【はじめに】
読者の皆様、いつもご覧頂き有難う御座います。
SBDコラムニストの佐名木です。
毎年この時期は同じことを書いているかも知れませんが、私は酷い花粉症もちでして毎年この時期は辛い毎日を過ごしているのですが、今年は特に例年に比べ暖かかったので正月明けから警戒して、ヨーグルトを多く摂ってみたり納豆を毎日食べてみたり、生姜紅茶を飲んでみたりと、花粉症に良いと聞くものは出来る限り試してはいるものの期待するほどの効果は無く、1月下旬から既に鼻詰まりと真っ赤な目で過ごしています。
過去に唯一花粉症が和らいだ対策としてはこの1月下旬からゴールデンウィークまでの期間でスギやヒノキの花粉を吸わない期間を作るという事でした。要するに沖縄の離島や海外へ1週間程度逃げるというものです。
勿論仕事や家族とのスケジュールの調整が上手くいかないと実現できないので、毎年出来るものではありませんが、家族旅行はできるだけこの時期に企画したいと思っています。
【ご報告】
さて今月の御報告ですが、まずは1月19日-20日に大阪府堺市にて行われました、ジャパンクラッシックベンチプレス選手権大会に私が監督を務めます関西大学学生S&C(Strength&Conditioning Coach)
の部員で社会安全学部1回生の宮本佳樹と社会学部3回生の若林康平が出場し
宮本がジュニア66㎏級で3位に入賞しました。
まだ本格的に競技に取り組みはじめてから半年に満たないキャリア2戦目での全国大会入賞ですので今後どこまで強くなるか楽しみな選手です。
続きまして2月9日-11日に茨城県つくば市にて行われましたジャパンクラッシックパワーリフティング選手権大会にも学生S&Cからは一般74㎏級に若林、そして学生ではありませんが私も83㎏級で出場して参りました。
若林はトータルの自己ベストを45㎏更新して13位でした。
パワーリフティングを始めて10ヶ月でトータル87.5㎏の記録更新です。
4月の大阪パワーから9月の国体までは減量の必要な66㎏級で出場していましたが、その後は74㎏級へ階級を上げて急速に強くなってきました。
やはり若いうちは無理な減量などせず思いっきり食べて思いっきりトレーニングするべきだと改めて考えさせられました。
試合会場でよく「佐名木さんのところの…パワーリフティング部?ボディビル部?」と聞かれるのですが、彼らの活動のメインはそこではなくて、あくまで学生S&Cコーチです。
普段は大学の体育会クラブに対して主にウエイトトレーニングのサポートや測定などを手伝いながら自身の自己研鑽としてトレーニングを行ったり大会に出場したりしています。
これは私自身が東海大学の学生トレーナーだった時代に、学生が学生に対してコーチングする事の難しさに悩んだ経験と、自分自身がボディビルの学生大会に出場する事で教科書だけでは学ぶ事の出来ない知識や経験を得て自信を持って活動が出来た事、また選手以上にストイックな生活を送り、ジムの中では選手以上の重量でトレーニングする事で指導対象からも一目置かれることで活動しやすくなったという事、そして何より選手の気持ちを身をもって知る学生コーチになって欲しいという願いから学生達にも大会出場とそのためのトレーニングと調整を本気で行う事を推奨しています。
今後も応援を宜しくお願いいたします。
さて頑張る学生達に見本を見せねばならない私はと言うと…
情けない事に年末年始の仕事の影響で少しトレーニングが出来ない期間があった影響からか体重のコントロールに苦しみまして、試合の2日前まで体重が4㎏近くオーバーするという事態に陥りましたが、多少強引な水抜きをしてなんとかギリギリ出場する事が出来ました。
しかし無理に落とした水分はそう簡単には戻ってくれず、案の定スクワットの第二試技で脚が攣ってしまい、第三試技をパス。
12月からフォーム改善に取り組んできたベンチプレスは数年ぶりに150㎏を第二試技で成功させたものの第三試技では練習で成功させていた152.5㎏で潰れてしまい失敗。
