎日でも飽きる事は無かったです。
①の中華風バリエーションとして味付けを中華の素に変えても美味しかったです。その場合は塩昆布がメンマにえごま海苔は韓国海苔に変わります。
ご覧の通り殆ど体重が落ちなくなってきました。
停滞して落ちるというサイクルは2回ほどありましたが、それよりも増える力が勝り徐々に右肩上がりになっていきました。
2日ほど瞬間的に増加しているのは避けられない会食があった翌日だと思いますが全体的な流れから見ても増加傾向だったと思います。
オートミールを食べる事にも徐々に飽きて来て味付けが濃くなりカロリーオーバーしてしまっていたかも知れません。
この頃はとにかく毎回違う味で食べたいと考え色んな味に挑戦していました。
【中止した理由】
この8月4日でこのオートミール置き換えダイエットをやめてしまいました。
実はオートミールを食べ始めてから異常にお腹にガスが溜まるようになったり急に下痢になってしまったりと日中やトレーニング中にとても苦しくなる事がありました。
水分を沢山摂ってみたりなるべく不溶性食物繊維を含むブロッコリや根菜類も一緒に食べてみたりと工夫をしてみたのですがお腹の張りは改善されず、日々の仕事中やスクワットやデッドリフトをする前にも苦しくて気になるようになり、トレーニングや仕事に影響が出るのであれば続けていく事は出来ないと判断しました。
私は元々腸が強い方ではないのでボディビル時代もダイエット中はどれだけ対策をとっても便秘に悩まされるなどお腹のトラブルが多い方でした。
当然個人差はあると思いますので私にとっては完全に炭水化物源をオートミールに置き換えるという行為は腸に負担が大きかったのだろうと思います。
【一時的に体重が減った要因は?】
今回約4ヶ月間ダイエットを行ってみて最初の1週間の平均体重が92.26kgであったのに対して最後の1週間の平均体重は90.49kgでしたのでおおよそ1.77kgの減量が出来たという事になります。
これを4ヶ月で割ると1ヶ月平均0.4425kgということで減量のペースとしては緩やかではありますが悪いわけではありません。
ではなぜ私が今回の試みを失敗というかと言えば、やはりある程度の目標を達成するまで継続する事ができなかったからです。
ではこの置き換えダイエットで実際に体重が落ちて行った要因について考えてみましょう。
考えられる要因は3つです。
①単純に食欲が落ちる。
ここまで書いたように色んな食べ方を試してそれなりに美味しく食べる方法も見つけて続けてきたわけですが、やはりどんなに工夫しても結局オートミールはお米に比べると美味しくないので単純にいっぱい食べる事が出来ません。
お腹が空いている時などお米ならば「もうちょっと」と思うかも知れませんがオートミールだと全く思いませんので、単純に食べ過ぎる事が無いから体重が落ちただけというのも考えられると思います。
②朝と昼に炭水化物を分けたのが良かった。
最初に書いた通り今回は1日当たり92gのオートミールに置き換えたのでお昼に職場でふやかして食べるのには量が多過ぎるのでお昼は60g程度にして残りの30g強を朝食べるようにしていました。
それまでは朝食は水分と蛋白質と塩分だけとれば良いと考えて午前中にトレーニングをする日以外は固形物を食べていなかったのですが、朝オートミールを30g強食べるようにしたことで午前中から代謝が上がり、多少なりとも良い影響があったのではないかと考えられます。
またそれまで食べていた玄米も低GI食品なので血糖値を急激に上昇させる事は無かったと思うのですが、それでもお昼にたくさん炭水化物を摂取するよりは朝と昼に分けた方がより血糖値の上昇を安定させる事に繋がったのだろうとも考えられます。
③コロナの影響で練習量が落ちていたので筋肉量も落ちていた。
これは良くない推測ですが、やはりこのダイエットを行っていた時期の前半はコロナの関係でトレーニングを堂々とする事が出来ない状況もあり色々と工夫を凝らして継続はしていたものの練習量が落ちてしまいちょうど体重が落ち始めた5月の中旬頃から筋量自体が減ってきてしまった可能性も無いとは言い切れません。
そして体重が緩やかに増加し始めている7月上旬はトレーニング量が増加したタイミングでもある事から単純に筋肉が張っていたかどうかも体重の変動には関係があると考えます。
結論
まず置き換えダイエットのメリットについて考えると、総摂取カロリーや食事量からくる満足度が元の食事とあまり変わらないので生活スタイルも変える必要が無いし、空腹感やカロリーが足りない事による疲労感もありません。
そのため「置き換えた食べ物を毎日食べる事自体が辛くない人」は置き換える食品によっては長期的に効果を得られる可能性はあります。
逆にデメリットを考えると、今回の私のようにいくらダイエットに適していて栄養価が高い食べ物であっても「続けられなければ意味がない」ので短期的にある程度効果があっても継続的に効果を得るのは難しいでしょう。
当たり前の事ですが「健康的に続けられる」というダイエットの本質からズレてしまうようなものはイベントとしての面白さはあっても本当の効果は薄いと言わざるを得ません。
また今回置き換え食品としてチョイスしたオートミールですが、多くの人には効果があるのかも知れませんが私には体質的に合っていなかったのだと思います。
良い食品を選ぶことも重要ですが、自分に合っている食品を選ぶことはそれよりも重要な事です。
また美味しくないもの、自分自身が美味しいと感じられないものは結局長く続ける事は出来ません。勿論美味しく食べる方法は色々と試して実際に美味しく食べる事は出来たのですが、よくよく考えると、同じ方法を米で試してみると全てにおいて米の方が美味しいのです。
やはり日本人ですからお米を食べながら進められるダイエット方法を考える事が一番自然です。
「食事」を、栄養を摂取するためのものと割り切るのか、「食事」自体を楽しむのものだと考えるのか?
それはそのダイエットが短期的に目的を達するためのものであるのか?長期的に生活や習慣をも改善していくものなのか?によって考え方も分かれます。
ダイエットに関しては様々な方法や有効な食品の情報が溢れていると思います。
誰かの真似をしたりネットに書いてある情報を色々と試すのも勉強ですし失敗する事も大切な事です。そして最終的には色んな情報の中から取捨選択しあなたにあった方法を見つけるようにしましょう。
失敗は成功のマザーです。
文:佐名木宗貴