読者の皆様、今月もお読みいただきありがとうございます。
一気に夏のように暑くなったかと思えば急に冬に戻ったように寒くなったりと寒暖差のある日々ですが、いかがお過ごしでしょうか?
着るものにしてもタンクトップで十分な日もあれば夜は冬物のダウンが必要な日もあり「もういらないだろう」と思い、一旦タンスの奥にしまったものをまた出して着る、というような事の繰り返しです。
そんな中ですが、実は先日寒さで知られる北海道の釧路に行ってまいりました。
「世界クラッシック直前に美味しいものをたくさん食べて元気になろう!」という大掛かりなチートデイツアー‼
ではなく。
高校アイスホッケー界の強豪校として知られる武修館高校アイスホッケー部のトレーニングにスポットコーチとして参加してまいりました。
元々私のコーチングキャリアは高校ラグビー部の指導から始まっている事もあり、種目は違えど同じコンタクトスポーツで日本一を目指す高校生達を前にして非常に懐かしく感じ、また彼等の積極的な取り組み姿勢と自分を成長させるものには何でも挑戦しようという高い向上心を前にして、私自身も大いに学ぶべきものがあり、指導者としてだけでなくスポーツに関わる者、教育に携わる者として初心に帰る思いでした。
また夜は減量で疲れ切った身体に北海道限定のサッポロクラシックが染み渡り、ホッケや牡蠣、クジラ料理やツブ貝など釧路でしか味わえない新鮮な海の幸を堪能して身も心も完全にリカバリーされ3泊4日があっという間に過ぎ去ってしまいました。
実は釧路に行く前の2週間ほど、トレーニングの調子が絶不調で、高重量が全く持てなくなってしまっていたのですが4日間のリフレッシュで、かなり調子が戻ってきました。
また心配していた体重も釧路に行く前が84.3㎏だったのですが、帰宅翌日に計ってみると83.6㎏と逆に減っていて、その翌日には更に83.0㎏まで落ち、殆ど減量の心配は無くなりました。
「早く体重を落とさないと!」「体重を落としても重量は上げていかないと!」っと焦ってかなり自分自身を追い込んでいく中で知らず知らずのうちに疲労が溜まっていたのですが大自然に癒され胸の中に綺麗な空気が通るような気持がして一気に楽になりました。
そのお陰で身体が良い反応をしてくれたのだと思います。
ここから試合まであと2週間強‼(※この記事を書いているのは5月18~21日です)
釧路でもらったパワーで調整を成功させます‼
【人生40年目を迎え痛感している事】
さて今回はそんなリカバリーに纏わる話です。
今まで自分のトレーニングや食事の内容については色んなところで話をしたり記事に書いたりしてきたのですが、実はあまりリカバリー方法や特にセルフケアについては書いたことがありませんでした。
何故かというと、お恥ずかしい話ですが私自身とても面倒臭がりのいい加減な人間でしてトレーニングは大好きなんですが、その後のケアについては正直まともにやった事がありませんでした。
ストレッチも大嫌いですし、アイシングも冷たいのが大嫌いなのでよっぽど大きな怪我でもしない限りやりません。
シャワーは大好きですが、暑がりなのでお風呂に浸かるのが大嫌いでしてお風呂にゆっくり浸かる事は真冬でも苦手です。
そんな感じですのでリカバリーと言えば栄養補給ともっぱら他人にやってもらう鍼やマッサージがメインでした。
しかし以前にも何度か書いたように2016年2月に千葉で行われたジャパンクラッシックに向けて半年以上準備して非常に調子良く調整を進めていたにもかかわらず、直前で疲労の蓄積が原因と思われる発熱により出場出来なくなってしまった事が切っ掛けで「自分ももう若くないのだ、このままでは高いレベルで競技を続ける事が出来なくなる。
自分の衰えを認めもっと謙虚に自分の身体と向き合わなければならない」と痛烈に反省し、少しずつではありますがセルフケアを行うようになりました。
とは言え、当たり前の事ですが仕事と家庭が優先ですので、自分のために使える時間は非常に限られている状況ですので、結局はトレーニングの時間を捻出するのが精一杯で、なかなか身体をケアする時間が取れません。