デッドリフトも第三試技で6年ぶりに260㎏をあげようと挑戦しましたが浮かすのに時間がかかりすぎて最後に返せず撃沈。
結果トータル625㎏で9位でした。
それでも久しぶりに一般の部の全国大会に出場し、最終組で日本のトップ選手達と一緒に試合をする事が出来た事は良い経験になりました。
その一方で2018年度は6月にカナダで世界クラッシックマスターズ、7月に香港国際クラッシック、9月に一度北海道でのジャパンクラッシックマスターズに向けた調整をし、11月に再度調整をし直してジャパンクラッシックマスターズ。そしてこの2月のジャパンクラッシック。
と大きな大会に4つ出場(調整は5回)するというのは少し身体への負担が大きかったと感じています。
私の場合は83㎏級に出場するためには減量や食事制限が必要ですので、出場する大会が増えれば増える程、調整する期間が長くなり、質の高いトレーニングが出来ない期間が長くなります。
2019年はこの反省を生かし、出場する大会を減らし。場合によっては93㎏での出場も計画的に行いながら強化を進めていこうと考えています。
最後にパワーリフティング以外の話題ですが、1月28日に神戸の六甲アイランドにあるジ・アンタンテフィットネスクラブにてセミナーの講師を務めさせていただきました。
これは2017年12月のコラム【2018年12月のコラム】でも触れた近畿地方の大学や専門学校に通う、学生アスレチックトレーナー達が交流や勉強会を行う団体が主催するセミナーです。
セミナーの内容は私の社会人や大学、高校での指導経験からウエイトトレーニングの導入時に必要な体力要素とジュニア期に必要なトレーニングについて私なりの考えを述べさせていただきました。
60分の座学と120分の実技と質疑応答でかなりハードな内容でしたが、皆さん沢山の質問をしてくれたので楽しく進める事が出来、また自分自身も知識を深める事が出来ました。
高校でも大学でも社会人でも同じでしたが、ウエイトトレーニング導入時にスムーズに導入が出来る選手となかなか基本的なフォームの習得に時間がかかる選手がいるものでして、ウエイトトレーニングを安全に行う為の姿勢を保持する能力や感覚が備わっている選手とそうでない選手では効果的にトレーニングを行う事が出来るようになるまでに費やす時間に大きな差があります。
将来そうならないためにジュニア期に何が出来るのか?それはトレーニングとして行うべきなのか?遊びの中から自然と身につくように出来るのか?
そんな話をざっくばらんで、楽しみながらセミナーをさせて頂きました。
主催者の皆さん受講者の皆さん有難う御座いました。
【初めてのドーピングチェック】
それでは今月の本題に入ります。
今月は11月24日に出場したジャパンクラッシックマスターズ選手権大会終了後に受けたドーピングチェックの体験記としたいと思います。
ドーピングチェックがあるような競技会に参加し始めて、かれこれ20年になりますがようやく念願かなって初体験です。
今回はドーピングについての細かい解説や良いとか悪いとかいう話ではなくて完全な体験記として書こうと思いますので、今後ドーピングチェックを受ける可能性のある選手が「あぁ…本当にそういう感じなんだ」と参考にしていただければ幸いです。
アンチドーピングに関する基礎的な知識の無い人は先にJADA(日本アンチドーピング機構)のサイトにあります。ルールと規則違反を先にお読みいただくと分かりやすく読み進められると思いますので是非一読ください。
【デッドリフト第三試技終了から表彰式まで】
それでは最初に自分自身がこの日のドーピングチェックの対象者であると知った時点から表彰式までを振り返っていこうと思います。
2018年11月24日(土)の13時40分、ジャパンクラッシックマスターズパワーリフティング選手権大会2日目、午前中のセッションのデッドリフト最終試技者であった私は260㎏に挑戦したが残念ながら失敗。
