みなさん新年明けましておめでとうございます。
SBDコラムニストの佐名木宗貴です。
本年もよろしくお願いいたします。
さて新年のご挨拶から入っておいてなんですが、このコラムが掲載されるのはもう既に1月下旬に差し掛かり正月ボケもとうに解消された頃かと思います。
皆さまはどのような2022年のスタートを切られたでしょうか?
私は今年から新たなチャレンジとして「学びなおし」「鍛えなおし」をテーマに掲げており、年始早々からその準備に取り掛かっております。大学に勤めていると周りがいつまでも若いので自分も若いような気でいるのですが、気が付けば私も今年で44歳になりますので自分自身で成長しようとしなければ何事もキープすることすら出来なくなってくるのではないかと思います。しかしこれからの人生を考えると今日が一番若いのは間違いない事なので未来のために成長しようとし続ける1年にしたいと思います。
さてそんな新年の決意を述べた後ではありますが、昨年末のパワーリフティングのインカレのご報告を少しさせて下さい。
昨年末の12月19日(日)に兵庫県明石市のパワーフラッシュアリーナにて行われた全日本学生パワーリフティング選手権大会に私が監督を務めます関西大学学生S&Cから7名の選手が出場しました。
11月の関西学生選手権を勝ち上がった
4回生2名、3回生3名、2回生1名、1回生1名での参加でしたが、みんな日頃のトレーニングの成果を存分に発揮してくれたと思います。
また4回生はこの大会をもって引退となりました。
コロナ禍で3~4回生を過ごし、なかなかトレーニングに思いっきり打ち込む事が出来たとは言えない学年ではありましたが、このクラブが立ち上がって最初に1回生として迎えた代であったため最後にみんなで試合に出場して終わる事が出来た事を本当に嬉しく思います。
そんな学生S&C部員の頑張りもあった年末ですが、私自身も昨年9月から継続しているダイエットとトレーニングを何とか継続する事が出来ていて、体重の変化の方は以下のようになりました。
心配していた年末の北海道への出張は若干の体重増があったものの年越しまでにはリカバリーすることが出来て、全てが上手くいったかと思っていたのですが、そこで少し気が緩んでしまいお正月の会食で羽目を外してしまい瞬間的にかなり増加してしまいました。
年始にリカバリーを試みたものの短期間での増量が繰り返されたためかダイエットに傾いていた身体の流れが一度寸断されてしまい、なかなか落ちにくい状態になってしまいました。
年末に上手くいっていたときのトレーニング量や総摂取カロリーに戻してはいるものの88kg台中盤から前半で今月は推移していることから「これは完全に停滞してしまっているな」と判断したので1月の下旬から次の一手を打つ事にしました。
それが今月のコラムのお題であるサイクルダイエットです。
【サイクルダイエットとは】
サイクルダイエットとは摂取カロリーや炭水化物の摂取量を数日間の間に計画的に増減させながらダイエットを進める方法で「カーボサイクルダイエット」や「ジグザグダイエット」というような呼び方もされています。私ぐらいの年代のボディビルダーには以前からなじみの深い方法で私がボディビルを開始した当時はサイクルダイエットなどとは呼ばずに単なるダイエットの中の「揺さぶり」と呼んでいました。
「いやぁ~減量がここ最近止まってんだよね~プラトーきちゃったかなぁ~」
「あぁ~きちゃいましたねソレ。じゃぁそろそろ揺さぶっときますか?」
「はぁ~・・・そうだよね。揺さぶりましょうか」
こんな感じの会話がだいたい3月~4月ぐらいにはジムでよく聞かれたものです。
人によってはダイエット開始時からサイクルダイエットで進めていく人もいましたが一般的にはある程度、通常の低炭水化物ダイエットを継続してからプラトーに差し掛かった頃に一日の総摂取カロリーや炭水化物の量を増減させる事で、身体がそれ以上の防衛態勢に入らないように騙すように揺さぶりをかけるといったイメージで当時から行われていました。
【揺さぶり方】
