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ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会出場レポート

2023年1月28日(土)〜29日(日)に千葉県市川市にあるゼットエー体育館にてノーギアベンチプレス日本一を決める大会であるジャパンクラシックベンチプレス選手権大会が開催されました。

大会には一般はもちろんのこと、サブジュニアからマスターズの選手まで340人のエントリーがあり、全国のベンチプレス猛者達がしのぎを削りました。
さらにこの大会は初めて新ルールが適応される大会でもあります。
今まで練習してきたフォームが新ルールに対応できるのか出場選手だけでなく全てのパワーリフターが注目していました。
今回は実際に出場してみての情報をみなさんと共有したいと思います。

パンフレット

目次
1.開催場所
 ・ゼットエー武道館
 ・公式ホテル

2.会場の様子
 ・アップ場
 ・観客席
 ・試合場
 ・ラック高測定用ベンチ台
 ・事務局
 ・ライブ配信、解説

3.試合当日スケジュール
 ・試合会場到着後
 ・検量までの時間でできること
 ・新ルールクリニック
 ・検量
 ・リカバリー
 ・ウォーミングアップ

4.試合結果
 ・試合内容
 ・結果
 ・試合の感想
 ・2日目

5.解説付きライブ配信の良さ

6.最後に

開催場所

ゼットエー武道館
住所:千葉県市原市能満1474-1
JR 五井駅または JR 八幡宿駅よりタクシーで 14 分
JR五井駅よりバス「中央武道館埋蔵文化センター行 中央武道館」下車
周辺地図

当日出発し、車で静岡から3時間弱で到着しました。駐車場は第1駐車場〜第3駐車場まであり、選手は第2または第3駐車場に駐車しました。
公式ホテルに宿泊していた選手用にはシャトルバスが運行していたようです。

周囲にコンビニエンスストアはなく飲食物はあらかじめ購入し、会場入りする必要がありました。
ちなみに私は大学が千葉県にあり、学生時代は千葉県所属だったためこの施設はよく訪れた思い出があります。

公式ホテル:市原マリンホテル
初日の試合終了後に宿泊しましたが、一般的なビジネスホテルでした。
部活の遠征での宿泊があったようで、若い女性の話し声が隣の部屋からよく響いていました。(壁は薄かったです。)

会場の様子

アップ場
初日は4台(新型エレイコ×2、BULL×2)、2日目は3台(新型エレイコ3台)でした。
アップ会場の様子

観客席
階段状の観客席になっており、飲食はここで済ませます。最上部は通路です。ストレッチマットを引いてアップができます。今回は無観客開催となっており、選手およびセコンド以外は入場はできません。
観客席の様子
実際の試合はより近くで観戦します。初日は陪審員席の隣まで近づくことができ、間近で観戦できましたが、2日目はパーティションが立てられており選手との距離が保たれていました。
2日目パーティション

試合場
A面とB面があり、初日は2面、2日目はA面のみの1面で実施されました。それぞれのバックパネルにはその試合場で試技をする選手の名前が入っていました。
バックパネル

ラック高測定用ベンチ台
アップ会場、試合会場とは別にラック高を測る専用のベンチ台がありました。試合が始まった後でも自由に高さを再確認できたので助かりました。

ラック高測定用ベンチ台

事務局
大会記念Tシャツと炭酸マグネシウムが販売されていました。また大会ポスターが無料で配布されていました。
事務局

ライブ配信・解説
JPA広報の河西さんを中心にライブ配信が実施されていました。
初日はA面では河西さん、B面ではEXTAGE久保さんと途中からStrengthGym TokyoBay渋谷さんの解説で進められました。
2日目は初日に試合を終えたベンチプレスマニア藤田雄次さん(通称フジタ監督)が河西さんとともに解説に入りました。
解説席(左:河西さん、右:フジタ監督)

試合当日スケジュール

私は一般女子57kg級に出場しました。
初日第5セッションDグループ
検量時間は9:30、試技開始時間は11:30
初めて試合に出る選手にも参考になるよう、当日の行動も含めてレポートします。
スケジュール

試合会場到着後
入口で健康申告書提出し、受付を済ませ受付済の目印であるリストバンドをもらいます。
観客席の場所をとり、検量まで時間をつぶします。
できればこの際に検量室の場所を確認しておくと焦らずに検量に向かえます。

検量までの時間でできること
①コスチュームチェック
試合に必要な道具をチェックしてもらいます。
時間によっては自分のグループの受付が始まっていない場合がありますので注意しましょう。
もし、すでに多くの人が並んでしまっているときは受付時間内であればいつでも大丈夫ですので焦らず空くのを待ちましょう。
検量のあとでもいいですし、セコンドが代わりに行くことも可能です。

②ラック高測定
ラック高をあらかじめ申請する必要がありますので、測定しておきます。
今大会ではラック高測定専用の台があったのでスムーズに測定できました。
規模の小さい試合だと、このようなラックはなく、タイミングをみてアップ会場や試合会場の台で測定することも多いです。

