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スクワット、デッドリフトで腰痛を防ぐ腹圧のかけ方と予防改善エクササイズの紹介

今月もご覧頂きましてありがとうございます。
SBDコラムニストの栗原弘教です。

今回は、スクワットやデッドリフトにおいて多くの方が悩まされているであろう腰痛について、その予防改善エクササイズや効果的な腹圧のかけ方について書いていきたいと思います。

*あくまでも改善予防方法の一例ですので、痛みが出ている、増悪している方については医療機関、専門機関での診断や指導、治療などを受ける事をおすすめ致します。

<目次>
・腰痛について
・腹圧のかけ方、イメージ
・予防改善エクササイズ
 − ライイング・ドローイン
 − プローン・ドローイン
 − ブレーシング
 − クワドラプト・ブレーシング 
・まとめ

腰痛について

まず、腰痛の原因についてご説明していきたいと思います。
腰痛と一言で行っても、筋・筋膜性腰痛、椎間板ヘルニア、すべり症、脊柱管狭窄症、脊椎分離症…etc、といった具合にその中身は多様であり、個人差も大変大きくあります。

その中でも、一般的に多いのが筋・筋膜性腰痛です。
筋・筋膜性腰痛は、主に筋肉の疲労、アライメントや機能の異常が見られ慢性化する事で痛みや違和感として感じる事が多いです。

トレーニングの現場指導で見させて頂いている限りでは、主にコアの機能低下や弱化と共に動作時に腹圧が上手くかけられていない事、股関節~臀部筋群の筋バランスの崩れ、頸椎や胸椎のアライメント異常の影響、足部足関節のアライメント異常の影響などが挙げられます。

上記全てをクリアにすれば100%ではありませんが、多くの方に改善は見られると思います。

今回はその中でもスクワットやデッドリフトで重要になる腹圧のかけ方についてのイメージと予防エクササイズをご紹介していきます。

腹圧のかけ方、イメージ

スクワットやデッドリフト時に、よく「腹圧をかける」というと思いますが、この腹圧はどの様にイメージしているでしょうか?

腹圧のかけ方も、人によって様々ではあるので、絶対にこれが正しい!という事は言えませんが、私なりのイメージをお伝えしていきます。

まず、腹筋(腹直筋)のトレーニングをする様なイメージで力を入れる事はあまりおすすめできません。腹圧とはその名の通り、腹の圧であり、腹腔内圧を高める事を指します。

ですので、表層にある腹直筋を強く収縮させるだけでは腹腔内圧を高める目的では不十分です。

呼吸筋や腹横筋、骨盤底筋群など様々な筋肉が動員されて腹圧は高まりますが、それぞれを独立して収縮させる事は不可能なのでイメージが大切です。

私がよくお伝えしている腹圧のイメージは、胴回りを土管や丸太の様にするイメージです。
その上で、パワーベルトを内側から押し出し(ベルトが吹き飛ぶくらいの感じで)ベルトからの反力を伴い内圧が最高に高まった状態で胴回りを固める形です。

大切なのが、「胴回りを360度丸く押し広げた状態でしっかりといきむ」というイメージです。

多くの人がお腹を前に膨らませたり、固めたりしていると思いますが、私はこれだけだと不十分だと考えています。下位胸郭の横や特に後ろ側の膨らみがしっかり出せるかは、腰痛予防や安定した腹圧をかけて高重量を扱える様になる為には大切になります。

横や後ろへの拡張が出ない方や感じられない方はコアの機能低下や胸郭(特に下位胸郭)のアライメント異常が考えられるので、今回ご紹介する予防改善エクササイズをお試しください。

少しでも変化を感じる事が出来れば嬉しく思います。

予防改善エクササイズ

ライイング・ドローイン

ドローインは、ご存知の方も多いかと思います。
腹横筋をメインターゲットにし、仰向けの状態で両膝を曲げ、膝の間は拳幅が基本姿勢です。

その状態から、息をゆっくりと吐きながらお腹を凹ませていきます。
この時、お腹に手を当ててお腹が凹んでいく事を感じながら行うとより感覚がわかりやすいかと思います。

しっかりと凹ませた状態で浅く呼吸をしながら5秒キープし、元の状態へ戻します。
キープしている時に肩がすくんだり、お腹が膨らんでこない様に注意してください。

回数はまずは5回3セットを目安に、こなせる様になったら、8回、12回と回数を増やしていくと良いです。

プローン・ドローイン

今度はうつ伏せの状態でドローインを行います。
うつ伏せになり、お腹と床の間にタオルやテニスボール、ゴルフボールなどを置き、ゆっくりと息を吐きながらお腹を凹ませていきます。