ではどのように揺さぶっていくかというと、まず炭水化物の上下動だけで揺さぶる場合でいうと例えば通常のダイエットで1日の総摂取カロリーが2400~2500kcal程度の人の場合だと高炭水化物の日と低炭水化物の日の2日間で揺さぶるとしたら
このような感じで、高炭水化物日と低炭水化物日の平均をとったら今までと同じ2400~2500kcalだけど2日間で上下させて身体にショックを与えるような感じになります。
これが3日のサイクルになると
となりますし、高炭水化物から低炭水化物へ移行するサイクルで言うと逆に
となります。
また5日間かけて段階的にサイクルするならば
というようになります。
※炭水化物と蛋白質は1gにつき約4kcal、脂質は1gにつき約9kcalとして計算しています。
私が見聞きした範囲では3日間サイクルを繰り返すのが一番ポピュラーなように感じますが私がやってみて一番調子が良かったのは例に挙げた中では5日間サイクルでした。
ただ当然NON CARB DAYはエネルギー摂取量が少ないのでトレーニングをしても全然パンプが継続しません。そこでこの摂取カロリーのサイクルに合わせてトレーニングの方もサイクルを組むようにして、高炭水化物の日に元気いっぱい脚や胸や背中などの大筋群をトレーニングして低炭水化物の日は肩や腕をサラリとトレーニングして、ゼロカーボの日はトレーニングをオフにするようなスケジュールを組んでおくとより効果的なダイエットになると思います。
また私のような朝や午前中にトレーニングを行うようなタイプの人はその日の食事よりもむしろ前日に摂取した食事の方がパフォーマンスに影響するという場合もあると思います。
その場合は
このように最も摂取カロリーや摂取する炭水化物量の多い日の翌日に一番エネルギーが必要な脚など大筋群のトレーニングが来るようにして逆に一番摂取カロリーや炭水化物の少ない日の翌日をOFFにするようにプログラムすると良いと思います。
この辺は摂取する炭水化物の種類によっても変わりますので各自で調整する必要があります。
【総摂取カロリーはあまり変えずに内容で揺さぶる】
ここまで紹介したのは最も分かり易くて簡単な炭水化物量のみを増減させ揺さぶる方法ですが、私の場合はこれに合わせて脂質の摂取量も反比例するように増減させ、またたんぱく質の摂取量も増減させる事で「サイクルはしているのだけれども一日の総摂取カロリーはあまり増減させない」という方法が一番ダイエットも進むし身体への負担も少なかったように思いますので、今回もこの方法を採用してプラトーを打破しながら進めていこうと思います。
簡単に書くとこういう感じです。
この場合は高炭水化物の日には逆に脂質は出来る限り控えるようにするのでタンパク質源も鶏のささ身やマグロの赤身、卵白などあっさりしたものになります。
そして低炭水化物の日は意識して脂質を摂取しようとするのでタンパク質も油で焼いたり出来ますし、アボカドをのせたり出来ます。私の場合は魚が大好きなので脂ののったサーモン、秋刀魚、ブリなどを多用し卵も全卵でガンガン食べました。
私の場合は減量中にお通じが止まってしまうというのが一番のストレスだったのですが、この脂質を積極的に摂る日を設けるようにすると便通は改善されるので減量期の終盤はこのゼロカーボ・ハイプロテイン・ハイファットの日が来るのがハイカーボの日よりも待ち遠しかったです。
【注意点】
さてここまでは段階的に上下させる方法を紹介してきましたが更に落差のある上下の揺さぶりを行う方法としては昔私たちが「三勤一休」と呼んでいた方法を紹介します。
これは4日間のサイクルですが最後のHIGH CARB DAY以外は全てLOW CARB DAYですので3日間糖質を枯渇させて4日目に一気に摂取する事で大きなギャップを作るというやり方です。この方法の良いところは3日間かなりの低炭水化物で過ごすため一時的にダイエットがかなり進むという事です。そして4日目には高炭水化物の日が来るのでそこでストレスの発散が出来るという事も良い点です。
しかしこの方法には注意点が幾つかあります、それは以前のコラムでも書いたチートデイという方法に非常に近い状態となるからです。
