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競技女子から競技ママになるまで(出産編)

妊娠出産を考える前に

私は学生のころから生理不順で半年生理が来ない事はよくあることでした。その様な感じだったので婦人科にもあまり行かなかったのですが、たまたま婦人科に行ったときにPCOSと診断されました。PCOSだと症状として無月経や月経不順、排卵しないので妊娠しづらいです。自分は妊娠しづらいのかとショックを受けました。
アマチュアボクシングで競技として真剣に練習していたころはハードな練習や体重管理もあったので、ほとんど生理が来なかったり、ボクシングをやめてからも生理が周期的に来ることはありませんでした。その時は特に深く考えてなかったのでそのままにしていましたが、
いつかは妊娠したいと思っていたのでPCOSを治したく食事運動を見直したりしました。
ホルモン治療もしたのですが、不調が続き途中でやめました。
月日が過ぎて、自己肯定感が低かったり自己犠牲にしていたことが多いことに気づき、少しずつですが自分を大切にしていきました。
月日はかかりましたが、食事運動睡眠・心がそろったときに不思議と自然に生理も来るようになりました。その頃婦人科に行った時にPCOSをみてもらったらその症状は見られないということでした。なくなっていたのです。
心身のバランスが整うまで気づくのも時間もとてもかかりましたが、自分自身のことを気づいた今は昔に比べると、体も心もとても軽やかです。
気づきをくれた自分の身体さんありがとう、という気持ちでいっぱいです。

私もそうだったのですが、競技などをしているとハードな練習や体重管理などがあったりして生理が止まったり、競技に熱中していると生理がその場しのぎになったりすることがあるかと思いますが、生理=自分自身のバロメーターと思いますので、もし何か少しでも悩みや症状などがある場合は、一度婦人科へ行ったり、同競技の女性先輩に相談してみたり、一旦競技から離れてみるのもいいと思います。きっと自分を見つめ健康であることは、今後の自分にも競技にも愉しい道になるのかなと思っています。

出産はパワーリフティング?!

昨年妊娠出産を経験しましたが、妊娠出産は家族パワーリフティング大会だなと感じました。
出産がパワーリフティングの試合だとしたら、妊娠中は大会に向けての練習、食事、メンテンナスを整えるピーキングをしている感じです。

出産は大きく分けると、
・分娩の前兆(分娩開始前に起こる陣痛(前駆陣痛))
・分娩第1期~分娩第3期(分娩開始から分娩終了までの間に起こる陣痛)
SBDは以下の様に当てはまり試合で感じるものと似ているものがあるなと思いました。
分娩前兆(スクワット)
分娩第1期(ベンチ)
分娩第2期~分娩第3期(デットリフト)

◎ウォーミングアップ
出産を促すために生産期(37週~)に入ってからは、医師からもどんどん運動してくださいと勧められていたので、産婦人科に行く直前までトレーニングしていました。最後の種目はスミススクワットでした。
その時におしっこ漏らした!!と1人で恥ずかしいっっ!とおもっていたのですが、これはもしかして破水か?となり電話したところ、産婦人科に行くことに。診てもらったところ破水だったのでそのまま入院、試合開始です。

◎分娩前兆(前駆陣痛開始)
スクワット最初の試技なので緊張するけど、やるしかないと落ち着きながらも自分のゾーンに入り腹をくくるとき。
ここからスイッチ入り赤ちゃんと一緒にいくぞと腹をくくりました。

◎分娩第1期(陣痛中盤痛みの波の間隔が5→2分)
ベンチは気持ちを上げたりすると試技の乱れがでてくるとおもっているので、無や平常心でいることを心掛けているのですが、陣痛の時も常に冷静に、痛みを逃がすために呼吸を大切にしたり、痛みに構えて力を入れないことを大切にしていました。
一緒に試合をしている赤ちゃんとコミュニケーションをとりながら出産(試合)をしていたのですが、この時本来赤ちゃんが頭をぐるりんと回してくれると出てこれるのですが、なかなか回らず数時間同じ状態が続いたら帝王切開かもしれない、となっていました。きっとその姿勢が好きだったのでしょう。帝王切開になってもどっちでもOKだったのですが、赤ちゃんにその姿勢が好きでいいと思うのだけど、クルンとまわってくれるとお母さん助かるなぁとおつたえしたら不思議とクルンと回ってくれて、そこから出産のラストスパートに入りました。

◎分娩第2期~分娩第3期(終盤陣痛ピークいきみ)
デッドリフトは試技のフォームがとても大切ですが、最後の試技というのもありますが最後は自分を信じて、あとは気合い!という想いを入れています。出産は痛みを休む時間がないので痛いのといきみたくなる気持ちも強くなるので、正直つらいです。
けど出産は自分しか出来ないので自分と赤ちゃんを信じて、最後に気合を入れて出産する感じでした。

◎セコンド陣
試合(出産)は自分自身ですがセコンドという存在がとっても大きく、そばにいてもらうと心も試合もサポートしてくれる存在です。
出産でもパートナーである福田君は長時間の陣痛を和らげてくれたり、お話してくれたり、水分補給や栄養補給、進捗状況、8時間の試合(出産)でしたが渾身のサポートをしていただきました。セコンドでもサポートや試合運びなどいつも本当に心強いですが、出産のセコンドも本当に心強かったです。試合(出産)のエキスパート助産師さんも、優しさもありながらも命と向き合うここぞという時の迅速な対応、本当に綺麗でかっこよかったです。

大会に向けての練習や減量は大変なものがありますが、その過程が楽しかったり、大会が終わる頃には本当にパワーリフティングって本当最高だなぁとように、出産後こんな素晴らしいものはないと思いまた出産してみたいという気持ちが溢れました。

さいごに

出産後、助産師さんにお話をお伺いしたのですが、トレーニング経験者の方は力の入れる感覚がわかるみたいで、いきみは上手な方が多いみたいです。その一方で最後のいきみまでに行く陣痛中が長い傾向があるみたいで、要因としては筋肉が硬かったりすると赤ちゃんが動きづらかったり、子宮口が開きづらかったりするのでは?、という話でした。
確かに私の場合の出産は陣痛の時間が長かったですが、最後のいきみの瞬間は一瞬でした。
これを聞いて、競技でも柔軟性はとても大切だけど、出産も柔軟性がとても大切なのかと感じ、また出産するチャンスが有れば今度はより柔軟性を向上させて挑んでみたいなと思いました。

◆コラム執筆者

福田 彩
埼玉県ストロングライン所属
B.T.S.L FITNESS

ベスト記録(ノーギア)
・スクワット 102.5kg
・ベンチプレス 82.5kg
・デッドリフト 137.5kg
・シングルベンチプレス 82.5kg

戦歴
【2017年】
さいたま市パワーリフティング選手権大会 47kg級1位
ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会 47kg級1位
【2018年】
ジャパンクラシックパワーリフティング選手権大会 47kg級2位
世界クラシックベンチプレス選手権大会 47kg級5位
世界クラシックパワーリフティング選手権大会 47kg級9位
【2019年】
ジャパンクラシックパワーリフティング選手権大会 47kg級2位
アジアパシフィック大会パワーリフティング部門 47kg級2位
世界クラシックパワーリフティング選手権大会 47kg級9位
【2020年】
ジャパンクラシックパワーリフティング選手権大会 47kg級3位

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