皆様こんにちはSBDコラムニストの佐名木宗貴です。
今月もご覧頂き有難う御座います。
コロナコロナと騒ぎ始めてついに1年が経ってしまいましたが皆様は2度目の緊急事態宣言の中でどのようにお過ごしになられたでしょうか?
私はと言いますと、依然として体育会の活動が最小限に制限される中ではありましたが、2月の中旬からは無事に活動が再開されるであろう事を願いながら、ひたすら準備を続ける毎日でした。
そんな中、月に数回ではありますがスポットで指導に行っている高校の柔道部が近畿大会で好成績を残してくれました。
相手と組み合う格闘技ですので試合を開催するには他の競技以上に大きなハードルがあったかと思いますが関係者の理解と努力により試合が開催された事に大きな希望と勇気を頂きました。
昨年中止となってしまった全国大会ですが、今年は今のところ3月に開催される予定です。
第43回 全国高等学校柔道選手権大会
残念ながら団体戦は行わない事が既に決定しておりますが個人戦は開催される模様です。
甲子園や花園と同じように高校生柔道選手にとって日本武道館は夢の舞台です。
当然無観客での開催であると思われますが、選手達の健闘と安全を遠い大阪から祈りたいと思います。
またこのようなスポーツイベントを一つ一つ積み上げる事で元の「スポーツのある日常」を取り戻す事に繋がってくれるよう心から願います。
さてこのように徐々にではありますがアスリートたちの活動も再開し練習強度も上がっていく中で、なるべく早く体力レベルを戻そうと練習強度を高めると共にプロテインなどのサプリメントを利用する人も沢山いると思います。
特に運動強度を急にあげた事によるリカバリーの遅れを防ぐために食事だけでは補いきれない栄養素をサプリメントから摂取しようと考える人もいるかも知れません。
更には暫く競技から離れてしまい落ち着いてしまっていたメンタルを奮い立たせるためにもカフェインなどの含まれたサプリメントを使用する人もいるでしょう。
今回はそんな皆さんに気を付けて欲しい「うっかりドーピング」の話をしたいと思います。
うっかりドーピングとは
まず最初に申し上げておきますが、これから「うっかりドーピング」という言葉を便宜上使っていきますが
「うっかり」であろうが
「ぼんやりしてて」であろうが
「つい思わず」であろうが
「たまたま」であろうが・・・
世界アンチ・ドーピング機構、日本アンチ・ドーピング機構に加盟している競技団体に所属するアスリートがドーピング検査を受けた結果、禁止物質が検出されればそれはドーピング違反となります。
※各アンチ・ドーピング機構に加盟する団体とそうでない団体については以前のコラムで触れていますのでこちらもご確認下さい。
ルールのある世界のドーピング違反とルールの無い薬物を使用した肉体改造の違い(スポーツにおけるルール違反とスポーツではない行為の違い)
また治療を目的とする理由で禁止物質や禁止されている方法を医師の判断で行わなければならない場合はTUEと言う申請を行う事で治療使用特例を受ける事が出来ます。
TUE申請についての詳細は以下の日本アンチ・ドーピング機構のWEBサイトで確認できますので自分自身が該当するか否かに関わらず知っておくようにしましょう。
TUE(治療使用特例)について
そのうえでお話しすると、いわゆる「うっかりドーピング」とは薬剤師会等のHPから引用すると「故意ではなく体調管理に使用した医薬品や食品(サプリメントを含む)等を摂取したことでドーピング違反となってしまうこと。」とされています。
つまり競技パフォーマンスの向上のためやドーピング行為を隠すためなど、意図的に禁止物質や禁止されている方法を用いたわけではなく普通の生活の中で体調を管理する為に摂取した医薬品やサプリメントなどに禁止物質が含まれていたため検査で陽性となってしまうケースをさす言葉と考えられます。
例えば、試合前に風邪をひいてしまって咄嗟に近所のドラッグストアに駆け込み市販の風邪薬を購入し急場を凌いだ。
しかし試合後のドーピングチェックで禁止物質であるエフェドリン(気管支を拡張する効果があり風邪薬に含まれている可能性がある)が検出されドーピング違反となった。
或いは、海外遠征から帰国した友人がお土産で滋養強壮をうたったサプリメントを買ってきてくれた。
