SBDコラムをご覧の皆様、こんにちは。
男子66kg級の佐竹優典です。
この度、昨年よりSBD Apparel Japan様よりサポートを頂いているご縁からコラムを執筆させて頂く運びとなりました。
初めて私のことを知る方もいらっしゃるかと思いますので、私のこれまでの歩みと先日行われた全日本パワーリフティング選手権大会(フルギア)の結果、そして7月に行われるワールドゲームズへ向けての抱負について執筆させて頂ければと存じます。
こういったコラムを書かせて頂くのは初めての機会ですので、読みにくい部分が多々あるかと存じますが、是非最後までお読み頂ければ幸いです。
【これまでの歩み】
まず、私は現在一般的に皆様が出場されているノーギア(classic)のカテゴリーだけではなく、フルギア(equipped)と呼ばれるギアの着用が前提のカテゴリーの大会にも出場しております。
🔳参考
ギアとは、硬い生地でできたウェアを着用して試技を行うことにより、その反発でより高重量に挑戦することが可能となります。
参考までに、私はスクワット70~80㎏、ベンチプレスは50~60㎏、デッドリフトは0~10㎏効かせることができます。※体重やフォームなどにより個人差があります。
私は2012年に、高校入学と同時にパワーリフティングに出会い競技を始めました。
入学した高校にはパワーリフティング部があり、元々野球をやっていて体を鍛えることに興味があった私は吸い寄せられるようにパワーリフティング部への入部を決めました。
当時の高校生の大会にはフルギアのカテゴリーしかなく、大会で上位を狙うためにはギアの着用が必須、という状況でした。
2012年は世界クラシックパワーリフティング選手権大会の第1回大会が開催された年でもあり、その後爆発的にノーギア選手の競技人口が増えたことは皆様もご存知かとは思いますが、当時はまだパワーリフティング=フルギア、という認識が浸透していたように思います。
ですので、周りがギアを着ているのに合わせて当然のように私もギアを着用し試合に出場していたのでした。
そこから一年ほど経って、同級生のライバルK君と切磋琢磨しながら記録も順調に伸びていった私はサブジュニアの世界大会に出場することができました。
当時の大会で高校2年生ながら全国優勝していた私は少し良い気になっていましたが、初めての国際大会で待ち受けていたのは圧倒的な実力の差でした。
海外の強豪選手たちに大差をつけられた私は、このままではいけない、もっと世界に目を向けて練習しなければと思うようになりました。
パワーリフティング競技の魅力にどっぷりとハマっていた私は、当時のあらゆる媒体から強くなるための情報を集めていました。今ほどSNSは盛んではなかったため、主な情報源はインターネット検索や、トレーニング雑誌が中心でした。
特にトレーニング雑誌のバックナンバーは高校のOBの方から頂き、毎日のように部室で読み漁っていました。
そこで、ある時私はパワーリフティング競技がワールドゲームズという大会の種目であることを知りました。
パワーリフティングがオリンピックの競技でないことは周知の事実でありますが、それとは別にIOC(国際オリンピック連盟)の後援のもと四年に一度開催される「第二のオリンピック」と呼ばれている大会があるという事を知った私は、いつかこの大会に出てみたいと強く思うようになりました。
この大会は世界大会以上の位置づけであり、将来もしパワーリフティングがオリンピック競技になった場合、同等レベルの大会になると考えたからです。
そこから更に順調に記録を伸ばし、サブジュニアとジュニアの世界チャンピオンを経て競技を始めて10年ほど経った今、ようやくワールドゲームズの選考に選ばれることができました。
ワールドゲームズは2階級合わせて合計12人が選考されるシステムで、前年の世界選手権の1〜3位は自動的に選考、残りの6枠を世界選手権のIPFポイント順、各大陸(アジア、ヨーロッパなど)の大会での優秀選手、開催国枠などで選考されていきます。
(例えば、私の出場するLightweight級では59kg、66㎏の選手で12人が選考されます)
年によっては世界チャンピオンクラスの選手が選考に漏れるなど、本当に一握りの選手しか出ることのできない栄誉ある大会に出場できることを心より嬉しく思います。
【全日本パワーリフティング選手権大会の振り返り】
さて、先日5月21日、22日に兵庫県明石市で全日本パワーリフティング選手権大会が開催されました。(記録はフルギア)
66㎏級
スクワット 290㎏
ベンチプレス 205㎏
デッドリフト 260㎏
トータル 755㎏
結果としては9試技全て余力を残しての無事6度目の優勝を達成できました。
この場をお借りして応援、サポートいただいた皆様に御礼申し上げます。ありがとうございました。
全日本選手権の表彰式。今大会のメダルプレゼンターは世界選手権17回優勝のレジェンド因幡さんでした。
今大会はワールドゲームズの7週前ということで、ピーキングの延長のイメージで臨みました。今回の目標は余力を残して9本成功させることでしたので、概ね目標は達成できたかと思います。
ギアも緩く短期間の調整でしたので、ここから更に仕上げていきワールドゲームズでは大幅に上乗せした重量に挑戦していきたいと思いますので、お楽しみにしていてください。
【ワールドゲームズの抱負】
今大会ではエントリー時点の記録で3位につけている状況です。
世界選手権でもメダルを争ったHsieh選手(台湾)、Hassan選手(フランス)が1位、2位に同記録でつけており、世界選手権では0.5㎏の差で二人に逆転されてしまいました。
この2人は自分が競技を始める前から世界チャンピオンになっている選手で、2人ともIPF殿堂入りを果たしている選手です。
どちらもデッドリフトを得意としている選手で、300kg以上を引いてくるであろうと考えています。私がこの2人に勝つためには、サブトータルでいかに数字を稼ぎデッドリフトで逃げ切るかが今回のポイントになるでしょう。
また僅差にベンチプレス元世界記録保持者のMariusz選手(ポーランド)、59㎏級時代にしのぎを削ったLeon選手(エクアドル)、Lin選手(台湾)もおり、かなりの激戦が予想されております。
こういった試合で勝つためには重量に対するエゴを捨て、成功試技を積み重ねることが鍵になってきますので、残り期間クオリティの高い練習をしっかり行っていきたいと思います。
【おわりに】
競技を始めて10年、夢の舞台に挑戦できることが本当に今から楽しみです。
ここまで本当にたくさんの人に支えて頂きやってくることができました。
残り期間、自分のすべてを懸けて全身全霊で仕上げていきます。
応援のほど宜しくお願いいたします!
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
文:佐竹優典
■ベスト記録(ノーギア66kg級)
スクワット235kg
ベンチプレス 152.5kg
デッドリフト 252.5kg
トータル 635㎏
■ベスト記録(フルギア66kg級)
スクワット310.5kg(日本記録)
ベンチプレス 222kg(世界記録、日本記録)
デッドリフト 270kg
トータル 779.5㎏(日本記録)
■競技実績
2014年
世界サブジュニアパワーリフティング選手権大会 59kg級 優勝
2018年
世界ジュニアパワーリフティング選手権大会 59kg級 優勝
世界男子パワーリフティング選手権大会 59kg級 3位
アジアクラシックパワーリフティング選手権大会 59kg級 優勝
2019年
世界ジュニアパワーリフティング選手権大会 66kg級 2位
2021年
世界男子パワーリフティング選手権大会 66kg級 4位
(スクワット、ベンチプレス種目別1位)
全日本パワーリフティング選手権大会
優勝6回(59kg級3回、66kg級3回)
ジャパンクラシックパワーリフティング選手権大会 優勝1回
59kg級&66kg級 フルギア日本記録保持
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