チートデイという落とし穴 (はじめての減量でやってしまいがちな失敗例) | SBD Apparel Japan コラム
どういう事かというと、この「三勤一休」方式を続けているとそのうちLOW CARB DAYだったものがZERO CARB DAYになっていき、そのうち3日でよかったものが4日になり5日になり6日になり最終的には週に1日チートデイを入れているような状態に発展し以前のコラムでも指摘したような失敗を犯してしまう危険性も出てきます。
そうならないためにはHIGH CARB DAYをしっかりコントロールして「やりすぎない」ように注意しなくてはなりません。
またこの方法は3日間LOW CARB DAYが続くため4日間の中で元気な日が少なくなってしまいます。そのためトレーニングで強度の高い日、脚や背中の日をどこに持ってくるかなどトレーニングスケジュールの管理も重要になります。
もし私がこの方法を取り入れるとしたら本格的なダイエット期に入る前の段階に取り入れると思います。つまりオフ状態の食生活からダイエット期の食生活に移行する時期に「3日だけダイエット食を食べて4日目は普通食に戻す」あるいは「日曜日は会食の予定があるから木・金・土はダイエット食にする」または「日曜日に会食をしたから反省の意味も含めて月・火・水はダイエット食にする」というようにして徐々にダイエット生活へ移行するためのリハビリのような形で自分の心と体と、そして家族や周りの人々との関係を慣らしていくために取り入れるのはとても有効だと思います。
【まとめ】
私がボディビルを開始した当時はこのような方法が科学的に正しいのかどうかという議論や検証が徐々に始まり雑誌などでも取り上げられはじめた頃だったのだと思います。
古い時代から先輩方が経験則で行っていた「揺さぶり」が本当に正しいのか?効果があるのか?最も効果的なやり方はどういうものなのか?それぞれに適した食材は?などなど
色々と本を読んで自分で試しながらオリジナルのサイクルを探していました。
今回は10年ぶりにちゃんとしたダイエットをする中で最初のプラトーかと思われますので、まずは3日間サイクルする方法で揺さぶって身体の反応を見てみようと思います。
また炭水化物源を米からだけでなく餅やフルーツ、サツマイモ・カボチャなどに少し散らしながら反応を見て、こちらでも揺さぶっていこうと思います。
みなさんも自分に合った方法を楽しみながら探してみてください。
文:佐名木宗貴
ベスト記録(ノーギア)
スクワット 245kg
ベンチプレス 160kg
デッドリフト 260kg
戦績
パワーリフティング
・全日本教職員パワーリフティング選手権 90kg級 優勝
・2009~2012年 近畿パワーリフティング選手権 4連覇 75・82.5・83・90kg級4階級制覇
・ジャパンクラッシックパワーリフティング選手権大会 83kg級 準優勝
・アジアクラッシックパワーリフティング選手権大会 83kg級 優勝
・東海パワーリフティング選手権大会 93kg級 優勝
・世界クラシックパワーリフティング選手権大会マスターズ1-83kg級 5位
・ジャパンクラシックマスターズパワーリフティング選手権大会83kg級 優勝
・香港国際クラシックパワーリフティング選手権大会マスターズ1 83kg級 優勝
・世界クラシックパワーリフティング選手権大会マスターズ1 93kg級 6位
ボディビルディング
2000~2001年 関東学生ボディビル選手権 2連覇
2000年 全日本学生ボディビル選手権 3位
2011年 日本体重別ボディビル選手権70kg級 3位
2011年 関西体重別ボディビル選手権70kg級 優勝
指導歴
・ZIP スポーツクラブ チーフトレーナー
・正智深谷高校ラグビー部 S&Cコーチ
・埼玉工業大学ラグビー部 S&Cコーチ
・正智深谷高校女子バレーボール部 S&Cコーチ
・正智深谷高校男子バレーボール部 S&Cコーチ
・トヨタ自動車ラグビー部 S&Cコーチ
・関西大学体育会 S&Cコーディネーター
資格
日本トレーニング指導者協会認定 特別上級トレーニング指導者
NSCA認定 CSCS
日本パワーリフティング協会公認 2級審判員