「はぁ~駄目だったか」と凹みながらも審判と観客席に一礼しステージを下りようとしたところ、ステージ裏へと降りる階段の下にJADAの名札を付けた男性(Doping Control Officer:以後DCOと略す)とパワーリフティング協会側の女性(National federation representative:競技協会側の立場でドーピング検査が適切に出来るように、選手の権利が守られるように動く役割の人:通称NFレップ)が待っていました。
「お疲れ様でした。DCOの〇〇です。あなたはドーピング検査の対象者となりましたので今から検査終了まで我々が行動を共にします」
という感じで通達と共に概ねこのような説明がなされ、私はDCOの男性に付き添われながら行動する事になりました。
最初にこのようなドーピング検査通告書にサインし身分証明書を提示します。
まずはステージ裏に移動して自分の荷物を纏め、着替えを済ませます。
試合直後ですので当然服や手はタンマグまみれですし太腿はベビーパウダーで真っ白です。
DCOに付き添われながらトイレに行き手を洗うとこの時点で既に軽い尿意がありました。
恐らく試合中に大量の水分を摂取していたので(試合前の検量で1回オーバーしてしまい再検量までに意図的に水分を出しきっていたため、試合中も回復させるために水分を多く摂っていた)比較的オシッコが近い状態が続いていました。
しかしまだ書類も書いていないし採尿セットももらっていないのでここでは出したくても出すわけにはいきません。
一応私も競技スポーツ現場で仕事をしているので指導するチームの選手のドーピングチェックに付き添った経験は何度もあります、そのため予備知識として採尿する際に尿の量が足りないとやり直しになってしまうという事はわかっていました。
そのためなるべくギリギリまで尿意を貯めて一回で終わらせようと考えていました。
ここでは手だけ洗ってステージ裏に戻ります。着替えを済ませ荷物を纏めたら2階にあるドーピング検査室へ移動しようと思っていたのですが、ステージ裏は既に午後のセッションの方々とセコンドの方々でごった返していて(午後は重量級なので余計狭く感じる)荷物を置いたままにしておいてはウォームアップの邪魔になってしまうと思ったのでDCOに付き添ってもらったまま荷物を駐車場まで運び、車のトランクにしまいました。
そして試合会場へ戻ったあたりでかなり強い尿意をもよおしてきたのでDCOに「オシッコが出そうなので、このままドーピング検査室へ行っても良いですか?」と言って2階の検査室へ移動しようとしましたが…
「ハイ!午前のセッションの表彰式をやりまぁ~す‼」
というアナウンスがあったので私はオシッコを我慢しながら何とか表彰式を済ませました。
皆さんご存知の通りマスターズのパワーリフティングの試合はとにかくカテゴリーが多く、表彰式も長いです。
私はマスターズの中では一番若いM-1の優勝者ですので表彰は最後です。
そのため自分が表彰される頃は既に膀胱がパンパンの状態で脂汗をかきながら引き攣った笑顔で表彰台に立っていました。
【表彰式終了後から一回目の採尿まで】
表彰式を終えるとすぐに2階のドーピング検査室へ行き手続きに入るのですが、まずはDCOからの検査方法の説明や書類への記入などを先に行うので、椅子に座りペンを走らせながらも「早くオシッコしたい!」とまるで高速道路で渋滞している時にトイレに行けないような心境で書類を書いていました。
書類には普段指導を受けている監督やコーチの名前、普段所属しているチームのドクターまたはかかりつけ医の名前などを記入し(私の場合はどちらもいないので未記入でした)普段繋がるメールアドレスと電話番号を記入します。
そして7日間以内に使用した処方薬や市販薬、サプリメントなどを記載し申告します。
そしてドーピング検査後に自分の検体をWADA(世界アンチドーピング機構)認定分析機関へ研究のために提供する事への同意などに署名します。
そしてようやく採尿へと進みます。
尿検査を行う前に4つぐらい用意された採尿カップの中から1つを選び封を開けます。
