皆さま、今月もご覧頂きましてありがとうございます。
SBDコラムニストの栗原弘教です。
今回は、パワーリフティングの大会に出場にする時に選ばなければいけない『階級』について私なりの考えを書いて行こうと思います。
特に、大会未出場でこれからパワーリフテイングの大会に出場してみたい、と思ってトレーニングに励んでいらっしゃる方はぜひ参考にして頂ければと思います。
目次
・階級について
・重量と勝負
・減量と怪我のリスク
・ナチュラル体重の勧め
・まとめ
階級について
まず初めに、パワーリフティングの階級は
男子 59kg・66kg・74kg・83kg・93kg・105kg・120kg・+120kg
女子 47kg・52kg・57kg・63kg・72kg・84kg・+84kg
*ジュニア、サブジュニアは男子53kg級、女子43kg級がそれぞれ加わります。
の男子8階級、女子7階級に分けられています。
大会時には試技開始2時間前に『検量』といって体重の計測があり、エントリーした階級の体重に収まっているかどうかを確認します。
例)
・男子74kg級でのエントリーの場合
検量通過体重:66.01kg〜74.00kg
・男子83kg級でのエントリーの場合
検量通過体重:74.01kg〜83.00kg
となりますので、74kg級のエントリーの場合は、検量時に66.00kgや74.01kgであった場合は検量をパスする事が出来ません。その他の階級についても同様の考え方になります。
仮に一度検量不合格になった場合でも、試技開始予定時刻の30分前までに再検量を行う事が可能となっています。
また、申し込み後の階級変更は公式大会では不可となっていますので注意が必要です。
*ルールの詳細については日本パワーリフティング協会のルール記載ページをご確認ください。(リンクはこちら)
重量と勝負
多くのパワーリフターは、大会で一つでも上位を狙うために階級選択を行っているのではと思います。
その為に、減量や増量を意図的に行い、試合に臨んでいる方も多くいる印象です。
それ自体は悪い事ではありませんし、勝負の世界なので、その他の階級制スポーツの世界でも日常的に行われている事かと思います。
ここで、自分のナチュラル体重よりも下の階級で出場する場合、減量を行うことになります。
元々の体格や使用重量の違いから、上の階級の選手が下の階級で戦う方が有利になる傾向はありますが、同時に減量を失敗すると大きく記録を落とすことにも繋がりかねません。
2〜3kg程度の減量幅ではさほど影響もなく、問題なく好記録も狙えると思いますが、5kg以上の減量幅がある場合や、試合前日や数日前から『水抜き』などを行う場合は、検量後に上手く水分のリカバリーが出来ず、日頃の成果を発揮できずに試合を終えるというケースもよく起こりえます。
特に、女子選手などは2〜3kg程度といっても体重に占める割合が男子選手と比べると大きい場合が多いので、月経などの影響とも合わせて特に注意が必要かと思います。
減量と怪我のリスク
減量を行って行くと、当然ですが体脂肪量や筋肉量が減っていきます。
その結果、関節に掛かる負担が増加します。
どういう事かというと、脂肪には体温を保温したり、外部からの衝撃を緩和する役割などがありますが、減量をする事でそれらの役割の割合が減少していきます。
すると、今までの様に筋温が上がってこなかったり(低下したり)、関節に対しての衝撃なども緩和し切れなかったりという事が出てくると考えられます。
それ故に、無意識のうちに減量前とフォームなどが変化してしまい、調子を崩したり、ハードトレーニングや高重量に関節が耐えられなくなり、大会直前で怪我をしてしまったりという事が起こるケースが多い様に感じています。
意識、無意識に関わらず、減量とフォームなどの調整が上手い選手は階級を下げてもベストが出たり、しっかりとピークを維持できる事はあるかと思いますが、なかなか万人にできるものではありません。
ナチュラル体重の勧め
上記の事などから、あくまで私個人の考えとはなりますが、1〜3回目程度までの大会出場では減量などをせずに、自分の普段の体重のままで出場できる階級でのエントリーをすると良いと思います。
栄養などもしっかりと取れ、心身にストレスをかけない現状の状態で、きっちりトレーニングを行い、使用重量を伸ばせる範囲で伸ばして行く事が、好記録に繋がるとも思います。
また、初出場時から減量で苦しむよりも、楽しく試技をしたり、自己ベストを狙った試技に全力で挑んだり、公式記録をしっかりと残したりと、パワーリフティングの大会自体を心から楽しんで欲しいからです。
大会にも慣れ、順位などを狙っていきたい、あの選手に勝ってみたい、などといった気持ちになった場合に、階級変更などを考えるのが一番良いのではないかと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
パワーリフティングの大会への参加者が近年増加してきていますし、私のジムからも初出場の選手も増えました。
そこで必ず階級の話になるのですが、上記の事などが頭にあれば階級選択の一助になるのではないかと思い、今回はこの様なコラムを書かせて頂きました。
パワーリフティングは生涯スポーツです。
自己鍛錬を積みながら、長く楽しく取り組んでいけるスポーツだと考えているので、まずは大きな無理をせずに楽しく取り組んでみてください。
今回の記事が少しでもお役に立てていれば幸いです。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。
また次回もよろしくお願い致します。
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■コラム執筆者
栗原 弘教
Training-studio“Master Mind”:https://mastermind85.com
Twitter:@kuririn_h
instagram:hirokurihara
:mastermind2012ebisu
東京都 Training-studio“Master Mind”所属(https://mastermind85.com)
ベスト記録(ノーギア)
105kg級
スクワット 270kg
ベンチプレス 165kg
デッドリフト 260kg
トータル 685kg
シングルベンチプレス 170kg
一般男子105kg級東京都記録保持者:スクワット265kg、トータル685kg
93kg級
スクワット 240kg
ベンチプレス 150kg
デッドリフト 250kg
トータル 635kg
戦績
ジャパンクラシックパワーリフティング大会 出場4回 最高8位
2017 東京都秋季パワーリフティング選手権大会 93kg級 3位
2018 東京都秋季パワーリフティング選手権大会 105kg級 優勝
スクワット265kg、トータル685kgの東京都記録樹立