今月もご覧頂きましてありがとうございます。
SBDコラムニストの栗原弘教です。
今回は、スクワットの担ぎで肩が痛くなる方に向けた内容になります。
ここ最近で複数の方からお寄せ頂いたお悩みでしたので、解決改善の一助になればと思い書かせて頂きます。
*あくまでも改善の一例ですので、痛みについては医療機関、専門機関での診断や指導、治療などを受ける事をおすすめ致します。
<目次>
・スクワット時に出る肩痛の原因
・スクワットで大切な事と痛み改善テクニック
・まとめ
スクワット時に出る肩痛の原因
まず、スクワット時に出る肩痛の大きな原因ですが肩甲骨の下制と胸椎の伸展といった2つの動作が上手く出来ていない事が挙げられます。
肩甲骨の下制では特に僧帽筋下部繊維の動員が欠かせません。
ですが、この僧帽筋下部繊維が上手く働かなくなっていたり、とても弱かったりする場合が非常に多いです。
弱い部位は鍛える事が大切になりますが、弱くなるにも原因があります。
今までのコラムでもお伝えしてきていますが、弱くなる部位(=弱化部位)に対して抑制をかける筋肉があります。これは個々人の癖や姿勢など、様々な要因があるので部位を特定する事はパーソナルトレーニングなどでないと困難になりますが、考え方として頭に入れておいてください。
この弱化している筋肉に対して抑制をかけている部位を、緩めたりストレッチする事で出力が改善したり刺激が入り易くなったりします。ですので、まずは僧帽筋下部繊維に対して抑制をかけやすい部位をしっかりと緩めてから僧帽筋下部繊維のトレーニングを行うという順序が大切になります。
胸椎伸展動作の改善についても同様の考え方が大切になります。
スクワットで大切な事と痛み改善テクニック
スクワットで大切な事は担ぎです。
私の場合ですが、ここで良いスクワットが出来るかどうかが9割以上決まると考えています。
そこで、肩を痛めている、痛めやすい方の特徴として①上背部が丸まって担いでいる②背中の固定が出来ていない、という2つの特徴があります。
① の上背部が丸まっている方は、上記の肩甲骨下制と胸椎伸展が出来ていないので、まずはそれらの動作や筋力を向上させるトレーニングなどが大切になります。
参考になるコラムのリンクを下記にご用意しましたので参考にしてみてください。
また、上背部を丸めると肩が上がった姿勢+胸郭が潰れる様な姿勢になり易く、腹圧を上手くかけられないケースが多くなります。
◆参考コラム
・ストレッチポールを使った胸郭・肩甲骨リコンディショニング
・パワーリフターがトレーニング前に行った方が良いストレッチ&コンディショニング③
・ストレッチポールを使った簡単コンディショニング
2つ目の背中の固定ですが、多くの方が肩や手、肘などで重さを支えていると思います。ですが、私はこれが一番肩や手首、肘を痛める原因だと思っています。
では、どこでバーの重さを支えるか?
それは上背部+広背筋です。上背部は主に菱形筋や僧帽筋下部繊維を指します。
バーを担いだ時(ラックアップ前)に、しっかりとバーと地面に挟まれてバーを身体に密着出来た場合、“広背筋の自然な収縮感”が強く感じられる様になります。
これが出来ると、多くの場合で肩の痛みや手首、肘の痛みも改善もしくは消失します。(*パーソナルを受けて頂いた方の多くはその様になります。)
上背部+広背筋で支える事は、テクニックとしては非常に難しいですが、今悩んでいる方はぜひお試し頂きたい重要なポイントです。
上手く広背筋などの収縮感を感じる事が出来ない方は、広背筋の弱さや菱形筋の弱さも影響しますので、プルアップ、ラットプルダウン、ベントオーバーロウ、ローロウ、左右差が大きい場合はワンハンドロウなどの背中の種目をしっかりとやり込む事も大切になります。
▼肩甲骨下制+胸椎伸展+広背筋の収縮が出来ている例
まとめ
いかがだったでしょうか?
冒頭でも書きましたが、組織の損傷や炎症など(急性期)が起こっている場合は必ず医療機関での診断や治療をした方が良いです。
慢性的な痛みやスクワットの時だけ痛いなどという場合は、今回のコラムで紹介した内容をお試し頂ければと思っています。
今回の内容が少しでもお役に立てば幸いです。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。
次回もよろしくお願い致します。
文:栗原 弘教
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◉高重量を扱う為、競技スポーツに役立つ肩甲帯コンディショニング方法- Mobilityドリル編
◉高重量を扱う為、競技スポーツの為に役立つ肩甲帯コンディショニング方法 -ケア編-
◉高重量スクワットの為に必要な踏み圧、床反力を得る為に重要になる臀部、足部のコンディショニング方法
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東京都 Training-studio“Master Mind”所属(https://mastermind85.com)
ベスト記録(ノーギア)
105kg級
スクワット 280kg
ベンチプレス 170kg
デッドリフト 260kg
トータル 710kg
シングルベンチプレス 170kg
戦績
ジャパンクラシックパワーリフティング大会 出場5回 最高5位
2017 東京都秋季パワーリフティング選手権大会 93kg級 3位
2018 東京都秋季パワーリフティング選手権大会 105kg級 優勝
*スクワット265kg、トータル685kgの東京都記録樹立
2019 ジャパンクラシックパワーリフティング大会 105kg級 5位
2019 東京都春季パワーリフティング選手権大会 105kg級 3位
2019 いきいき茨城ゆめ国体 パワーリフティング 105kg級 4位