この時、腰や骨盤が屈曲したり浮いてきたりしない様に注意が必要です。しっかりと腹横筋の収縮でお腹のみ引き上げる様にしてください。

秒数や回数は通常のドローインと同様です。

ブレーシング

ブレーシングは耳慣れない方もいらっしゃると思います。ブレーシングは、ドローインとは反対にお腹を膨らませる事を意味します。

ブレーシングは、横隔膜、腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋などのインナーユニットと言われる筋群の活性化とトレーニングを目的に行います。
一見ドローインと似ていますが、位置付けとしてはドローインはよりリコンディショニング寄りであり、ブレーシングはパフォーマンスアップ寄りという感じでしょうか。

従って、自分の体幹部、コアなどの状態によってどちらのエクササイズを重視していった方が良いかは異なってくる事が考えられます。

*この辺りは専門家の間でも議論が続いています。

おこない方はドローインと同様に仰向けの状態で両膝を曲げ、拳幅に脚を開きます。その状態から、手で肋骨下あたりを覆う様に当てます。

ゆっくりと息を吸いながら、当てている手で肋骨が360度広がる事を確認していきます。

しっかりと広がった状態で5秒間キープして、元の状態へ戻す事を繰り返します。
広がりは、親指で後ろ側を、人差し指と親指の間で横を、人差し指で前側を確認する感じになります。

特に横と後ろ側はなかなか広がりを感じないという人が多いと思いますので、ゆっくり根気よく練習を続けて行ってください。それだけ呼吸機能や胸郭周辺のバランスが崩れている事を意味していますし、特に反り腰や下腹ぽっこり姿勢の方などは頑張って取り組んで頂くと変化を感じられる事が多いです。

回数は5回3セットを目安に、8回、12回と増やしていきましょう。

クワドラプト・ブレーシング

ブレーシングのやり方自体は同様です。四つ這い姿勢で行います。

様々な姿勢で行う事により、コアを使うバランスや感覚が養われていき、怪我をしにくい身体や機能的な身体に変化していきますので、ぜひ取り入れて頂きたいと思います。

四つ這い姿勢での注意点は骨盤や腰椎のニュートラルポジションを保つ事です。上手くコアをコントロール出来ていない場合は、腰椎や骨盤、肩首などで代償動作を行ってしまうので、鏡や動画などを撮って確認しながら行う事をおすすめします。

回数などは、上記と同様になります。

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回ご紹介したドローインとブレーシングは、基本的なエクササイズではありますが、とても大切な種目になります。

適切に呼吸やコアのコントロールをする事が、筋力の強化に繋がりますし怪我のリスクを低下させる事にも繋がっていきます。その結果として、スクワットやデッドリフトなどの挙上重量にも反映されると考えていますので、ぜひ今腰痛などでお悩みの方は取り入れて頂きたいと思います。

今回の内容が少しでもお役に立てば幸いです。

最後までお読み頂きましてありがとうございました。
次回もよろしくお願い致します。

文:栗原 弘教

 
 
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東京都 Training-studio“Master Mind”所属(https://mastermind85.com)
ベスト記録(ノーギア)
105kg級
スクワット  280kg
ベンチプレス 170kg
デッドリフト 260kg
トータル   710kg

シングルベンチプレス 170kg

戦績
ジャパンクラシックパワーリフティング大会 出場5回 最高5位
2017 東京都秋季パワーリフティング選手権大会 93kg級 3位
2018 東京都秋季パワーリフティング選手権大会 105kg級 優勝
  *スクワット265kg、トータル685kgの東京都記録樹立
2019 ジャパンクラシックパワーリフティング大会 105kg級 5位
2019 東京都春季パワーリフティング選手権大会 105kg級 3位
2019 いきいき茨城ゆめ国体 パワーリフティング 105kg級 4位

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