そこで考えたのが忙しい中でも何かをやりながら出来る「ながらケア」と普段の生活の中で「最低限これだけはやろう」という1回10秒でサッと出来る「細切れストレッチ」を作って必要最低限のケアをコツコツと続けることでした。
今回はそんな佐名木流のセルフケアを1日の流れと共にご紹介したいと思います。
【使用する道具】
今回使用する道具は以下の通りです
殆どのものがネットで簡単に変えるもので価格もそこまで高くはありませんので毎日使うものとして一家に1個ずつあっても良いでしょう。
【朝のながらケア】
誰でもそうだと思いますが朝は時間との戦いです。
やるべきことが沢山ある中でストレッチに時間を割いている時間等無いと思います。
ストレッチするために早起きするという人もいるかも知れませんが、私はしません。
何故なら私がコンディショニングの中で最も効果的で重視すべきだと思っているのは睡眠だからです。
ただでさえ睡眠時間を確保する事は難しいのにいくら体のケアのためとはいえ睡眠時間を削っては全く意味がありません。
ながら①:ストレッチボードに乗りながらメールチェックとスケジュール確認
まずは朝起きたらすぐにストレッチボードに乗ると同時にタブレットのスイッチを入れてメールやLINE等をチェックし、1日のスケジュールを確認します。
最初は高めの角度でふくらはぎを20秒頭の中でカウントしながら伸ばしたら、次に20秒前屈して10秒起こすを3セット繰り返します。
最初は無理に倒さず3セット目で思いっきり前傾する感じです。朝は腰が固まっているので急にやらないのがポイントです。
身体を脱力してタブレットの重みで少しずつ伸ばしておきます。
いきなり最初に持ってきてなんですが、これを始めてから本当に腰痛がかなり楽になりました。
通販で3000円ちょいでした。本当に買って良かったと思います。
時間がない人でも最低限これだけやってると腰のトラブルはかなり防げると思います。
ながら②:イボイボ青竹踏み&胸部のストレッチしながら味噌汁温めて珈琲入れる
次は朝食の準備をしながら青竹踏み踏みと大胸筋ストレッチです。
キッチンで味噌汁に火をかけてコーヒーメーカーに豆と水を入れてスイッチON。
出来上がるのを待ちながら足の裏を刺激しながら柔道着の帯を使って主に大胸筋と肩回りをストレッチします。
これも頭の中で30秒から60秒ぐらいカウントしながら足踏みして肩を動かしながら少しずつ胸を開いていきます。
私は肩の調子が悪い時は、朝は全く腕が上がらなかったのですがこれをやり始めてからはそこまで酷い日は無くなりました。
また足の裏もトレーニング中に攣る事がよくあったのですが、このイボイボ踏みをするようになってあまり攣らなくなりました。
ながら③:ストレッチポール&フォームローラーでコロコロしながらメール返信
さて最後に硬めと柔らかめ2本のフォームローラーを使って硬くなりやすい背中・腰・お尻・もも裏・ふくらはぎ・大腿四頭筋・大腿筋膜張筋をほぐします。
写真のような姿勢でコロコロゴロゴロ各30秒ずつぐらいです。
メールを書くのに時間がかかった場合はもう少しやるかも知れませんが、ここまでで起床後12~15分ほどです。
この後シャワーを浴びて具沢山の味噌汁に胡麻油を入れて1杯、サンマの塩焼き1匹、納豆1パック、チョコレート味のプロテイン40g、クレアチンとBCAAとシトルリンの入ったドリンクを飲んで、朝の体重が問題無ければ、みかん1個かシリアルバー1個ぐらいとココナッツオイルをスプーン1杯溶かしたホットコーヒーを1杯飲んで家を出ます。
私は睡眠の次に大切にしているのは水分補給ですので朝からお腹がチャプチャプになるまで飲みますので渋滞をいつも恐れています(笑)
通勤経路でトイレのある公園の場所は全て把握しているのは言うまでもありません。
【仕事中の細切れストレッチ】
前述した様に私は水分補給をとても大切にしています。
仕事中も業務に支障をきたさない範囲で(結構支障をきたす時もあるが)水分をたくさん飲みます。