そしてようやくトイレに移動し採尿を行います。
採尿の前に手を洗い、ズボンとパンツを膝まで下ろし確実に自分の体内から排尿されている事をDCOにしっかり確認されながら排尿をします。
当然ここまで我慢したのでカップに入りきらない尿量でした。
採尿が終わるとDCOに確認してから確実にカップに蓋をして、一旦便器の上のスペースに置きズボンとパンツを上げ自分でカップを持ちトイレから検査室へ移動します。
検査室に戻ると今度はサンプルキットが4箱ほど用意されていて、その中から1つを選び封を開けます。
採尿カップもそうですが、このサンプルキットの開封時も事前に開封された跡が無いか?傷などがついていないかなど、必ず確認するようにDCOに指示を受けます。
サンプルキットの中にはAボトルとBボトルが入っているのでそのボトルも未開封であり傷などが無い事を確認してから自分でボトルを開けます。
そして採尿カップからBボトルとAボトルに決められた量の尿を入れ、カチッと音がするまで自分の力で蓋を閉め、封印した事をDCOと確認し箱に入れます。
そして採尿カップの中に残った尿を使って尿の比重を計ります。
ここで比重が1.005以上であれば問題無く検査終了だったのですが…
なんと試合中に大量の水分摂取をしていた影響か私の尿は比重が1.004と僅かに薄く、再度尿を採りなおす事となってしまいました。
【一度目の採尿から二度目の採尿まで】
一度目の採尿が14時18分でした。
検査室では再び採尿が出来るようにスポーツドリンクやミネラルウォーターが提供されるのですが、そもそも尿の比重が薄くて再採尿となっているので水分を多く摂ってしまうとまた比重が薄くなってしまうので、なるべく水分を摂らずに時間をかけて濃い尿を出そうと試みました。
DCOからも「一旦膀胱を空にして貯めなおした方が良い」とアドバイスを受けたので、もう一度トイレに行って再度絞り出そうと思ったのですが、なんとここでもの凄くお腹が痛くなって大きい方がしたくなってしまいました。
これも減量明けの大会時にはよくある事で、急に胃腸が活発に動き始めて試合中や直後に下痢をしてしまう事はよくある事なのです。
気を使ってもしょうがないのでDCOに「すいません実は大の方がしたいのですが…」と相談したところ「良いですよ。そういう人もいますから気にしないでください」と許可してくれました。
ただし当然の事ながらトイレの大便用の個室のドアは明けた状態でDCOから見られた状態で大をする事になりました。
まさか大人になってから初対面の人に見られながら大をするとは思いませんでしたが、これも貴重な経験と割り切って遠慮なくさせて頂きました。
こうして完全に一旦全て出し切ってゼロから尿を貯める事になったのですが今度は逆になかなか尿意がやってきません。
暫くは検査室で雑談しながら携帯をいじっていたのですが「こんな部屋の中に閉じこもっていたらせっかく試合に来たのにもったいないな」と思いDCOと一緒に試合を観戦したりステージ裏に行って知り合いの選手や関係者と会話したりとなるべくいつもの試合後と同じように過ごすことにしました。
私と一緒に2時間近くパワーリフティングを観戦したDCOはかなりパワーリフティングに詳しくなっていました。
私も逆にドーピングコントロールの実際や他競技でのドーピングチェックの在り方などを(勿論DCOとしてお話しして頂ける範囲で)色々と質問する事が出来て大変勉強になりました。
そして約2時間後の16時19分に1回目と全く同じ手順をもう一度踏み再採尿を行い、今度は比重1.014で無事にクリア。
最後に全ての公式記録書を確認しサインをして終了。
終了時刻は16時24分
最初の通告書記入から終了まで2時間44分もかかってしまいました。
もしこれがもっと自宅から遠い場所での試合で、午後のセッションだったらと考えると帰り飛行機や新幹線のスケジュールも大きく変わってくるところでした。
ドーピング検査の対象となるような大会に出場する際は帰りの交通機関のチケットなどはかなり余裕を持って用意しておくべきだと改めて感じました。