友人の好意だし実際に飲むと元気が出るので飲んでしまった。
後日試合後のドーピングチェックで禁止物質であるメチルテストステロン(ステロイドの一種で滋養強壮や精力増強をうたった製品に含まれている可能性がある)が検出されドーピング違反となった。
このように意図的ではない形で「ついうっかり」ドーピング違反となってしまうケースの事を表します。
うっかりでは済まされないアスリートの責任
ではこのような場合は「いやぁ~ごめんごめん、わざとじゃないから許してよ」で済むかと言えばそんな訳はなくて、最初に書いた通り検査で検出されてしまったらドーピング違反となります。
ただしドーピング検査後の聴聞会で制裁措置を決定する際に検出された物質の使用が競技力向上を目的としたものではない事が証明できれば制裁措置が軽減される場合もありますのでドーピングチェックを受ける可能性があるレベルのアスリートであれば自分の口から入るものには全て責任を持ち、もしもの時に説明が出来るよう準備をしておくべきでしょう。
また制裁措置の内容に不服がある場合は公益財団法人日本スポーツ仲裁機構(JSAA)やスポーツ仲裁裁判所(CAS)に不服申し立てを行う事も出来ます。
繰り返しになりますが競技会であれ、競技会外であれドーピング検査を受ける可能性のあるアスリートは自分の体の中に何が入っているのかについて説明できるようにしなければなりません。
それがトップアスリートとしての責任であると言えます。
※ドーピング検査の実際については以前のコラムでも紹介していますのでこちらを参考にしてください。
初めてのドーピングチェック (体験記とアスリートの心得)
そもそも本当にうっかりだったのか?
このように故意ではないのに禁止物質が検出され違反者として制裁を受けてしまうという「うっかりドーピング」ですがここで疑問として浮かび上がるのが
「ホンマにうっかりだったの??」
「実は意図的に入れてたんちゃうん??」
という疑問です。
風邪薬や胃薬、滋養強壮をうたった商品、海外から輸入されたサプリメントなど「ちゃんと調べてから飲まないとドーピング違反になるかも知れないよ」という話は恐らく大学生以上で、ある一定以上のレベルでスポーツを行っている大人であれば一般常識として知っている話だと思います。
高校生や中学生でも各競技で全国大会出場以上のレベルであれば恐らく一度は聞いた事がある話だと思いますし保健体育の授業でも取り上げられる話題だと思います。
それでも競技歴が浅く大きな大会に初めて出場する選手などは「まさか自分がドーピングチェックに呼ばれたりしないだろう」と軽く考えて、成分を調べずに市販の薬を飲んでしまったり怪しげなサプリメントを飲んでしまっている場合も無いとは考えられません。
競技の技術や体力はトップレベルだけれども、自己管理とアスリートとしての責任を果たすという面ではトップレベルに達していない選手も沢山いるでしょう。
またその指導者もトップアスリートを教育し管理するレベルに無かったとも言えるかも知れません。経験の浅い若年アスリートをドーピング違反から守るためには周囲の協力が不可欠です。
しかし競技歴が長くドーピングチェックが行われるような大会に何度も出場しているにもかかわらず陽性反応が出て「うっかりなんです」と主張する人がいたとしたら「ホンマかいな」と思ってしまいます。
特に散々ドーピング問題で苦労している競技で、現場でも口酸っぱくアンチ・ドーピングについて指導され仲間内でもドーピングの話題には事欠かないような競技で
「うっかりなんです」
と言われても
「今更なに言うとんねん!」
「どんなもんに気を付けなアカンのかぐらい知っとったやろ」
とも思ってしまいます。
本当の真実は本人にしか分からない事ですが、いずれにせよ競技成績を剝奪され、制裁を受け、所属団体やチームメイトをはじめとする関係者や応援してくれる方々を悲しませる事になってしまいますので繰り返しになりますがアスリートならば自分の体内に入るものには責任を持てるように、特に医薬品やサプリメントの摂取には緊張感をもって対応しましょう。
サプリメントに纏わるうっかり事例を4つ
では近年の日本人アスリートで「うっかり陽性」となってしまった人は実際どういうケースがあるのでしょうか?
