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ボディカラーってどれぐらい変わるの?~JBBF公認サロンでのカラーリング効果について

みなさんいつもご覧いただき有り難うございます。
SBDコラムニストの佐名木宗貴です。

GW明けから気温も上がり、そろそろ半袖半ズボンで生活できるようになってきましたが皆様如何お過ごしでしょうか?
私は2~3月の多忙さと花粉症で体調を崩したことなどを引きずり、GW頃まではトレーニングになかなか身が入らない状況でしたが、GW明けからは少しずつトレーニング強度を回復させることが出来るようになり、スクワットやデッドリフトの使用重量も85%程度まで回復してきました。

マスターズ年代になってから感じることなのですが、計画的にトレーニングが出来れば、一定期間オフがあったとしても筋力の方は比較的短期間で戻すことが出来ます。
しかし筋肉量の方はなかなか元に戻すことは出来ません。
特に下肢の筋肉量はなかなか戻ってきません。
私の場合は色んな古傷がある関係で、下肢の筋肉量が戻らないのに使用重量が伸びると言うことは怪我のリスクが高まることを意味します。

毎回こんな感じで筋力が回復してくると
「おっ!もう重いの持てるやん!いったれいったれ!」
と調子に乗り怪我を繰り返しているので、今度こそは
「喉元過ぎたら熱さ忘れる」
ではなくしっかり計画的にからだ作りをしようと・・・
今回も思っているところです。

さて、そんな「からだ作りをしっかりやり直そうと!」と心に誓う日々なのですが、先々月の4月16日(日)に開催された、JBBFが主催するアンチドーピング講習会と大阪ボディビル連盟が主催するポージングアカデミーにお手伝いとして参加し、久々にボディメイク系の競技者の皆さんと接することで刺激をいただきました。

その際に、今年はじめてコンテストに出場される受講生の方からボディカラーリングについての質問がありました。

「ボディカラーリングってどのぐらい効果があるんですか?」
「下地は前日までにどのぐらい焼いていくべきですか?」

といったようなボディカラーリングの効果や準備についての質問が多い印象でした。
しかし、私自身がコンテストに出場していた頃と現在ではルールが異なることから、知識不足で上手く回答することが出来ませんでした。
そこで今回は実際にボディカラーリングを行っている現場に潜入し、どのような手順でカラーリングが行われているのかについて取材させていただきながら、専門家の方に質問して分かったことを記事にしようと思います。

【コンテスト用のカラーリングとJBBFのルール】

さて取材内容に移る前に少しですが、コンテスト用のカラーリングについて今と昔でどう変わったのかについて触れようと思います。

私がボディビルをはじめた1998~99年頃はまだ学生大会や地方大会でもボディカラーリングが許可されていました。
当時使われていたのは「ジャンタナ」や「プロタン」と呼ばれるもので前日に家で誰かに重ね塗りしてもらって、そのまま乾かしてシャワーしないで翌日はステージにあがるという感じでした。

当時ジャンタナの方は塗るのがかなり難しくてムラが出来やすかったように記憶しています。
またプロタンの方はスポンジのような刷毛が付いていてスプレーのように肌に吹きかけて伸ばしていくのですが、こちらも塗っているそばから乾いていくので全身をムラ無く塗るのが難しく、上半身は異常に黒いのに下半身はあまり黒くなかったり、身体の前面は綺麗なのに後面や側面は上手に濡れていなかったりする選手が多かったです。
また下地が白い人はステージで赤っぽく見えたり塗り方が悪いと緑っぽかったりと、なかなか上手に塗ることが出来ていないケースも散見されました。

その後、ステージの緞帳や床、手すりや控え室の椅子など施設を汚してしまうという理由で、地方大会などではボディカラーリングは禁止され、完全に日焼けのみで戦うという時代もありました。
ただし世界大会やアジア大会は当然カラーリングがありなので(色んな人種の人がいるので公平に審査するためには当然ですよね)、その予選となる日本クラス別やMr.Ms.日本だけは、国際大会同様にJBBFから指定された「ドリームタン」というボディカラーを当日に塗って良いというルールの時期もありました。

