この度、私の所属するパワーリフティングクラブMBC POWERのジムが約9年ぶりに再開する事となりました。
今回のコラムでは、私とパワーリフティングの出会い、愛知県随一の老舗パワーリフティングクラブであるMBC POWERについて、そして私が旧MBC POWERジムオーナーの近藤さんより多くの器具と志を引き継ぎジムを再開させていただくにあたっての意気込みや目標を書かせて頂こうと思います。
【パワーリフティングとの出会い】
私がパワーリフティングと出会ったのは今から14年前の2003年、22歳の時でした。
元々私は格闘技が好きで、パワーリフティングの前はキックボクシングのジムに通っていました。
キックボクサーとしては一応プロライセンスを持っていてプロの試合に出たりもしましたがあまり強くはなかったです。
MBC POWERジム入会のきっかけは全くの偶然で、当時住んでいた豊田市から名古屋の格闘技用品店にバイクで出かけた帰り、当時愛知県東郷町にあったMBC POWERジムの看板を見つけてふと気になり入ってみた事でした。
最初は「格闘技の補強になるかな」くらいの軽い気持ちで始め、オーナーの勧めで入会2ヶ月後くらいには早速大会に出場していました、その時の記録は75kg級でSQ130kg BP120kg DL160kgくらいだったように思います。
MBCパワー入会前はウェイトトレーニングはベンチプレスくらいしかやっておらず脚腰のトレーニングはもっぱら自重したので、この頃の一番の得意種目はベンチプレスでした。
私の入会当時のMBC POWERジムには、世界大会準優勝3回の前田都喜春先生、全国大会を何度も制している宇佐美さんや與語さん、日本トップレベルの強豪である永谷さんや柴田さんや石川さん、ベンチプレッサーの福田さんといった全国大会や世界大会での実績を持つ強豪選手達が数多く練習しており、私が入会して数年後には泉谷君(後のジュニアチャンピオン、現在競輪選手)が入会するなど、全国でも有数の強豪選手の集まる場所でした。
私は実力的にはジム内で全く目立たない選手でしたし、この頃はいずれまた格闘技に専念しようと考えていたので、トレーニング自体は真剣にやってましたがパワーリフティングに対する意欲は最初はそこまで高くなかったと思います。
旧MBC POWERジムのスクワットラックやプラットフォーム、新MBC POWERジムで引き継がせて頂きました。
MBC POWERの看板選手といえば今年のジャパンクラシックパワーリフティング選手権で復活優勝を果たした宇佐美さん、全国大会での優勝回数は十数回に及びます。
MBC POWERジムで後進の指導をしていた伝説のパワーリフター前田都喜春先生、世界大会で3度の準優勝を果たしています。
【初めてのジャパンオープンパワー】
そんな私がノーギアの全日本大会であるジャパンオープンパワーリフティング選手権(ジャパンクラシックパワーリフティング選手権の前身、2012年より以前はこの名称でした)に初めて出場したのは2007年3月に地元愛知県の岡崎市で開催された時でした、この頃はまだ標準記録も無くノーギア世界大会もありませんでしたのでレベルも今程高くなく、私はトータル582.5kgという記録で82.5kg級の5位に入る事ができました、そこで全国の強豪達と知り合って競い合ったりしているうちに気持ちが格闘技からパワーリフティングに専念しようという風に変わっていったと思います。
このジャパンクラシックパワー出場はこの年以降私のライフワークになっており、今年2017年2月の大会で連続11回目の出場となりました、今後も可能な限り続けて出場していきたいと考えています。
【ジムの一時閉鎖】
しかし、今から9年前の2008年、MBC POWERに転機が訪れます。
騒音問題といった事情でジムが閉鎖を余儀なくされてしまったのです。
ジムがなくなったと言っても一時的なものであって、みんなでかわりのテナントを探して良い場所が見つかれば再開する予定でしたが、残念ながら中々条件に合う場所は見つりませんでした。
そしてMBC POWERはその後ジムを持たないパワーリフティングチームとなり、メンバーは散り散りになってしまいました。
私も練習場所をフィットネスクラブや公営スポーツセンターに移し、自宅に器具を揃えてからはホームトレーニーになっていました。
たまに試合会場や飲み会で集まるとジムの再開について話をする事もありましたが中々実現せず、いつの間にかジム閉鎖から9年が経ち、ジムがあった頃は20人以上いた所属選手も10人に満たない人数まで減ってしまいました。
【ジム復活へ!】
ジム一時閉鎖から9年が経ち、パワーリフティングの世界に大きな変化の波が訪れます。
愛知県ではここ数年大会参加者が増加傾向にあり、昨年2016年秋の県大会でベンチプレスとパワーリフティング合わせて約170人もの参加者がありました、県内の競技人口は一昔前と比べ大幅に増加していると感じます。
それに近年欧米でのパワーリフティングの盛り上がりは凄まじく、世界では以前は考えられなかった大規模な大会が開かれるようになりました。