日本アンチ・ドーピング機構のWEBサイトには規律パネルによる決定文が一般開示されています。
国内のアンチ・ドーピング規則違反決定
今回はこの中でもサプリメントに纏わる事例を幾つか抜粋し考えてみましょう。
事例①
●2019-001事件 – 日本アンチ・ドーピング規律パネル決定
こちらは水泳競技の選手で、競技会検査で「その他蛋白同化薬」と分類される物質が検出されB検体による再検査を希望したもののB検体でも同じ物質が検出されてアウトとなりました。
この選手は聴聞会でこの物質の摂取が意図的でなかったと主張して認められ競技会での成績は剥奪されたものの資格停止期間は5ヶ月と非常に短く短縮されました。
この選手の場合は摂取していたサプリメントに禁止物質が含まれていたのですが、過去に何度もドーピング検査を受けていてその時は陰性であったためこのサプリメントは安全だと思って飲み続けていたところ陽性となってしまったようです。
このサプリメントの販売業者は日本の企業で製造業者の社長からも禁止薬物は含まれていないとの説明を同じく競技者のお兄さんが受けていたため安心して使用していたということでした。
意図的に禁止物質が入っている製品を選んだのではなく製造の過程で禁止物質が混入してしまった製品である事が認められたため処分が短縮されたのだと考えられます。
事例②
●2016-006事件 – 日本アンチ・ドーピング規律パネル決定
こちらはフィジークの選手で、競技会検査で「蛋白同化薬/蛋白同化男性化ステロイド薬/外因性蛋白同化ステロイド」が検出されました。
ドーピングチェックの時に記入する公式記録には直近7日間に9種類のサプリメントを摂取していたと自己申告されていて、聴聞会でも過去1年間に36種類のサプリメントを摂取していた事を認めています。
しかしそのサプリメントのほとんどは米国の通信販売サイトから購入したもので禁止物質が入っているリスクを避けようとしていたとは認められず、2種類の禁止物質が検出されている事もあり意図的でなかった旨は証明できないとされ4年間の資格停止となりました。
事例③
●2016-008事件 – 日本アンチ・ドーピング規律パネル決定
こちらは自転車競技の選手で、競技会検査で「蛋白同化薬/蛋白同化男性化ステロイド薬/外因性蛋白同化ステロイド」が検出されました。
B検体による再検査も行われましたが同じ結果でした。
この選手もドーピング検査の時の公式記録に7日間以内に8種類のサプリメントを摂取していた事を自己申告していて、聴聞会でも直近4ヶ月に14種類のサプリメントを摂取していた事を認めています。
しかしこの選手は14種類のサプリメントの一部には「TSP承認プログラム」「アンチドーピング品質管理プログラム」「UKAS基準ISO17025承認」「ドーピング検査研究所LGC」等のマークの付いた商品を選んでいて、その他の商品も違反物質が入っていないと謳っているもののみを使用していると述べて意図的ではない事を主張しました。
更に過去4回のドーピングチェックでは陰性であり、直近のドーピング検査以降に摂取を始めた3種類のサプリメントについては分析の結果禁止物質は検出されなかったので意図的ではないと主張しました。
しかしいずれのサプリメントも海外通販により入手したか海外業者が製造したもので「TSP承認プログラム」もWADAの禁止物質リストの全てを検査してはいないので競技者が陽性となるリスクを認識しつつ回避しなかったと判断できるうえに、2種類の物質が検出されている事もありこの違反が意図的ではなかったと立証する事は出来ないと判断され4年間の資格停止処分が下されました。
事例④
●2016-007事件 – 日本アンチ・ドーピング規律パネル決定
最後は他とは少し違ったケースです。
こちらはサッカーの選手で、競技会検査で「興奮薬」が検出されB検体による再分析でも追認する結果が出ました。
この選手の場合は所属するチームから「このサプリメントは世界アンチ・ドーピング機構が定める禁止物質が混入していない事が確認されたものですよ」と推奨されていたビタミン系のサプリメントを使用していました。
そしてそのサプリメントのパッケージにも「この製品はドーピング規定に違反する成分は一切使用していません」という文言が明記されていました。
所属するチームのトレーナーも予めサプリメントの製造業者及び輸入元に対して成分を問い合わせ禁止物質が混入していない事をについて明確な回答を得たうえでチームドクターの承認を得ていました。
更にこの商品は先行商品時代からチームで長期間に渡り使用していたもので、過去にドーピング違反とはなった事は無かったようです。
このような事情を考慮すると選手がこのサプリメントに禁止物質は含まれていないと誤信してしまうに相当する理由があったと言えます。
しかしそれでも何度も繰り返す通りアスリートは自分自身の身体に入るものに対して責任を持たなければならないという原則から考えれば全くの過誤過失が無かったとは言えないのでこの件では一定期間の個人成績は失効されたものの資格停止期間を伴わない譴責(しっかり責めるという意味)に留まりました。
陽性事例から何を学ぶか
如何でしょうか?