このドリームタンは、良く言うと濃いめのファンデーションのようなもので、悪く言えば絵の具のようなものでした。
そのため濃く塗りすぎるとせっかく仕上げたカットが逆に見えにくくなってしまったり、ライトとの相性が悪いとテカりすぎて凹凸感が分かりにくくなったりとこちらも一長一短という感じでした。

その後、私自身がボディビル界から離れてしまっていたので正確な時期は分かりませんが、現行ルールのボディカラーリングが許可されるようになったようで、私が理事を務める大阪ボディビル・フィットネス連盟が主催する大会の記録を遡っていくと、2017年6月のオール関西ミスフィットネス・ミスボディフィットネス・大阪クラス別ボディビル・大阪マスターズ・大阪ジュニア選手権までは大会要項の注意事項の欄に以下のように書かれていますが
(※以下大阪ボディビル・フィットネス連盟HPより転記)

(1) 当日に限らずカラー・オイルの使用は禁止。使用した場合は失格とする。

これが3ヶ月後の9月のオールジャパンミスフィットネス・ボディフィットネス・フィットネスビキニ・Mr.Ms.大阪の開催要項では以下のように(※以下大阪ボディビル・フィットネス連盟HPより転記)

(1) カラーの仕様を認める。但し、JBBFが指定・承認した商品のみ使用可。
 カラーリングサロン「ヴィーナス」でのカラーリングも認めます。
 当日に限らずJBBFの指定・承認以外のカラーやオイル類の使用は禁止。使用した選手は失格とする。

と変更されていますので現行ルールのボディカラーリングがJBBFの大会で導入されはじめたのはこの頃ではないかと推察できます。

因みに現在のJBBFのホームページ上で確認することの出来る「JBBF競技ルールマニュアル」によると
(※以下JBBF競技ルールマニュアルより転記)

カラーリングについて
男女ともに以下のカラーリングを認める
①JBBF公認セルフタンニングローション コンテストブラック(NURBS社製)
②JBBF公認サロンにてカラーリング施術
※①②いずれの方法に関しても 、大会当日までにしっかりと 液剤を流して、
必ず色が落ちないようにすること。
※上記以外のボディカラーは厳禁。
違反した選手、大会当日色落ちするほど添附した場合は失格になることあります。
また会場の施設をカラーリングにより汚した場合は、弁償代をお支払いいただくことがあります。
②のボディカラーリングサロンを利用した場合は捺印済みの利用証明書を持参すること

となっています。

私個人の考えですが、ボディビルディングやフィジーク競技を純粋にプロポーションや筋肉の美しさで競うものと考えるならば、ボディカラーリングを統一することは競技の公平性を保つためには必要不可欠なものだと思います。
また元々が色白で日焼けしにくい人、あるいは接客業や営業職など日常の仕事やプライベートで過度に肌を日焼けさせることが好ましくない人にとっては、大会の前日、あるいは数日前からの準備で事足りるボディカラーが許可されることは非常に良い事であると思います。
ただし私のような日本人にしては地黒で日焼けに苦労しなかったタイプのビルダーには、アドバンテージが薄まってしまったようにも思いますが・・・

【ボディカラーってどのぐらい変わるの?】

前置きが長くなってしまいましたが、本題の取材してきた内容を紹介します。
今回は5月14日にエル大阪にて開催された第10回大阪府メンズフィジークオープン大会に出場したZIPスポーツクラブ所属の小川選手に協力していただき、大会前日の5月13日の15時頃にボディカラーリングサロン「Venus」でのカラーリング施術を撮影させていただきました。