クレアチンモノハイドレートを溶かしたオニオンスープやワカメスープを必ず1杯、コーヒーは2杯程度、BCAAやザバスのアクアというスポドリのような味のプロテインを溶かした水を2リットル飲むようにしています。
(トレーニングする日はもう2リットル)
なので仕事中に結構トイレに行きます。
ジムやグラウンドでの立ち仕事もそうですが、パソコンを使う仕事も多いので2時間ぐらい座ってパソコンに向かっている事もありますので腰や臀部があっという間にカチカチに固まってしまいます。
この繰り返しが良くないと思いトイレから戻る前に次のような「細切れストレッチ」で一旦筋肉を伸ばすように心がけています。
細切れストレッチ①足を開いて前屈
これは以前ホットヨガを習っていた時に好きだったお気に入りのポーズで外踝の下に指を引っ掛けて腕で自分の頭が両足の真ん中に着くイメージで引っ張り太腿の裏から腰背部にかけてを強くストレッチします。
勿論仕事中ですのでゆっくり伸ばしている時間はありませんので10秒ぐらい思いっきり引っ張って伸ばしたらすぐ仕事を続けます。
細切れストレッチ②立位体前屈
これもヨガを習っていた時に全然出来なかったので今でもやってるポーズで普通の体前屈では無くて膝を曲げて自分の踵を掴んでから膝を伸ばそうとしています。
もも裏と腰背部が強くストレッチされます。
これも同じく10秒ぐらい思いっきり伸ばそうと努力します。
科学的根拠があるかどうかは分かりませんが、頭を下に下げてストレッチしながら手で引っ張り力を入れると頭がスッとしてその後の仕事が捗ります。
細切れストレッチ③お尻のストレッチ
これはヨガで習ったものを自分でアレンジしたもので、片足立ちで自分の足を4の字に組み膝の裏を抱えて自分で脚を引き付けるように引っ張りながらお尻を伸ばします。
片方ずつ左右10秒間だけですがお尻が切れそうなほど効きます。
これら3つのポーズを仕事の合間にチョイチョイ行います。
写真をご覧の通り身体が硬いので傍から見たら何をしているのか分からないかも知れませんが、コツコツ繰り返す事でデッドリフトの翌日など明らかにお尻やもも裏に残る疲労が軽くなったように思います。
また仕事の後にトレーニングを行う場合、腰やお尻が硬いままで調子が出ない事が多かったのですが少しずつでも仕事の合間に伸ばす事でトレーニングも調子よく出来るようになりました。
【寝る前の時短&ながらケア】
仕事やトレーニングから帰ったら当たり前ですがお風呂に入ります。
前述した様に以前はお風呂に浸かるのが嫌いで「ガス代の無駄やわ!」とよく怒られながらもシャワーだけで済ましていました。
今でも長湯は苦手なのですが少しでも身体を回復させるためになるべくお風呂に浸かるようにしています。
とは言えこちらも前述した様にゆっくり風呂に入っていて睡眠時間が短くなってしまっては意味がないので短い時間で効果が出るように冷水シャワーを使った交代浴を行うようにしています。
お風呂の温度は43~44度と少し熱めにして2分ほど温まったら水のシャワーを頭から30秒ほどかぶります。
トレーニングして帰って来た時は腰や太腿、肩などに集中的に水をかける事もありますが、元々暑いのが苦手なので首元から水をかぶる方が気持ちが良いのです。
これを3回ぐらい繰り返したらサッと出ます。湯船に浸かっている時は長座体前屈で腰を伸ばします。
高校時代から腰椎のヘルニアで痺れが出る事もあるので腰のケアを最も優先しています。
【入浴後のストレッチゴールデンタイム】
何度も繰り返しますがストレッチ、特にスタティックストレッチは苦手です。
しかし入浴後の筋肉がリラックスしている状態で行うストレッチは少しだけ好きです。
しかし何度も言うように早く寝たいので必要最小限のメニューに厳選して行います。
入浴後のながら①:ストレッチボードに乗りながらインターネット
これは朝と同じです。本当に効果があるのでどんなに時間が無くても最優先です。
朝と違うのは入浴後なので最初から力を抜いて完全に伸ばします。
30秒3セットは同じです。
同じようにタブレットでメールやLINEの確認、返信を行います。
入浴後のながら②:紐やバンドを使ったストレッチをしながら翌日のスケジュール確認