検査の結果が陽性なのだからしょうがないと思いますか?
それとも厳し過ぎるのではないかと思いますか?
これらは全てWADA-CODEと呼ばれる世界アンチ・ドーピング規程に基づいて判断されています。
スポーツ界全体に共通するアンチ・ドーピングのルールブックのようなものですので皆さんも一度は目を通すようにして下さい。
世界アンチ・ドーピング規定2021
今回いくつか出てきた過誤や過失に基づく制裁措置の短縮などについては54ページあたりを読んでいただければ良いかと思います。
では、このようなサプリメントに纏わる陽性事例があるなかでアスリートはどのような対策を講じていけば良いのでしょうか?
究極に言えばサプリメントなどに頼らず普通の食事から栄養を摂取するようにするのが一番良いのは間違いないのですがトップアスリートの9割が何らかのサプリメントを利用していると言われる現状を考えると現実的ではないようにも思います。
以前はJADAがサプリメントの安全性について保障するJADA認証マークというものがあったのでJADAが行うアンチ・ドーピングの講習会でも「JADA認証マークの付いている商品なら安全ですよ」と言っていたと思うのですが、このプログラムは2020年3月に終わりましたのでこのJADA認証マークは無くなりました。
上にあげた事例③④から考えても「TSP承認プログラム」「アンチドーピング品質管理プログラム」「UKAS基準ISO17025承認」「ドーピング検査研究所LGC」等のマークの付いた商品を選んでいたり、パッケージに「この製品はドーピング規定に違反する成分は一切使用していません」という文言が明記されている製品を使用するなど、一見十分な安全対策を講じていると思えるものの結果的には陽性となっています。
また①④のケースではサプリメントの製造会社や販売会社から禁止物質は混入していないとの確認をとっていたにもかかわらず陽性となっています。
「それじゃぁどうしようも無いじゃないですか」
と言ってしまえばおしまいなのですが、ここから我々が学ぶべきは自分で作って口にする以外のものは全てのリスクを取り払う事は出来ないという事です。
そしてアスリートがサプリメントと向き合う際にはそのリスクと効果を天秤にかけて、リスクを負ってでも余りある効果が期待できるのであれば摂取するという考え方で良いかと思います。
※このリスクと効果の考え方はトレーニングでも同じことが言えますので以前のコラム「リスクと効果」も参考にしてください。
ではリスクを負っても余りある効果と書きましたが、そもそもサプリメントにそんなに大きな効果があるのでしょうか?