またカラーリングを担当していただいたのは関西圏を中心に審査員としても活躍する、岩尾幸子さん(写真左側)です。


ちなみに右側が「Venus」代表の森本恵理さん
このお2人が日本中を飛び回り各地の大会でカラーリングを行っています。

でははじめましょう。
まずはカラーリング前の小川選手の色をご覧下さい。



このぐらいです。
では岩尾さんによるカラーリングを写真と動画で見ていきましょう。
こんな感じのスプレーブラシを使って

こぉ~んな感じでテントの中で塗っていきます。
動画
脚もしっかり塗っていきます。


右腕だけ先に塗ってもらってチェック。
結構違いますよね。

薄めに塗り重ねていくとムラ無く綺麗に仕上がるそうです。



ローラーで馴染ませて

出来上がり



塗り終わったら巨大扇風機でしっかり乾かすのが重要


仕上げはドライヤーで乾かして

ベビーパウダーをポンポンして終了

この様な流れになります。
では比較してみましょう


こんな感じです。
因みに今回の小川選手は1回塗りですが、より黒く仕上げたければコンテストの2~3日前からカラーリングを繰り返し2回塗り、3回塗りと重ねていくともっと黒くなるそうです。

このカラーリングは先に述べた「肌の上から色を塗る」カラーリングとは全く別のカラーリング剤で「肌に色を塗る」のではなく「肌の角質に浸透して肌を染色する」という方法です。
そのため着色された角質が代謝されて落ちるまでは色が残るので、1回塗るだけなら前日に塗っても前々日に塗っても仕上がりにはあまり差が無いようです。

ただし成分が肌に浸透するまでに7、8時間かるので、大会前日のカラーリングは早めの時間がお勧めです。
あまりにも夜遅いと肌に浸透する前に就寝する事になるので、布団や衣服の擦れで浸透に差が出来てムラが出来たり、線が入ってしまう可能性があります。

カラーリング後は出来るだけゆったりとした擦れの少ない衣服で(スキニーなパンツとかは✕、バギーパンツとかは〇)7~8時間過ごし、椅子の座席部分や背もたれなど肌が擦れて型が付かないように注意しましょう。

またカラーリングをした翌朝はシャワーで肌に浸透しなかった余分なリキッドを洗い流すのですが、その際に「うわっ!色が全部落ちてもた!」と驚いてしまう人がいるようです。
大会当日の朝、洗い流すとバスタブはこんな感じの色になります。

しかし安心して下さい。
これは余分な色が落ちただけなので、以下の写真のようにそんなに肌の色は変わりません。

ただし角質に染色しているだけなので、角質が剥がれるほどゴシゴシ洗ってしまうと当然色も落ちます。
ですので、大会当日のシャワーはお湯で軽く洗い流す程度に留めて下さい。
ゴシゴシは駄目です。

ただし余計なリキッドが残っていてもコンテスト前のカラーリングチェックで失格してしまいますので、タオルで軽く拭いても色が付かない程度にはしっかり洗い流すようにして下さい。

また「肌の角質に浸透して肌を染色する」わけですから、カラーリングの前にメチャクチャ入念に身体を洗って角質を完璧に落としてしまっている状態で施術しても、染色する角質が残っていないので色が入りにくくなってしまいます。
間違ってもアカスリなどに行って角質を落としてからカラーリングに行ったりしないように注意してください。

「色の入り」について付け加えるなら、肌に水分や油分が多いとカラーリング剤が表面で弾かれてしまい角質に成分が浸透しにくくなるようです。
「あぁ~ダイエットでお肌がカサカサだ」と思って乳液でケアしてからカラーリングに行ったりすると色が入りにくくなってしまうのでこちらも注意してください。

【下地はどれぐらい焼くべき?】

施術者の岩尾さんに「今回の小川選手の下地は十分な黒さですか?」

と質問したところ
「もうちょい黒い方がいいね」
という回答でした。

写真の通り小川選手の色も一般的には十分黒いのですが、コンテスト(特に大阪オープンの行われるエル大阪は照明が強くて有名)対応の色にするには、もう少し日焼けの下地が必要だったようです。
イメージとしてはカラーリングで出来るのは
小麦色の肌⇒黒い肌
にすることであって、白い肌だと小麦色までが限界だそうです。
小麦色ではステージ上では真っ白に見えてしまいます。