【アスリートにとってドーピングチェックとは】
今回ドーピングチェックの対象に選ばれた瞬間、多少ビックリもしましたが本当に「やったぁ~!ついに来た!」と嬉しい気持ちでいっぱいでした。
何故ならばドーピングチェックの対象となるというのは一流のアスリートの証であるとも言えるからです。
特に我々のようなバーベル競技はドーピングを行った場合、その効果が競技成績に強く影響を及ぼすと考えられます。
つまりドーピング検査の対象者に全く選ばれもしないという事は「疑わしくもない程度のパフォーマンスの選手」「あの程度ならナチュラルだろう」という事です。
そしてアスリートにとって本当に自分がクリーンである事を証明できる唯一の方法がドーピングチェックを受けて陰性の判定を受ける事だからです。
つまりドーピングチェックの対象に選ばれるという事は、非常に光栄な事であり尚且つ自分が正々堂々フェアに戦っている選手である事が証明される素晴らしい経験なのです。
【バーベル競技とドーピング】
先日のジャパンクラッシックパワーリフティング選手権大会中に受けたアンチドーピング講習会でも取り上げられていましたが、ドーピングの陽性者の多い競技は
1番多いのがボディビルディング
2番が陸上競技
3番がウエイトリフティング
4番が自転車競技
5番がパワーリフティング
だそうです。
つまり我々の愛するバーベル競技が、かなり上位にランクインしてしまっているという不名誉極まりない状況なのです。
ご存知の通り私はボディビル競技出身のパワーリフターですので両競技の現場でドーピングの実際を目の当たりにしてきました。
特にボディビル界では国内でもキチンとしたドーピングチェックが行われない団体もあり徐々に若者を中心に意図的にドーピングを行う者、或いはそれを容認するような意見を持つ者が増えているようにも思います。
またキチンとしたドーピングチェックが行われている団体でも毎年のように陽性者が出ています。
一方のパワーリフティングでも2014年2015年と続けて陽性者が出ていますし、世界的に見ても多くの違反者が出て、国際大会に出場出来なくなるようなペナルティを課される国もあるようです。
ウエイトリフティングに関しては、私は専門ではありませんが、関係者から聞いた話では日本国内はクリーンだが海外ではかなりグレー…というか黒に近い部分もある。
という概ねパワーリフティングに近いような印象を受けました。
それではバーベル競技にはアンチドーピングの精神が浸透していないのでしょうか?と言えばそんな事はありません。
殆どの選手はクリーンに競技に取り組んでいますし何が良くて何が悪いかなど、アンチドーピングに対する知識も他競技のアスリートよりも寧ろ豊富だと思います。
今は講習会やインターネットを通じても十分な情報収集が出来る世の中であると思います。
しかし残念ながら意図的にドーピングを行おうと考える者、またそれを隠蔽しようとする者にもインターネットを通じて様々な情報が得られる世の中になってきています。
良くも悪くもこれだけ情報を得やすい時代です。薬自体もネットで手に入れる事が可能だと聞きます。
こうなると本当に頼りとなるのは関係者や選手個人のモラルだけです。
2月9日に受けたアンチドーピング講習会によると、日本人選手に対するドーピング検査の陽性率は大凡0.1%だそうです。つまり1000人検査して1人ぐらいの割合です。
これは世界基準ではとても低い数字だそうで、世界では1%程度。つまり100人検査すれば1人は陽性反応が出ているそうです。
こう言われると世界的に見れば日本はモラルが高いかのようにも思えますが、自分の愛する競技の発展を願うのであればゼロにする努力を皆が続けなければならないと思います。
【まとめ】
今回ドーピングチェックを受けてみて感じたのは、検査自体はとても分かりやすく公正に行われているという事でした。
しっかり全て規定に則った説明があり、そのうえでアスリートの権利もしっかり守られていました。