新ルールクリニック
試合開始前に選手・セコンドに対して15分程度のルール説明がありました。
二宮技術委員長の解説のもと、森川審判がデモンストレーションをおこなうという形です。
想定されるいろいろなパターンを実施し、選手からの質問も受け付けました。初日と2日目も実施し、選手対象のルールクリニックだけではなく審判を対象としたものもありました。

新ルールクリニックの様子

検量
検量室では次の3つをおこないます。(試合によっては異なることもある)
①体重を測る
②第一試技を口頭で申請
③ロット番号を腕と足に書いてもらう

皮膚に直接書かれるロット番号

検量室には最低でも開始5分前に行くことをおすすめします。
ロット番号順に呼ばれることが多いですが、番号が後だから少しくらい遅れても問題ないと思っていると、すでに呼ばれた後で自分の順番が最後になっていた…なんてことはよくあります。
今回は検量室が2つ用意されており、思ったよりスムーズに検量が進んでいたので飛ばされてしまった方もいたのではないでしょうか。

特にキツい減量がある人はできる限り早めに検量を済ませるべきです。
試合開始まで時間が限られています。
いかに短い時間でスムーズなリカバリーをするかは非常に大切です。
私は減量があり、最後は水を抜いて体重を落としているので検量室に経口保水液を持ち込み、ドアを出た瞬間からリカバリーを始めます。

また検量ではいさぎよく全裸になることをお勧めします。
規定体重をクリアすれば問題なく試合に出られますが、同じ記録は体重の軽い方が有利です。
ライバル選手の記録がある程度予想できたり、自分の体重が下の階級に近いほど少ない場合だったりで勝ち筋が見えているのであれば、服を着たままでも問題ないかもしれません。
その場合を除けば、勝負の可能性を広げるためにも少しでも少ない体重で検量をクリアするべきです。

リカバリー
しっかりご飯を食べましょう。
水を抜いた減量をした方は塩分も意識しながら糖質中心の食事をとるのがおすすめです。
きつい減量だった場合は開放感もあり一気に摂取しがちですが、私は水分から始め、温かいスープなどで胃をほぐしたあとにしっかり食べています。

また、ベンチプレスの大会なのかパワーリフティングの大会なのかにもよって食事内容は若干変えています。

ウォーミングアップ
私は試合開始30分前からアップを始めます。
ストレッチやアクティベーションなどはそれまでに済ませます。
いざアップ場に行くと、試合で使われるエレイコの台は長蛇の列になっていました。
(初日はアップ場の4台のうち2台がエレイコ)
ベンチプレスを競技としてやっているとベンチ台の違いで感覚が変わり、試技に影響するので試合場と同じメーカーの台でアップをしたい選手がほとんどです。

私は新ルールに対応することも考え、第一試技の重量を低く申請しました。
当日のルールクリニックの内容とアップの調子で申請重量を変更しようと思っていたので、第一試技までアップ場で実施し重量を95kgから100kgに変更しました。
並ぶのが面倒だったので最後の100kgだけエレイコを使用し、これなら問題ないと自信を持って試合に挑みました。

アップの会場(男子)

試合内容・結果

第一試技の様子

試合内容
第1試技 100kg(〇〇〇)
軽く上がりました。アップ場で実施した重量で問題ないと安心感を持って挑めたのもよかったと思います。

第2試技 105kg(〇〇〇)
これも今までの試合で実施した105kgの中で一番軽く上がりました。

第3試技 112.5kg(✕✕✕)
112.5kgは自己ベストタイ。
新ルール対策で手幅狭めで練習していたので、このフォームで同じ重量を押せるのかチャレンジしました。
練習でもここまでは押していたので、満を持しての申請です。
結果は右肘が押し切れず、途中でラックがかかってしまいました。

第1、第2と外していたマスクをこの試技では外し忘れていたので緊張もあったのかもしれません。
自分では気づきませんでしたがセコンドから「お尻をつけすぎていた」との指摘がありました。
足の蹴りが効いていると力を伝えやすい分、お尻は上がってきやすいです。
結果的にそうなっていたのであれば改善点がまだまだありそうです。

結果
一般女子57kg級 優勝 (一般女子優秀賞)
賞状、メダル

試合の感想
新ルール対策はおこなってきましたが、ほとんどの選手に影響がないものだったと思います。
今まで批判を集めてきたハイアーチのベンチプレスがほぼなくなり、今回のルール変更は良い方向に働いたのではないでしょうか。
ベンチプレスの「競技」としてもわかりやすくなったと感じました。

個人的な試合内容ですが対戦相手として意識していたのは石橋茜選手。
試合前に話す機会があった際にはやはり新ルールに悩んでいると聞きました。
仕事の関係もあり、もしかしたら出場しないかもと言っていたのでエントリーに名前があったときには嬉しかったと同時にしっかり勝負できる準備をしないと、と身が引き締まりました。