しかしこれだけパワーリフティングが盛り上がってきているのに、愛知県の中心地である名古屋地区にはパワーリフター向けの練習場所というのが少なく、多くのパワーリフターが市営ジムやフィットネスクラブで不便な思いをしているのが現状です。
今パワーリフティングには強い追い風が吹いている、この機を逃さずMBC POWERジムを復活させなければならない、そして名古屋地区のパワーリフティングの中心地を作ろう。
そう思い立ち、MBC POWERのリーダーである近藤さんやメンバーの皆さんと相談し、ジムを再開しようと決めました。
再開となると初期投資もある程度かかりますし、仕事をしながらなので時間的にも大変な部分もあるのですが、幸いな事にMBC POWERの皆様や多くの方のご協力があり私個人の負担を少なく抑えつつ準備を進める事が出来ました。
そして遂に今年6月よりMBC POWERジムを再開できる見込みとなりました。
【ジム紹介】
新しいMBC POWERジムの住所は愛知県豊明市の新栄町というところです、名古屋市内ではありませんが名古屋市最大の住宅地である緑区との境界線近くで名古屋方面からのアクセスは悪くなく、国道1号線や名四国道からも近い事から西三河地方からも自動車で来やすい位置ですので地理的には中々恵まれた場所ではないかと考えています。
建物は元々薬局だったもので少々古いです、とは言えパワーリフティングジムは古い建物でも中に競技用の器具類がしっかり揃っていれば問題ないと考えているのであえてそこは気にしませんでした。
最初は倉庫のような場所を探していたのですが、中々条件に合う場所が見つからずあちこち当たってる時に見つけたのがこちらの物件でした。
《建物外観》
器具は私がホームジムで使う為に買い集めた物、旧MBCジムから引き継いだ物、ご厚意で譲って頂い物である程度必要な物は揃いました。
プレートやシャフトはジムをやるには足りなかったので新たに購入しましたが、お金のかかる内装工事をやっていない事もあって初期費用をかなり抑える事ができました。
《準備中のジムの写真》
6月のオープンまでにこれに競技用のスクワットベンチ兼用台がもう一台と、パワーリフティング用の薄型プレートとシャフトが入る予定で、更に今年中にはパワーラックも一つ設置したいと考えています。
【これからの目標】
まず第一に、MBC POWERを以前の全国有数の強豪ジムに戻したいです。
ジムのあった頃のMBC POWERは全国大会でも団体戦表彰台の常連でしたが、ジム閉鎖以降は選手数の減少もあり団体戦の表彰台からは遠のいてしまっています。
これからまた新たな選手も発掘し、所属選手達で力を合わせて再び全国大会の団体戦で表彰台を獲得したいです。
そして収益について、自分はたとえ競技者向けの小さなジムであっても利益は出さなければならないと考えています。
パワーリフティングジムは「このスポーツが好きだからやってる、儲けは考えてない」というようなところも多いですし、それはそれで素晴らしいと思うのですが、利益の出ていないオーナー個人の行動力や経済力に依存したジムはたとえばオーナーに何か身体的・経済的な問題が起きたり、それこそ以前のMBC POWERジムのように何かの事情で移転せざるを得ない状況(それに伴い多額の移転費用がかかる)となった時、ジムの存続が困難になってしまう可能性があります。
やはりある程度の利益は確保し、施設を随時拡充し、何か大きなトラブルがあっても対応可能なジムにしていく必要があると考えています。
最後にもう一点、これは大それた事を言うようですが、私はこれからこのMBC POWERジムを通して年々盛り上がりを増す世界のパワーリフティングの熱気を愛知県や日本全体に広めていき、やがては国内のパワーリフティングを欧米に負けないくらいまで発展させていきたいと本気で思っています。
皆様是非これからのMBC POWERにご期待下さい!
【ジム住所、連絡先】
所在地 〒470-1154 愛知県豊明市新栄町6丁目70-1
電話番号 0562-57-0489
ジムへのお問合わせはMBC POWER HP( http://mbcpower.web.fc2.com/ )の問い合わせメールフォームまでお願いいたします。
コラムニストやコラム内容についてのメッセージは下記のアドレスまでお送りください。
コラム用メールアドレス: column@sbdapparel.jp
※どのコラム宛かを明記してください。
※お送りいただいたメールの内容は、コラムで取り上げられる事があります。
■コラム執筆者
神野亮司
愛知県 MBC POWER所属 ( http://mbcpower.web.fc2.com/ )
ベスト記録(ノーギア)
・93kg級
スクワット245kg
ベンチプレス165kg
デッドリフト267.5kg
トータル662.5kg
・83kg級
スクワット212.5kg
ベンチプレス157.5kg
デッドリフト255kg
トータル612.5kg
実績
ジャパンクラシックパワー(旧ジャパンオープンパワー)出場10回、最高2位
2012年アジアクラシックパワー男子一般83kg級2位
2014年世界クラシックパワー男子一般83kg級11位