パワーリフティング競技者の方々は安心して正々堂々検査に協力できると思います。
その一方で今後改善して欲しいと感じた事は、検体数の少なさでした。
つまりもっと多くの選手にこの素晴らしい経験をさせてクリーンである事の証明をさせてあげたいと感じました。
勿論費用のかかる事ですので限界はあると思いますが、少なくともブロック大会でも日本記録を認定するのならマスターズだろうがジュニアだろうがサブジュニアだろうが学生だろうが全ての選手に「クリーンな状態で記録を出した」という証明をしてあげるべきだと思います。
先に述べた通りバーベル競技にはどうしても「薬やってるんだろう?」というイメージが付きまといます。
それを払拭するには検査を沢山するしかないと思います。
そして違反者が参加できないようモラルのハードルを高くする必要があります。
最後になりますが、このコラムを書いているのは2月26日です。つまり検査を受けてから3ヶ月が経過しています。
実は検査結果に関しては陽性だった場合のみ電話で連絡があるので、陰性だった場合は何の連絡もありません。
つまり連絡が無い事が大丈夫だった証なのです。
勿論私は意図的なドーピングはしていませんし市販薬やサプリメントによる「うっかりドーピング」に対しても普段から注意しています。
処方薬をもらうときも必ず薬剤師にドーピングチェックを受ける可能性がある事を説明して調べてもらいますし、自分でも飲む前に必ず調べます。
そうしていてもやはり2ヶ月ぐらいは何となく不安で、完全に100%、いやっ絶対に間違いなく10000%大丈夫だという安心してはいませんでした。
陽性だった場合の連絡は通常早くて2週間程度、遅くとも1ヶ月程度だと言われます年末年始など各競技団体で大きな大会が多く検体数が多い時期はもう少し時間がかかるとも言われておりハッキリとした期間が分かりません。
「自分は絶対に大丈夫だ」と思っていても、ふと携帯電話が鳴って知らない電話番号で03-から始まる番号だったりすると「まっまさか…」と一瞬頭を過ります。
(だいたいマンション買いませんか?の類の売り込み電話なのですが)
あのデッドリフト最終試技が終わり階段を下りてDCOに声をかけられた瞬間から「よっしゃ~!絶対SBDコラムで書こう!」と思っていたのに、実際書くまでに3ヵ月かかってしまったのは10000%大丈夫だという確証を得るまでに2ヵ月はかかるからでした。
大変お待たせいたしました。
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※どのコラム宛かを明記してください。
※お送りいただいたメールの内容は、コラムで取り上げられる事があります。
■コラム執筆者
佐名木宗貴
ベスト記録(ノーギア)
スクワット 241kg
ベンチプレス 160kg
デッドリフト 260kg
戦跡
パワーリフティング
・全日本教職員パワーリフティング選手権 90kg級 優勝
・2009~2012年 近畿パワーリフティング選手権 4連覇 75・82.5・83・90kg級4階級制覇
・一般男子83㎏級スクワット日本記録樹立
・ジャパンクラッシックパワーリフティング選手権大会 83kg級 準優勝
・アジアクラッシックパワーリフティング選手権大会 83kg級 優勝
・東海パワーリフティング選手権大会 93kg級 優勝
・2018年世界クラッシックパワーリフティング選手権大会 マスターズⅠ83㎏級 5位
・2018年香港国際クラッシックインヴィテーショナル大会 マスターズⅠ83㎏級 優勝
・マスターズⅠ83㎏級スクワットアジア記録樹立
・2018年ジャパンマスターズクラッシック M1 83㎏級 優勝
ボディビルディング
2000~2001年 関東学生ボディビル選手権 2連覇
2000年 全日本学生ボディビル選手権 3位
2011年 日本体重別ボディビル選手権70kg級 3位
2011年 関西体重別ボディビル選手権70kg級 優勝