当たり前の事ですがサプリメントとは栄養補助食品の事です。読んで字の如く普段の食事から摂取できるはずの栄養素を補助してくれる製品です。
「補助」ですから足りていないところに足すというものであり十分満たされているところに更に盛るものではありません。
まずこの考えを持ちましょう。
そのうえで食品と分類されるものですから普段の食事で品質の良いものを食べるのと同じぐらいの効果だと考えて下さい。
普段の食事で「宮崎産の高級地鶏を食べたら劇的に痩せた」とか「神戸牛を食べたら劇的に筋肉がついた」なんて経験はまず無いですよね。
「埼玉県の深谷産ブロッコリーを食べたら間違いなく痩せる」とか、「熊本県産トマトを食べたら間違いなく筋肉がつく」なんて話を聞いたら「そんな訳ないやろ」と思いますよね。
それと同じです。
サプリメントも「劇的に〇〇になる!」「間違いなく効果がある!」などと宣伝している広告を見たら「そんな訳ないやろ」と少し冷ややかに見る事の出来るような冷静な心を持ちましょう。
逆に本当に驚くほどに効果があるのであればそれは怪しい商品です。
「うちの商品は怪しいですよ!」と言っているようなものなので「あほちゃう」と無視しておきましょう。
加えて言えば、以前のコラムで書いたような
ルールのある世界のドーピング違反とルールの無い薬物を使用した肉体改造の違い(スポーツにおけるルール違反とスポーツではない行為の違い)
ルールの無い世界の人が薦める商品やそういう人を広告に使用している商品は、そもそもこういったドーピング問題に対して問題意識が低いのではないかと私は思いますので遠ざけておく方がベターかと思います。
事例②のフィジーク選手の1年で36種類という数字を見てもわかる通りサプリメントにハマればハマるほど多くの商品を試してみたい気持ちになりエスカレートしてしまうものです。
しかし種類が増えれば増える程リスクも増えますし、増えたリスクと投資した予算に見合ったリターンがあるほどの商品は安全なものの中にはあまり無いと思います。
万が一に備えて
最後に先に紹介した事例の中でも出てきた聴聞会で意図的では無かったと証明し認められるために必要であると考えられるアスリートが果たすべき責任、或いは防衛策を考えてみます。
万が一陽性となってしまった場合でも過誤過失が無かった、或いは意図的では無かったと認められることにより制裁期間が短縮される可能性があり、その結果として最低限の名誉を守り仲間や応援してくれる人への影響も最小限に留められるからです。
1:海外製のサプリメントは出来る限り使用しない
これは実際に海外製が危ないとか国産が安心だとか言うものではなくて「海外製のサプリメントは禁止物質が混入しているケースがあるので出来るだけ使用を控えましょう」と国内のアンチ・ドーピング講習会で口酸っぱく言われているので、それにもかかわらず海外産のサプリメントに混入していた事が原因で陽性となってしまったら、アスリートが果たすべき責任を果たそうとしていたとは認められなくなってしまうという意味です。
また海外産のサプリメントを個人輸入して使用するメリットは価格が安いという事と国産商品ではカバーしていないマニアックな商品があるという事だと思いますが、サプリメントは医薬品ではなく食品なので成分表示も全ての原材料を記載する義務が無く100%正確であるとは言い切れません。
そのため商品がマニアックになればなるほど微細な成分を把握しきれない危険性が高まります。
海外製のサプリメントを使用する前には
「本当にこれが自分に必要なのか?」
「リスクを背負ってでも飲むべき製品なのか?」
「リスクに見合った効果が本当に期待できるのか?」
「国産のメジャーな商品では代わりにならないのか?」
今一度自分に問いかけてみるようにしてみて下さい。
2: 商品に禁止物質が混入されていない事をあらゆる手段で確認しその記録を残す
これはアスリートとしての責任を果たそうとした証拠を残すという事です。
具体的には既に事例であがっているように、製造販売元に問い合わせて禁止物質が混入していない事を確認する。
或いはインフォームド・スポーツの承認を受けている製品である事を確認しその検索画面を残す。
インフォームド・チョイスの承認を受けている製品である事をしっかりロットも確認して調べた結果を残す。
メーカーが独自の検査プログラムをパスしたという承認を行っている商品を選び、メーカーにも問い合わせて再度確認する。
このように自分がその製品を安全だと判断した根拠となる情報を記録して残しておくと良いと思います。
それでも不幸にも検査で陽性となってしまえばドーピング違反となるのは変わりないのですが自分がその製品を選んだ根拠と意図的では無い事を証明することで最低限の名誉を守り制裁期間を短縮できる可能性があります。
おわりに
如何だったでしょうか?
長くトップアスリートとして活躍されている方にとっては当たり前の事かも知れませんし、競技歴の浅い人やサプリメント大好き世代の人にとっては
「厳しすぎる」
「現実的じゃない」
と思えたかも知れません。
もちろん競技者ではない人やドーピングチェックの対象になる可能性が無い人にとってはほぼ関係の無い話ですので好きなサプリメントを何種類摂っていただいても構いませんが、これから先トップアスリートとしてドーピングチェックの対象となる可能性がある方は心の中に留めておいて欲しいと思います。
またトップアスリートの関係者の方々、監督・コーチ・トレーナー・家族・友人・スポンサーなどなど皆で「それ本当に大丈夫なの?」「ちゃんと調べてるの?」「そもそも飲む必要あるの?」と気にかけてあげて下さい。
アスリートはみんなで支えて育てるものです。
文:佐名木宗貴