これはセルフタンニングローション(コンテストブラック)でも同じだそうです。

【セルフタンニングローションとの違い】

「コンテストブラック」はJBBF公認のセルフタンニングローションで、サロンでのスプレータンニングよりも安価で自分で塗って角質に色を付けることが出来るのですが、コンテストブラックは無色透明のジェルなので、どこに厚く塗ってどこに薄く塗ったのかがイマイチ自分では分からなくなり、「満遍なく塗れたかな」と思って乾かしてみると、仕上がりにムラがあった、なんてこともあるようです。

やはり綺麗に仕上げるためにはスプレータンニングとの併用がお勧めだそうです。
ただし外での日焼けで下地を作りにくい部分や焼けムラが出来てしまうところ(お尻の下の方のしわのところや脇の下、鼠径部など)には、コンテストブラックを事前に塗って色を作ってからスプレータンニングを行うという方法も有効だそうです。

【注意点】

繰り返しになりますが、スプレータンニングで一番大切なことは、施術後にしっかりと乾かし薬剤を角質に浸透させることです。
そのためには出来るだけ早い時間に施術を予約し、就寝までに7~8時間しっかりと乾かせ、馴染ませる時間を設けましょう。

スプレータンニングに行く際は出来るだけゆとりのある服装で行き、スプレー後の肌と衣服が擦れないように注意しましょう。
水分・油分が肌に残っているとカラーが角質に浸透しにくくなってしまうので保湿剤やクリームは塗らずに施術に行きましょう。
スプレータンニングやセルフタンニングローションだけでコンテスト仕様の真っ黒肌にはなりません、日焼けでしっかりと小麦色になるまで下地を作り、焼けムラがあるところにはコンテストブラックで補強して、最後はスプレータンニングで完璧に仕上げましょう。

取材協力:ボディカラーリングサロン「Venus」
モデル:小川寬晃選手(ZIPスポーツクラブ所属)

文:佐名木宗貴


ベスト記録(ノーギア)
スクワット 245kg
ベンチプレス 160kg
デッドリフト 260kg

戦績
パワーリフティング
・全日本教職員パワーリフティング選手権 90kg級 優勝
・2009~2012年 近畿パワーリフティング選手権 4連覇 75・82.5・83・90kg級4階級制覇
・ジャパンクラッシックパワーリフティング選手権大会 83kg級 準優勝
・アジアクラッシックパワーリフティング選手権大会 83kg級 優勝
・東海パワーリフティング選手権大会 93kg級 優勝
・世界クラシックパワーリフティング選手権大会マスターズ1-83kg級 5位
・ジャパンクラシックマスターズパワーリフティング選手権大会83kg級 優勝
・香港国際クラシックパワーリフティング選手権大会マスターズ1 83kg級 優勝
・世界クラシックパワーリフティング選手権大会マスターズ1 93kg級 6位

ボディビルディング
2000~2001年 関東学生ボディビル選手権 2連覇
2000年    全日本学生ボディビル選手権 3位
2011年    日本体重別ボディビル選手権70kg級 3位
2011年    関西体重別ボディビル選手権70kg級 優勝

指導歴
・ZIP スポーツクラブ チーフトレーナー
・正智深谷高校ラグビー部 S&Cコーチ
・埼玉工業大学ラグビー部 S&Cコーチ
・正智深谷高校女子バレーボール部 S&Cコーチ
・正智深谷高校男子バレーボール部 S&Cコーチ
・トヨタ自動車ラグビー部 S&Cコーチ
・関西大学体育会 S&Cコーディネーター

資格
・日本トレーニング指導者協会認定 特別上級トレーニング指導者
・NSCA認定 CSCS
・日本パワーリフティング協会公認2級審判員

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