石橋選手は新ルールの肘の高さが影響し3試技とも赤判定で失格となってしまいました。
しかし、失敗しているのにも関わらず第2試技、第3試技と重量を上げてトップに被せてきており、これが世界で戦ってきた選手かと実感したと同時に非常に恐ろしい存在だと改めて思いました。
今回優勝はできましたが、彼女は必ず新ルールに対応してくるのでおごらず精進します。

2日目
夫のセコンドとして試合会場入りしました。
先にも書きましたが、初日の観戦状況もあってか試合場を囲むようにパーティションが設置されていました。

2日目の注目選手はやはり児玉大紀選手。
階級を1つ上げ、83kg級でのエントリーです。
会場でお会いした際にはやはり以前よりも体が大きくなっていました。
結果は230kgで優勝。
IPFポイントは驚異の116.1ポイントで最優秀選手賞を受賞されました。

解説付きのLIVE配信の良さ

夫の試合が終了し、FTGYM所属選手の試合を見届けた後に車で早々に帰路につきました。
超級の試合まで見届けたかった…という思いもあるなかで、素晴らしかったのはLIVE配信です。

車の中で配信を見ながら帰宅
配信を担当してくれていた河西さんはSNSで今までで一番力を入れた配信だったと発信されていました。

配信画面はカメラ3台
→見やすいポジションからの映像に切り替え。
(バーイズローデッドまでは正面、スタートがかかったら斜めからのアングル)

・選手と選手の間の時間にはGOOD LIFTに画面切り替え
→次の選手とその重量がわかりやすく、試合展開が確認でき試合を楽しめる。

・実況&解説付き
→河西さんとともに解説に入った藤田さんの解説が面白くもありわかりやすい。
(初日のB面を担当してくださった久保さんと渋谷さんも聞きやすく、試合展開も解説してくれていて競技として楽しめた)

・テロップ入り
→今は第何試技目なのかわかりやすく、アーカイブを見返しやすい。

解説はフレンドリーすぎるという意見もあったようですが、個人的にはベンチプレスという競技の面白さが伝わる解説だったのではと思います。
その競技に興味を持つには選手のプライベートな一面(どういう選手なのか)を知り、応援したくなる気持ちを持ってもらうことも必要なのではないでしょうか。

藤田さんの解説には個々の選手の内情を知った上でのコメントが多く、個々の選手を応援したくなりました。
全ての選手に対して成功して欲しい!という気持ちも解説から伝わってきました。

ぜひみなさん、アーカイブも見て楽しんでください。

最後に

新ルール対応の初めての試合、不確定な情報が飛び交う中で試合に対応できるよう、全ての選手が練習を積み重ねてきました。
今回の試合で成功・失敗の基準がある程度理解でき、練習の方向性が定まったのではないでしょうか。

実際の試合ではルールクリニックを受けた審判のセッションは全体的に判定が安定しており、後半合流したルールクリニックを受けていない審判は厳しい判定をつけているような印象がありました。

ジャパンクラシックベンチ後に行われた全日本ベンチでも新ルールクリニックが行われましたが、JCBの試合を見て多くの選手はルールを理解し、選手間で大きな話題に上がることは少なかったように思います。

フルギアベンチプレスがボトムで沈みやすいという特性もあり、肘の深さで失敗判定をとられることは私が見た限りはほとんどありませんでした。

年に1回の全国大会、純粋にとても楽しかったです。
新ルールや強豪選手の階級変更で例年とはまた違った雰囲気の大会になりました。

次回は佐賀で行われるジャパンクラシックパワーに参加する予定です。
今回押しきれなかった112.5kg以上にチャレンジしたいベンチはもちろん、スクワット・デッドリフトで自己ベストを更新できるよう頑張ります。

◆コラム執筆者

福島未里(ふくしまみさと)
静岡県富士市FTGYM所属
FTGYM(https://ft-gym.com/)

ベスト記録
パワーリフティング(ノーギア)
SQ130kg
BP110kg(一般女子57kg級日本記録)
DL165kg
TL405kg(一般女子57kg級日本記録)
シングルベンチ(ノーギア)
112.5kg
ウェイトリフティング
スナッチ70kg
クリーン&ジャーク95kg

2013年度
アジアベンチプレス選手権大会(フルギア) ジュニア57㎏級1位
2014年度
世界ベンチプレス選手権大会ジュニア57㎏級(フルギア)2位
2017年度
ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会 一般女子57㎏級1位
2018年度
ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会 一般女子57kg級1位
2019年度
世界ベンチプレス選手権大会 一般女子57kg級 5位
ジャパンクラシックパワーリフティング選手権大会 一般女子57kg級1位
ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会 一般女子63kg級1位
2021年度
ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会 一般女子57kg級2位

保有資格
日本スポーツ協会認定アスレティックトレーナー
NSCA公認CSCS
健康運動指導士
柔道整復師

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