道具は何でもよくて身の周りのある硬い紐やゴムであれば何でも良いと思います。
これも色々凝り始めると時間がかかってしまいますので自分に最低限必要な3~4種目だけです。
余程痛みでもない限り20秒1セットずつで終了です。
同じようにタブレットで翌日のスケジュールを確認したり、学生トレーナーから送られてくるデータや動画を確認したり、Youtubeでトレーニングのネタ収集などを行いながら行う事が多いです。
より疲れが溜まっている時は風呂上りに股関節や肩甲骨周りにスポーツ用のコンディショニングジェルを塗り込んでからストレッチを行ったりもしますが
夏場は汗が溢れ出て来るので布団を汚したくないのであまり使いません。
申し訳ない話ですが出張等でホテルに泊まる時はベタベタ塗ってストレッチして寝ます。
入浴後のながら③:首の筋肉をほぐしながらウトウトする
最後は首の後ろ側の筋肉をフォームローラーでほぐしながらウトウトと寝る準備をします。
特に根拠がある訳ではないのですがこれをすると早く眠くなるので睡眠重視の私は一日のシメに行います。
私が使っているような専用のフォームローラーが無くてもテニスボールを2個テープでくっつければ代用できますので試してみて下さい。
【まとめ】
最初から申し上げている通り、私自身いい加減で面倒臭がりの人間ですので、こういう地味な作業は本当に苦手です。
しかしそんな私でも必要に迫られると、これぐらいの事は何とか毎日出来るようになりました。
若い時は本当に食べて寝ていれば回復出来ていたものが徐々に出来なくなってくる。
人生40年を前にしてようやく習ってきた事の本当の意味が身をもって分かり始めるのだから歳を重ねるのも悪い事ではありません。
当たり前の事ですが、トレーニングの効果を出す為にはハードに追い込む事が必要です。
そしてそのトレーニングの効果が出ているうちに次のトレーニングをまた行う。
この繰り返しで人は強くなります。
長く休めば当然疲労を完全に抜く事は出来るでしょう。
しかし休み過ぎてしまったら肝心のトレーニングの効果も薄れて行ってしまいます。
つまりトレーニングの効果を出し続けるには如何にして早く回復させ効果を残し、強度の高いトレーニングの頻度を高めていけるかが重要です。
またこのように、自分で毎日同じケアを繰り返す事は、自分の身体の変化に気付く切っ掛けも与えてくれます。
「今日ここが硬いのは何が影響しているのだろう?」
「この痛みは何日前のどの種目の影響だろうか?」
自分で自分を知る事が出来るようになります。
これも全ては2016年の失敗の御蔭、怪我の功名です。
これから先も色々自分の身体から教わる事は多いと思いますし、これらは全て指導者としての財産になります。
だから競技を続ける事はやめられませんね。
では次回コラムで良いご報告が出来るよう頑張ってきますので応援宜しくお願い致します。
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コラム用メールアドレス: column@sbdapparel.jp
※どのコラム宛かを明記してください。
※お送りいただいたメールの内容は、コラムで取り上げられる事があります。
■コラム執筆者
佐名木宗貴
ベスト記録(ノーギア)
スクワット 241kg
ベンチプレス 160kg
デッドリフト 260kg
戦跡
パワーリフティング
・全日本教職員パワーリフティング選手権 90kg級 優勝
・2009~2012年 近畿パワーリフティング選手権 4連覇 75・82.5・83・90kg級4階級制覇
・ジャパンクラッシックパワーリフティング選手権大会 83kg級 準優勝
・アジアクラッシックパワーリフティング選手権大会 83kg級 優勝
・東海パワーリフティング選手権大会 93kg級 優勝
ボディビルディング
2000~2001年 関東学生ボディビル選手権 2連覇
2000年 全日本学生ボディビル選手権 3位
2011年 日本体重別ボディビル選手権70kg級 3位
2011年 関西体重別ボディビル選手権70kg級 優勝